インテリア・ライフ 作:さわだみきお他(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : インテリア・ライフ
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B-
  • 分類 : 多ジャンル
  • 初出 : 2003年12月1日~12月12日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 作  : (下表のとおり)
  • 演出 : 中寺圭木、山田隆子
  • 主演 : 大路恵美、内田健介

ライフシリーズ」は、2003年から青春アドベンチャーにてシリーズで放送されている脚本家競作のオリジナル短編集ラジオドラマ作品であり、本作品「インテリア・ライフ」は、その輝かしい第1作にあたります。

大阪局作品

青春アドベンチャーには他にも、NHKの本局が制作していた「不思議屋シリーズ」、名古屋局が制作している一連の短編集作品(「10人作家シリーズ」または「名古屋脚本家競作シリーズ」)がありますが、ライフシリーズの特徴は大阪局の制作作品であること。

出演者も脚本家も

特にこの第1作「インテリア・ライフ」は登場人物が関西弁で話す作品が多いのが特徴です。
というのも、本作品の各話を担当している脚本家は、「NHK大阪局が主催しているBKラジオドラマ脚本懸賞募集の入賞者と、関西在住の気鋭の劇作家・脚本家」なのです。
関西風になるのは当然というところでしょう。

樋口ミユさん初参加

なお、この脚本家さんたちの中には、この後長く「ライフシリーズ」を始めとする多くの青春アドベンチャー作品の脚本を担当する方々が含まれています。
特に第7話「その本棚は涙を流しました」を担当した樋口美友喜(現:樋口ミユ)さんは、2013年の「僕たちの宇宙船」、2015年の「ニコイナ食堂」、「ギルとエンキドゥ」、「谷川俊太郎の詩と旅する ことのはワンダーランド」と、青春アドベンチャーでは珍しく、オリジナル長編が4編も採用されています。
また、第5話「カーテン禁止法」で、女優の中江有里さんが脚本家として参加されているのも特徴です。

大路恵美さんと内田健介さん

なお、関西と言えば、大路恵美さんが兵庫県加古川市、内田健介さんが和歌山県と、主演のおふたりも関西出身です。
同シリーズの後年の作品では随分と手慣れた演技を見せるおふたりですが、この作品の特に序盤の回では随分とフレッシュな演技であることが印象的です。

各回の概要

さて、この「インテリア・ライフ」のお題は「家具」。
全10話の全てが、異なった家具をテーマにし、異なった脚本家が書き下ろした作品です。
各回のタイトル、格付、脚本家、概要、一言等は以下のとおりです。

◆第1話 「伝説のドリーム・ベッド」 (さわだみきお)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
兄から譲り受けたベッドは8回目に見る夢が正夢になる奇跡のベッドだった。


少女が兄の意向を無視し始めるまではよくわかるが、オチがよくわからない。

◆第2話 「アンダー・ザ・テーブル」 (山本雄史)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
妻が好きな家具だけを持って出ていく。思い出のテーブルも置いていくのか。


上手いとは思うが、何となくオチがわかってしまう。

◆第3話 「古道具屋の机」 (杉本浩平)

分類 : コメディ
格付 : B
骨董商の夫が買ってきた汚い文机に大金をだすという客が現れたのだが。


ちょっとした歴史うんちくもある。「中岡」という名前にも意味があるのかな。

◆第4話 「父のスタンド」 (梶田祐子)

分類 : 日常
格付 : B-
小児科医になった娘は思い出す。父はいつも寝る前に本を読んでくれた。


泣かせる話といえば泣かせる話だが、展開に意外性がなさすぎる。

◆第5話 「カーテン禁止法」 (中江有里)

分類 : SF(その他)
格付 : C+
2033年、日本では犯罪防止を理由としてカーテンが禁止された。しかしそれに反発する人々もいた。


ディストピアもの。オチが本当にわからない。曖昧なのが味なのかも知れないが。

◆第6話 「椅子として」 (小野田俊樹)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C
私は丸椅子。ある日、拾われてその家にやって来た。


不思議屋シリーズにありそうな話。オチといえるほどの結末ではない。

◆第7話 「その本棚は涙をながしました」 (樋口美友喜)

分類 : サスペンス
格付 : A
彼は人が本棚に見えると言ったという。私だけは彼が何を言っているかわかる。


ファンタジックだが超常現象に逃げてはいないのが好印象。救いのない話ではあるが。

◆第8話 「岡田家の鏡について」 (吉村奈央子)

分類 : 日常
格付 : B
職を失った彼女がのぞき込む玄関の鏡。その鏡は戦時中に出征したその家の男が愛した鏡でもあった。


戦時中ほどではなくとも、今の若い人も親世代よりは大変だと思う。頑張れ。

◆第9話 「ジャングルじゅうたん」 (棚瀬美幸)

分類 : 幻想(日本)
格付 : B-
同棲中の部屋でなぜか伸び始めた絨毯。そして、ないはずの物が見つかり出すのだが。


意外な展開、オチも良し。でもちょっとありきたりなメッセージかな。

◆第10話 「和箪笥にねむる記憶」 (小山悦子)

分類 : 幻想(日本)
格付 : B-
彼の結論は「認知はするが父親にはならない」だった。憂鬱。でも、入浴中だけは身体の重さを感じない。


似たような話を、どこかで聞いたような気がするのはなぜだろう。

【ライフシリーズ作品一覧】
NHK大阪局主導のオリジナル脚本の短編作品集シリーズ、ライフシリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。



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