おいしいコーヒーのいれ方Ⅴ~緑の午後~ 原作:村山由佳(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : おいしいコーヒーのいれ方Ⅴ~緑の午後~
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 恋愛
  • 初出 : 2001年2月19日~3月2日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 村山由佳
  • 脚色 : 佐藤ひろみ
  • 音楽 : 佐野芳彦
  • 演出 : 千葉守
  • 主演 : 内田健介

初めての大喧嘩からやっと仲直りができた年末年始。
ショーリとかれんの間に再び穏やかな日常が戻ってきた。
いつまでも変わらないように繰り返される日々。
しかし、変わらないようでも、ふたりを取り巻く環境は少しずつ変わっていく。
丈の受験・進学、父・政利の再婚と帰京、妹の誕生、女友達・星野りつ子との関係。
そして、ショーリもかれんとの関係に大きな影響を与える、ある決断をする。



村山由佳さんの恋愛小説「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの第5作目のラジオドラマです。
前作の「雪の降る音」から約1年半のブランクの後に放送されました。
ちなみに原作の発売後の僅か2か月後でもあります。

珍しい10回シリーズ

なお、ここまでの4作品はそれぞれ全5回の作品として放送されましたが、本作と次の6作目「遠い背中」だけが、全10回で制作されています(正確には総集編「メモリーズ」も10回シリーズ)。
原作の分量も違うのかと思い、アマゾンで確認したところ、原作(ジャンプ・ジェイブック版)は各巻とも基本的に228頁で、最終巻以外は多くても244頁に収まっています。
そのため、上記の2作品だけ他の2倍の分量でラジオドラマ化されているのは、完全にNHK側の都合のようです。

丈のモノローグでスタート

さて、本作品も前作の「雪の降る音」と直接つながる構成になっており、前作の最後の場面を、ショーリの従兄弟(かれんの弟)である花村丈の側から見る形で再スタートします。
つまり、本シリーズは、ショーリ役の内田健介さんのナレーション(モノローグ)からスタートするのが定番なのですが、本作品はちょっとイレギュラーにも丈役の大野雅一さんのナレーション(モノローグ)でスタートし、「ショーリとかれんが仲直りしているのと同じ頃、ところで丈は?」というシチュエーションから始まる形なわけです。

脇役をしっかりと

作品の舞台となるのは冬から春にかけての時期。
女友達である星野りつ子関連のエピソードを中心として、いくつかの事件が起きますが、ショーリとかれんとの仲に大きな進展はなく、どちらかというと次作以降への伏線を張っている感じで、この作品自体がちょっと中休み的な内容です。
しかし、その割に10話もあるわけで、このボリュームを利用して、今まで影の薄かった佐恵子おばさん(かれんの母)や星野りつ子をしっかりと描いている作品になっています。
やはり、全5話の作品では、脇役まできちんと描くにはボリューム不足だったと言うことなのでしょう。

回想シーンは新規リスナーのため?

また、今までの回想シーンが何カ所も挿入されているのが本作の特徴。
これも全10話になったから可能となったのだと思いますが、そもそもこのシリーズも5作目ですし、初めて聴く人にも分かりやすいように意図してこのようにしているのかも知れません。
ちなみにショーリは第5作目にしてついに携帯を買いました。
彼女の朝」の記事で、携帯がなかった時代の恋愛について書きましたが、ショーリとかれんやりつ子との関係が、携帯が存在することによりどのように変化していくか楽しみですね。

いつものメンバー

出演は内田健介さん(和泉勝利役)、長谷川真弓さん(花村かれん役)、大野雅一さん(花村丈役)など、いつもどおりのメンバー。
いままで出番が少なかった太刀川亞希さん(星野りつ子役)が、ほとんどメインヒロインといって良いほど出演されています。

マローのママじゃないですか

また、今までもなぜか出番が多かった花村佐恵子(佐恵子おばさん)役の高林由紀子さんですが、本作でも「お前は本当にロンドン在住か」と言いたくなるほど出番があります。
それにしてもこの佐恵子おばさんの声、どこかで聞いたことがあるなあと思っていたのですが、改めて確認すると、アドベンチャーロード時代の「アルバイト探偵」の喫茶店マローのママの役をされていた方だったんですね。
今まで気がつかなかった…

いつものスタッフだけど

脚色はいつもどおり佐藤ひろみさんで、演出は千葉守さん。
千葉さんは、平位敦さんが担当した第4作目「雪の降る音」を除き、前半(第1作から第5作)全ての作品を担当していらっしゃいます。
ちなみに、千葉さんの担当はここまでで、次の「遠い背中」からは主に大久保篤さんが演出することになります。

千葉守さんお疲れ様でした

千葉さんはサウンド夢工房時代の「ユンカース・カム・ヒア」や「サラマンダー殲滅」(ともに1991年)の頃から、この系列の番組の演出をされています。
特に印象的な作品は「アルジャーノンに花束を」(1995年)などですが、この「緑の午後」を最後に(今のところ)青春アドベンチャーの演出から離れられています。

【おいしいコーヒーのいれ方シリーズ】

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