マタギ列伝 原作:矢口高雄(青春アドベンチャー)

未格付

本記事は、現在、放送中の作品について仮の記事をアップするものです。
完結次第、正式な記事に修正します。


  • 作品 : マタギ列伝
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : (未格付け)
  • 分類 : アクション(国内)
  • 初出 : 2025年11月3日~11月14日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 矢口高雄
  • 脚色 : 大河内聡
  • 音楽 : 和田貴史
  • 演出 : 吉田浩樹
  • 主演 : 三浦翔平

東北地方中央部を貫く奥羽山脈。
その山襞深く分け入ったところ、古来よりイタズすなわち熊と技の限りを尽くし戦うマタギと呼ばれる狩りの一団がいる。
これはマタギの中でも、その腕前から「野いちご落とし」と呼ばれた天才マタギ、三四郎の冒険と変転の記録である。


本作品「マタギ列伝」は、我が国を代表する釣り漫画「釣りキチ三平」で有名な秋田県出身の漫画家・矢口高雄さんの漫画作品を原作とするオーディオドラマです。
矢口高雄さんは秋田県の山村に生まれ、銀行員を経て30歳を過ぎてからプロの漫画家になった異色の経歴の方ですが、自伝的作品「オーイ!!やまびこ」や多くのエッセイなどから「釣りキチ三平」で描かれる日本の山村の風景は矢口高雄さんご自身の現体験が基になっていることが分かります。
マタギを題材とした本作品も当然ながら矢口さんの秋田出身というバックボーンが前提となった作品です。

紹介済み?

ちなみに青春アドベンチャーでは以前「人喰い大熊と火縄銃の少女」という作品が放送され(この作品自体は矢口さんとは一切関係ない)、これに関連して「『人喰い大熊~』が漫画化されるとしたら度の漫画家さんがよいか」という個人的な趣味丸出しの記事を書いたことがあるのですが、実はそこで「マタギ列伝」を紹介させて頂いています。
オーディオドラマの原作として推薦したわけではないのですが、なんとなく嬉しいですね。

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「マタギ列伝」と「マタギ」

さて、実は矢口さんはマタギに関して「マタギ列伝」と「マタギ」という2つの作品を上梓されています。
「マタギ列伝」が先にあり、これが出版社とのトラブルで不本意な打ち切りにあったことが心残りだった矢口さんが別の出版社で再度、同じテーマでチャレンジしたのが「マタギ」です(この辺の経緯は「マタギ」に収録されている矢口さんご自身の「まえがき」に詳しい)。

何だか読んだことがあるような…

実はこの2つの作品は正編・続編というよりいわゆる「リメイク」に近く、内容はかなり同じです。
もちろん後に描かれた「マタギ」の方が絵柄は完成されており、内容も重厚といってよいと思うのですが、ストーリー的には「マタギ列伝」途中に相当する部分で「マタギ」は完結しています。
つまり先に発表された「マタギ列伝」の方が長いストーリーである、というか実は「マタギ列伝」の後半部分はすでにマタギ漫画ではなくなっている感すらあり、改めてみると壮大な蛇足にも見えます。

ではオーディオドラマ版は?

実は様々なマタギたちが登場する「列伝」としては「マタギ列伝」の前半(すなわち「マタギ」部分)だけでもオーディオドラマ化するに十分な量があるのですが(以下に記す原作各話からもとびとびの話が採用されていることがわかる)、前半を聞く限りではこのラジオドラマでは敢えて三四郎の話に絞ってストーリーとしては「マタギ列伝」の全体を描こうとしているようです(カッコ内は原作漫画での話数とタイトル)。

  1. 野いちご落とし(第1話「野いちご落とし」)
  2. 音無し佐市(第2話「音無し佐市」)
  3. 木化けの銀次(第6話「木化け」)
  4. 女マタギ(第11話「山達根本之巻」)
  5. 生命輪廻(第11話「山達根本之巻」)

個人的には熊害が毎日のように報道される昨今ですので、敢えて「マタギ」部分だけに絞って熊との戦いを濃厚なドラマとして描いてもよかった気もするのですが、この辺、脚本の大河内聡さんとNHKのスタッフがどう着地させるのか、2週目の展開を待ちたいと思います。

なんとタイムリーな題材!

さて、今少し述べたのですが、この時期に「マタギ烈伝」について記事を書くとなるとどうしても触れざるを得ないのが、この2025年に突如として持ち上がった異常な熊害のニュース。
将来、この2025年が「熊害の相次いだ特異的な年」と記憶されるのか「その後、熊害が一般的になるターニングポイントとなった年」と記憶されるのかは現時点ではわからないのですが、どうも後者になりそうな気がします。

ある意味、現代日本を象徴

というのも2025年を象徴する他の大ニュースである「令和の米騒動」(に象徴される農業政策の制度疲労)や「八潮市の道路陥没事故」(に象徴される公共施設の管理不全問題)、それにここ数年大きく取り扱われるようなった少子高齢化(特に東北地方の人口減少が顕著)、里山や中山間の荒廃、空き家空き地問題(とこれに関連する地方都市の縮小など)などなどすべてが一つの方向性をさしているように思います。
となるとこれが一過性で済むとは思えない。
ハンターを増やすとか警察官に猟銃を持たせるとかそういった次元の問題ではないと思います。
この辺を書き出すと長くそうで、お前は何を書き始めたのだと言われちゃいそうなのでいつか別記事に書くとして、話を熊撃ちに戻したいと思います。

狩猟漫画ブーム?

さて、大きな話はおいておくとしても最近は猟とかマタギとかに関する興味が高まっているとは感じます。
漫画作品で言うと岡本健太郎さんの「山賊ダイアリー」のスタートが2011年、緑山のぶひろさんの「罠ガール」が2017年。
安島藪太さんが「クマ撃ちの女」でデビューしたのが2019年です。
自然志向の流れの中で自然と増えてきているのかもしれませんが、その中でもマタギというものは一種独特で、日本の古い風土に根ざしていると同時に、独自の文化(マタギ言葉はアイヌ語との関連性も指摘されている)を持つことからまつろわぬ人々が集う異界への入口的な異世界感もある。
ある種、忍者的なキャラクター性を持たせることが可能な存在でもあり、これは世界に売ることができる日本のコンテンツなのかもしれません。
そういえば実はマタギ漫画ではなくeスポーツ漫画なのですが、原作・藤本正二さん、漫画・Juan Albarranさんの「マタギガンナー」(2022年)なんてのもありましたね。

現実には消えゆく文化

ただマタギという文化も現実的には消滅寸前の状況らしい。
この話をしだすとまた大きな話に戻ってしまいそうなので避けますが、そういった中、現実のシカリ(マタギの頭領)である鈴木英雄さんをマタギ考証に迎えた本作品に一定の存在意義はあるのかもしれません。

シリーズ 時代を語る
北秋田市阿仁打当で代々マタギの家に育ち、打当マタギのシカリ(頭領)を務める鈴木英雄さん(72)に来し方を語ってもらいます。

私自身は都会育ちなのですが、子供の頃、「釣りキチ三平」全巻と矢口さんのエッセイ本多数がなぜか家にあった(父親が好きだった)身であり、やはり山村は原風景の一つではあり、応援したい気持ちもありますしネ。(←ちょっと矢口高雄風)

主演は三浦翔平さん

おっと出演者の紹介を忘れていました。
主役の三四郎を演じるのはジュノ・スーパーボーイ・コンテスト(フォトジェニック賞・理想の恋人賞)を受賞してファッションモデルデビューした三浦翔平さん。
桐谷美玲さんの旦那さんでもあります。

井上和彦さんと井上小百合さん(偶然にも井上セット)

そしてシカリ役が名声優の井上和彦さん。
「サイボーグ009」の島村ジョー役や「銀河英雄伝説」のダスティ・アッテンボロー役で有名ですが、実は1990年代に「BANANA・FISH」で奥村英二を演じているのは青春アドベンチャーファンでは有名な話。
最近では「火星ダークバラード」で久しぶりに青春アドベンチャーに復帰したのですが、完全な悪役で衝撃的でした。
本作では完全な老人役で、これもある意味、衝撃的です。
またヒロインの吹雪鬼(ふぶき)役を演じたのは元乃木坂46の井上小百合さん。
青春アドベンチャーは「世界から歌が消える前に」、「火星ダーク・バラード」についで3作品目なので、もう常連ですね。
あとは六平直政さんが出演しているのが渋い。
日本を代表する悪役俳優(怪優)ですがさすがにご高齢。
でもオーディオドラマなら何の問題もありませんね。

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