四捨五入殺人事件 原作:井上ひさし(青春アドベンチャー)
僕、若手作家の藤川武臣は編集者の荒木さんから東北・五ツ郷市へ講演に行って欲しいとの依頼を受ける。
というのも文壇の大御所・石上克二が一緒に講演をするというのだ。
石上は文朝文学賞の選考委員をしている。
文学賞が欲しければ今のうちに親しくなった方がいいとのことなのだが、何のことはない、体よくわがままオヤジのお世話係を押し付けられた格好だ。
初めての講演と石上先生のお世話で神経をすり減らした僕は、講演終了後ようやく観光課の用意した宿、インターネットも使えない山奥の鬼哭(おになき)温泉郷に辿り着いた。
しかし、そこで僕を待っていたのは暴風雨による橋の決壊、集落の孤立、そして殺人事件だった。