少年(中高)

格付:A

君を探す夏 作:桑原亮子(特集オーディオドラマ)

世間がコロナ禍に揺れる2020年の夏。何もできなかった高校1年の一学期が終わった日の帰り際、久保麻里子は担任の先生から同級生・百瀬ゆいの教科書を持ち帰るように頼まれる。一度口を聞いたことがあるだけで友達でも何でもないゆいに関わることに躊躇する麻里子だが、教科書を届けた際のゆいの家人の様子がどうにも気になり、家出したというゆいの行方を探しはじめることになった。本当であれば合唱コンクールに向けて頑張っていたはずの夏休み。こんなはずじゃなかった夏休みだが、こんなはずじゃなかったのは自分だけではないはず。今自分にできること、したいことは、ゆいを探すことのはずだ。
格付:AA

レヴォリューションNo.3 原作:金城一紀(青春アドベンチャー)

高校1年の生物の授業だった。ドクター・モローこと、生物教師の米倉が放った一言が僕たちの脳天を直撃した。「君たち世界を変えてみたくはないか」「世界」を「変える」? 一体なにを言っているんだ?それは変えたいさ。でも誰もが認めるオチコボレ男子校、地域住民は脳みその腐った死に損ないという意味で「ゾンビ」と呼ぶわれわれがどうすれば世界を変えられるというんだ。言っておくが僕たちは頭が悪いから、ちゃんと説明してもらわないとわからないぞ。「要は勉強のできる遺伝子を獲得すればいいんだよ」それってつまり…早い話がナンパか!よし、都内屈指のお嬢様学校・聖和女学院の学園祭に潜入だ。
格付:A

砂浜クラブ 作:國吉咲貴(FMシアター)

私は高校デビューに失敗した。今度こそは上手くやろうと思っていたのに、たった2日。もう吹部にはいけない。友だちだと思っていた二人の言葉を聞いて、教室に入ることもできなくなった。行くところがなくて辿り着いた学校裏の海岸。そこにいたのはクラスメイトの三山だった。やばい、あんな奴といっしょにいるとますますハブられる。でも…
格付:B

踏切の向こう側 作:坂下泰義(FMシアター)

朝の5時から1時間ごとに交代しつつ夜の12時まで。踏切前での交通量調査のバイトは、意外と疲れるけど、単調といえば単調、退屈と言えば退屈なバイトだ。しかし、夕方、通りかかった女子高生に声をかけられたことにより状況は一変してしまった。「最終電車に飛び込むつもりなんです。迷惑かけたらいけないので予め言っておきますけど。」…ってオイ。勘弁してくれよ。
格付:A

盟友 原作:村田喜代子(アドベンチャーロード)

「喫煙常習犯」と「スカートめくり犯」に課せられた懲罰は、お決まりの便所掃除。くすんだ高校生活が一層くすんでしまった。でもピカピカになった便器は予想以上に美しく清々しい。そう、やっている内に気が付いてしまったのだ「便所の哲学」に。そうだ、どうせなら起こしてみよう、学校に「便所革命」を。
格付:AA

いざ行かむ 短歌甲子園へ 作:東多江子(FMシアター)

「短歌甲子園」の3人の代表に選ばれてしまった。学校の課題として何気なく提出した短歌が新任の校長先生の目に留まったらしいのだ。ピアニストになるという夢が挫折して以来、何の取柄もなくただ平凡な毎日を送る私。こんな私に短歌の才能なんてあるのだろうか。まさか課題を提出したのがこの3人だけだった…という訳でもないようだけど。でもやっぱりダメだ。肝心の短歌甲子園の今年のテーマは「音」なのだ。どうしてもピアノのことを思い出してしまう。こんな私、修次郎君や夏音の足を引っ張るだけに決まっている…
作品紹介の補足

近藤史恵さん原作「昨日の海は」の真相を妄想で勝手に補足する企画。真犯人は「○○の○」?

【ラジオドラマのストーリーを勝手に裏読みする企画・第2弾。「昨日の海は」について妄想がたどり着いた結論は?】最近、ランニング中にラジオドラマを聞き返すことが習慣になっています。ランニングの時間は、短いときで30分くらい、長いときは1時間半く...
格付:A

王妃の帰還 原作:柚木麻子(青春アドベンチャー)

滝沢さんのことを、私は心の中で「王妃」と呼んでおります。もちろんホンモノの王妃ではありません。キリスト教系の私立中学校といっても、所詮は現代日本。そのようなものがいるわけありませんから。でも、クラスの「トップ」に君臨する彼女は、私のような下層民の「地味子」からすると、やっぱり「王妃」なのです。それも、傲慢、横柄、荒ぶるマリー・アントワネット的な意味で。でも、今、そんな滝沢さんが、見たことがない姿を見せております。あの「王妃」がクラスメイトの前で号泣するなんて…
格付:A

唄娘 作:森脇京子(FMシアター)

「待ってぇ~、乗ります!乗りますからぁ~!」岐阜県は白山の麓にある小さな集落・君丈村(きみたけ・むら)のバス停。いつもぎりぎりにバス停に現れる民宿君竹屋の看板娘・君丈みさとを待って、バスが発車を遅らせるのは、もはやこの村の風物詩。乗客の老人たちも心得たものだ。君丈村は、みさとが通う高校までバスで1時間もかかる山間の集落。みさとはこの小さな集落で、周囲の大人たちの暖かい目に囲まれて育ってきた。しかし、最近悩んでいる。実は高校を卒業したらこの村を出て行きたい。自由な社会で精一杯生きてみたい。でも、母は、祖父は、そして村のみんなは、みさとが民宿を継ぎ、神事で村の民謡を唄う「唄娘」をも受け継いでくれることを期待している。もう高校3年生だ。でも、みさとはまだ迷っている。
格付:A

エヴリシング・フロウズ 原作:津村記久子(青春アドベンチャー)

ヤマダヒロシは大阪市大正区に住む中学3年生。両親は離婚していて、オカンとふたり暮らし。絵を描くことだけは結構、自信があったけど、それも昨年の写生大会で、クラスの地味目な女子に完敗してからすっかりやる気がなくなってしまった。やたらと高圧的な優等生、無口で悪い噂のあるでかい男、なぜか威圧してくる女子、そして例の絵のうまい女の子。新しいクラスも苦手な奴ばっかりだ。こんなことで、1年間を乗り切れるのだろうか。自分は、運河と海に囲まれたこの埋め立て地から一生抜け出せないのではないだろうか。
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