スカラムーシュ 原作:ラファエル・サバティーニ(青春アドベンチャー)

格付:AA
  • 作品 : スカラムーシュ
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : AA
  • 分類 : 歴史時代(海外)
  • 初出 : 2009年8月24日~9月11日
  • 回数 : 全15回(各回15分)
  • 原作 : ラファエル・サバティーニ
  • 脚色 : 小野田俊樹
  • 演出 : 江澤俊彦
  • 主演 : 渡辺大

フランス革命前夜。
大貴族ラ・トゥール・ダジル侯爵に親友を殺された青年弁護士アンドレ・ルイ・モローは、侯爵に対する復讐を誓う。
しかし、折からの革命騒ぎに巻き込まれた結果、騒乱罪の汚名を着せられ、追われる身となってしまった。
恋と芝居と革命と剣とともに、変転の日々を送るアンドレ。
一方、ダジル侯爵の運命もまた、フランス革命により様々に変転していき、やがてふたりは直接対決の時を迎えることになる。
貴族に育てられた身でありながら民衆の側に立ったアンドレ。
しかし、同時にアンドレは貴族社会とのしがらみを完全に捨て去ることもできない。
「僕はお芝居でいえばヒーローでもヒールでもない。スカラムーシュなのです。いざという時には逃げ腰になる道化役スカラムーシュ。でも実は策略家で、敵に隙があれば反撃に転じることもあるスカラムーシュなのです。」



フランス革命前夜からフランス革命前半の時期を舞台にした冒険活劇です。
前半は旅芝居、後半は剣術を中心とした内容であり、全体の背景としてフランス革命が密接に関係しています。

フランス大杉問題

青春アドベンチャーには中世から近代のヨーロッパを舞台にした冒険作品がかなり多く放送されています。
例えば「モンテ・クリスト伯」、「アドリア海の復讐」、「三銃士」、「仮想の騎士」、(少しヨーロッパをはみ出しますが…)「ジャガーになった男」などで、広い意味では「海賊モア船長の遍歴」や「レディ・パイレーツ」などの海賊ものも含まれます。
フランス革命期だけに限っても「紅はこべ」、「ベルサイユのばら外伝」などがあり、本作はその系列に連なる作品です。
横道にそれますが、この人気ジャンルのラインナップに、佐藤賢一さんの「二人のガスコン」を加えてはいかがかというのが、この記事の内容でした。

スカラムーシュとは

「スカラムーシュ」という言葉は日本人には馴染みがないのですが、ストーリーに旅劇団を絡ませつつ、アンドレの立場とイタリア喜劇における道化「スカラムーシュ」とを重ね合わせて描いていく構成なのでとても分かりやすいです。
当初は侮蔑又は自嘲のための言葉として使われていた「スカラムーシュ」という言葉ですが、徐々にアンドレが自らを規定する積極的な言葉として使われるようになっていきます。
本作は全15話という比較的長目の枠が設定されていますが、ぐいぐいと物語が進み長さを感じさせない作品です。
ただ、物語のラストは少し唐突であっけないと感じました。

ナレーションは少なめに

また、本作の「音」関係についてですが、テーマ曲はクラシック調な重厚なもので劇的な雰囲気がよくでています。
一方、少しだけ気になったのがナレーションの多さ。
アクション作品の場合は、一般的には極力ナレーションを減らして効果音で状況を描写した方がスピード感が出ると思います。
とはいえ、本作のナレーションを担当された大橋吾郎さんの声は、政宗一成さんを彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎかも知れませんが、低音でとても渋いので、物語の邪魔にはならず、それほど気にはなりませんでした。

主演は渡辺大さん

大橋さん以外の出演陣では、主役のアンドレ・ルイ・モロー役は俳優の渡辺大さん。
渡辺謙さんの息子さん、と書かれるのは本人にとって不本意なのかな。
いかにもアンドレらしい声の方で適役だと感じました。
ちなみに父親の渡辺謙さんはFMシアター枠ですが「大黒屋光太夫」に主演されています。

加藤保憲登場

一方、自らの正義を貫こうとするダジル侯爵役は、「帝都物語」の魔人・加藤保憲役で一躍有名になった嶋田久作さん。
本作でも、宿敵であるダジル侯爵を不気味な声で演じており雰囲気たっぷりです。
ちなみに以下のURLはご本人のブログの一部で収録時のことを書いてものです。
ラジオドラマと舞台との比較など興味深い内容です。

↓(外部リンク:嶋田久作さんのブログ)
http://9saku.blog102.fc2.com/blog-entry-239.html
http://9saku.blog102.fc2.com/blog-entry-240.html

アイドル登場

ヒロインのアリーナ役はグラビアアイドルの磯山さやかさん。
青春アドベンチャー系列の番組で時々見られる、妙にミーハーな配役ですが、青春アドベンチャーの場合、基本的にグラビアアイドルさんでも極端に下手な方は採用されないので、安心して可憐な声を堪能できます。
その他、アンドレの育ての親であるケルカデュー侯爵役に俳優の永島敏行さん、なにかとアンドレを気に掛けてくれる母親的な立場のプルガステル夫人役に女優の宮崎美子さんと、脇役が妙に豪華であるもの青春アドベンチャーらしいところです。
宮崎さんは若い頃はアイドル扱いだったわけですが、NHKの「サラリーマンNEO」などをみているとすっかり演技派の女優さんになったと感じます。


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