
ピエタ 原作:大島真寿美(青春アドベンチャー)
18世紀、斜陽期を迎えているヴェネツィア共和国に、ピエタ慈善院はあった。ピエタに引き取られた孤児の娘たちは、名作曲家ヴィヴァルディの指導のもと音楽を学び、特に優れた者は慈善院付属の「合唱・合奏の娘たち」として日の当たる人生を歩むことができた。エミーリアも「合唱・合奏の娘たち」の一員であったが、大きな名声を得ることは遂になく、今はピエタの事務を担当している。そのエミーリアのもとに恩師ヴィヴァルディが外国で死去したとの知らせが届く。同時にピエタもまた次第に運営が苦しくなりつつあった。エミーリアはピエタへの支援を求めて行動を始め、古い友人で裕福な貴族の娘であるヴェロニカから、ある古い譜面を探すことを条件に支援の約束を取り付ける。ヴェロニカの譜面を探す試みは、エミーリアが知らなかった恩師ヴィヴァルディの姿と、エミーリア自身の過去の探索につながっていくのだった。