- 作品 : アドベンチャー的五大ニュース
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A+
- 分類 : 多ジャンル(その他)
- 初出 : 1992年12月14日~12月18日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 笹原紀昭
- 主演 : 風見しんご、鶴岡優紀子
NHK-FMの青春アドベンチャーでは、1991年(当時の番組名は「サウンド夢工房」)から2009年の長きにわたって、年末の5日間にその年を振り返るコント番組を放送するのが通例でした(2006年の「イノシシ ボンバイエ!」のみ全1回)。
これらのうち青春アドベンチャー初年度の1992年の年末に放送されたのが、この「アドベンチャー的五大ニュース」です。
2つの特徴
これら一連の作品のうち、1993年の「我が輩は犬である」以降の作品は「銀河連邦のエージェントが担当者の引継ぎに当たって地球の情報を後任に申し送る」という設定の「干支シリーズ」に統一されるのですが、それ以前の作品は干支シリーズとはやや趣の異なるつくりとなっています。
この2年分のうち、1991年の「考古学的考察による1991年」は「30世紀の人間が20世紀末の遺物から当時を考察する」という独自の設定があるほかは、後年の干支シリーズに近い内容であるのに対して、今回紹介する「アドベンチャー的五大ニュース」は、干支シリーズとは大きく異なるふたつの特徴がありました。
それは、
- 干支シリーズが各回複数のネタを取り扱うのに対して本作品は各回1テーマであること
- 干支シリーズが「コント」であるのに対して「ドラマ」であること(必ずしも笑いを求めた作品ではない)
の2点であり、どちらかというと後年の「笑うシリーズ」、や「不思議屋シリーズ」、「ライフシリーズ」で実現するオムニバス短編ドラマ作品に近い内容になっています。
青春アドベンチャーにおける最初のオムニバス作品は1992年7月の「ブラックホール」だったわけですが、本作品が実質的に2作品目ということになります。
出演者紹介
本作品の出演者は、俳優・タレントの風見しんごさんと、お笑い芸人?の鶴岡優紀子さん。
風見しんごさんは1988年の「幽霊海戦」(アドベンチャーロード)以来の主演になります。
ちなみに1988年時点では「風見慎吾」表記なので、この間に芸名が変わったのでしょう。
一方の鶴岡優紀子さんは「ものまねアイドル=マネドル」として売り出していた方だったようで、本作品内でも存分にその物まねを披露しているのですが…
うーん、実にパッとしない。
だけど、声だけだと難しいですよね、ものまね…
各回の概要
さて、各回で取り上げられた内容を一覧にすると以下のとおりです。
前で述べたとおり各回ワンテーマなので干支シリーズと異なりきちんとドラマになっています。
巻の1:「深夜のマラソン」(バルセロナオリンピック)
バルセロナ五輪を振り返ってのショートドラマとのことだが、きちんとオチのあるコント(オチは途中で読めちゃったけど)。
「影のJOC オリンピックGメン」とかいかにも藤井青銅さんらしいうさん臭さです。
谷口選手は「こけちゃいました」で好感度は上がったけど、悔しかっただろうな。
なお4で割り切れる年とオリンピックの年とアメリカ大統領選の年が全く一緒というのはちょっとしたトリビア。
この回の鶴岡さんのものまねは「薬師丸ひろ子」。
巻の2:「230X年宇宙の旅」(毛利さん宇宙へ行く)
恒星間宇宙船アドベンチャー号を舞台にしたSFサスペンス風の作品。
青春アドベンチャーでは藤井青銅さんといえばコメディかコントというイメージが強いが、星新一好きでショートショートの書き手でもあるという側面が強く表れた作品。
ショートショートらしくちゃんとオチもある。
この回の鶴岡さんのものまねは「楠田枝里子」。
巻の3:「It’s a small world」(貴花田・宮沢りえちゃん婚約)
前年に引き続きの「貴りえカップル」ネタ。
この回も単純なコントで、ダジャレオチ(三戸=?????)。
ちなみにこの回で話題となった元高校教師の成松先生(小結・智ノ花)は今でも友綱部屋で後進の指導に当たっているとのこと。
この回の鶴岡さんのものまねは「山口美江」。
巻の4 :「暁の超特急・ザ・山形」(山形新幹線開通)
テーマは「人は何度でもやり直すことができる」。
少しリリカルだけど穏やかな日常系ファンタージ作品。
巻の2やこの回のような笑いを取らない回があるのが本作品の特徴。
ちなみにこの回の中で「はやぶさという新幹線はない!」といっているが、約20年後の2011年から東北北海道新幹線に「はやぶさ」が設定されることになる(1992年当時でも在来線に「はやぶさ」という特急はありました)。
この回の鶴岡さんのものまねは「ピンクの電話のよっちゃん(清水よし子)」
巻の5:「株価戦線異状あり」(バブル崩壊)
土地関連融資の総量規制が実施されたのが1990年3月。
日経平均株価の2万円割れが1990年10月で、本作品が放送された1992年は地価も明確な下落傾向になっていました。
作品自体はこの時代の空気を如実に反映したシナリオで、クリスマスが近いことを意識した「S(サンタクロース)資金」なる要素や、鶴岡さんの物まねをふんだんに取り入れた構成などなかなかお見事。
ただ少しファンタジックに終わるオチは微妙に感じました。
この回の鶴岡さんのものまねは「沢口靖子」。
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