ザ・素ちゃんズ・ワールド-”ひでおと素子の愛の交換日記”から 原作:新井素子(カフェテラスのふたり)

格付:A
  • 作品 : ザ・素ちゃんズ・ワールド-”ひでおと素子の愛の交換日記”から
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : A
  • 分類 : 日常
  • 初出 : 1986年10月13日~10月24日
  • 回数 : 全10回(各回10分)
  • 原作 : 新井素子
  • 脚色・構成 : 森浩美
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 小林聡美、太川陽介

SF作家・新井素子さんのエッセイ「ひでおと素子の愛の交換日記」をベースとしたショートドラマを中心に、出演者おふたりのトークや、新井素子さんへのショートインタビューで構成された作品です。


「カフェテラスのふたり」とは?

本作品「ザ・素ちゃんズ・ワールド-”ひでおと素子の愛の交換日記”から」が放送された「カフェテラスのふたり」という番組は、長年続いた「ふたりの部屋」の後番組でした(過去の番組再編の概要は、こちらの記事をご参照下さい)。
「ふたりの部屋」も「カフェテラスのふたり」も一応ラジオドラマの番組ではありましたが、エッセイを原作とする作品や出演者のトークが入る作品も多く、かなり柔軟な内容でした。
特に「カフェテラスのふたり」はその傾向が強く、女性リスナーも意識した番組だったと思います。

その後の番組の変遷

その後、「アドベンチャー」系(FMアドベンチャー、アドベンチャーロード)の番組が終了した後に始まった「サウンド夢工房」も、この「ふたり」系の番組に近い内容の番組でした。
しかし、「サウンド夢工房」が現在も続く「青春アドベンチャー」に再編された後には、本作品のような作品は影を潜め、純然たるラジオドラマ番組になっています。
出演者のトークコーナーがある作品も、青春アドベンチャーでは、総集編である「おいしいコーヒーのいれ方 メモリーズ」を除けば、「マナカナの大阪LOVERS」、「マナカナの大阪WORKERS」くらいだと思います。

各回の概要

さて、本作品には1回ごとにお題があり、それに沿って(あまり沿っていない場合も)ドラマやトークが進行します。
各回のテーマと概要は以下のとおりです。

話数 テーマ 概要
1 幼児期 出演者お二人(太川陽介さん、小林聡美さん)のトークの随所に新井素子さんのコメントが挟まる、本作品の中でも独特の形式の回です。
最後に「あたなにとって幼児期とは」というテーマで新井素子さんへのインタビューもちゃんとあります。
本作品以前に、新井素子さん原作の作品が、「ふたりの部屋」で5作品(プシキャット翔んでも大冒険、ひとめあなたに…二分割幽霊綺譚、絶句、グリーン・レクイエム)、「カフェテリアのふたり」で1作品(星へ行く船)放送されていることも紹介され、全体のプロローグ的な位置づけです。
なお、番組中でNHK-FM版「グリーン・レクイエム」のテーマ曲が使われています。
2 太川陽介さんが若い女性の役を演じる異色の回。
出演者が2人しかいないのでこんなことが起こるんですねえ。
この回の一部では、小林さんが主演していた「星へ行く船」の一部が放送されます。
この頃の太川さんは後に異色の旅番組(後述)で人気になるとは思っていなかったでしょうね。
3 恋愛 この回では原作者の新井さんご自身が出演されている「ひとめあなたに」の一部が使われています。
ちなみに「ひとめあなたに」の脚色は本作品と同じ森浩美さんです。
また、インタビューでは、「原作者の新井素子」として出演した「絶句」の裏話(実はNHKからの最初のオファーは「主役の新井素子」役だった)が語られており興味深いです。
「恋愛」がテーマの回なのにインタビューの内容が恋愛関連ではないのはご愛敬ということで。
4 ファッション オーソドックスにフリートークとドラマとインタビューで構成された回。
またしても太川さんが女性(母親)役で出演しています。
それにしても新井さんが当時のSF界でいかに可愛がられていたかよくわかるエピソードです。
5 学生生活 「大学のレジャーランド化」なんて言われていた時代もあったなあ、ということを思い起こされる回です。
さて、それはともかくこの回で一番気になるのは、冒頭のファンレター紹介の後の太川さんの発言です。
「録音テープ下さい、というのは勘弁して下さい。法律で禁じられていますので。」とのこと。
昔から権利絡みで色々大変だったのが分かりますが、NHKさんには何とかして後でも聴けるような方策を講じて欲しいものです。
また、作中で女性の「若手SF作家」であるM・Oさんの誕生記念パーティというくだりがあるのですが、MOさんて誰でしょうか?
大原まり子さん(青春アドベンチャーでは「タイム・リーパー」が採用されている)かな?新井さんとはほぼ同世代のハズですし。
6 家風 太川さん、この回ではおばあさん役です。
そして今度はNHK版「グリーン・レクイエム」の一節が流れます。
荻野目慶子さんの少し舌足らずなしゃべり方がかわいい。
7 グルメ この回では第3回のインタビューでも語られた「絶句」の一部が流されます。
結局、主役の新井素子役は横沢啓子さんが演じています。
8 健康診断 この回では他作品からの引用は特にありません。
実は私も注射が苦手なので、新井さんの気持ちはよくわかります。
9 電話 私は電話も嫌いです。変なところで新井さんと気が合うなあ。
この回も特に他作品からの引用はありません。
10 旦那さん Tさんこと、新井素子さんの旦那さんである手嶋政明さんがテーマです。
出演者のお二人がトークコーナーでも言っていますが、まあ、おのろけです。

資源の有効活用

以上のとおり、この作品、これまでNHK-FMで制作してきた新井素子さん原作のラジオドラマの資源を徹底的に活用した作品です。
インタビューの形で原作者である新井さんご自身の声もふんだんに使用(他の原作者が出演する作品はこちらをご参照ください)されており、ファンには堪らないだろうと思われる構成。
私は、今も昔も新井さんのすごいファンという訳ではないのですが、ちょっとした裏話が聴けることもあり、たまにはこのような気楽な作品もいいなあ、と思えた楽しい作品でした。
ちなみに、この作品以前に制作された新井さん原作のNHK-FMのラジオドラマのうち「プシキャット翔んでも大冒険」と「二分割幽霊綺譚」はなぜか使用されていません。

当時の常連、小林聡美さん

さて、本作品の出演者は、インタビューで登場する新井素子さん自身の他には、主に新井素子役を演じる女優の小林聡美さんと、編集者の“秋山さん”を始めとする諸々の役を演じる俳優の太川陽介さんのおふたりです。
小林さんは上で書いたように同じ新井さん原作の「星へ行く船」でも主演されているほか、「カフェテラスのふたり」では多くの作品に出演されていました。
後年の「アドベンチャーロード」では「もしかして時代劇」で主演されています。

人気復活、太川陽介さん

また、太川さんは「ルイ・ルイ」で若くして一世を風靡した歌手・俳優・タレントの方ですが、最近の太川さんの一番印象的なお仕事といえば、やはりテレビ東京で放送中の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でしょう。
旅の目的地ではなく、旅の過程を見せ場にするというつくり方は、大泉洋さんを全国区にした北海道テレビの有名番組「水曜どうでしょう」と同じです。
しかし、レギュラー放送終了後、徐々に輝きを失っている「水曜どうでしょう」よりも、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の方が現時点では確実に面白い。
旅の期間こそ短いものの、出演者に配慮しない過酷さは、現在の生ぬるくなってしまった「水曜どうでしょう」とは好対照です。

面白い人だったのね

そして、もともと蛭子能収さんが大泉洋さんに匹敵するキャラクターなのは存じ上げていましたが、この番組では太川さんもミスターこと鈴井貴之さんに匹敵するほどキャラがたっています。
太川さんがこんなに真面目面白い人だとは思わなかった。
わが家ではごく初期に偶然見始め、自然発生的に家庭内でブームが起こりました。
見ていない方は是非、ご覧になっていただきたいですが、あまりハードルを上げて真剣にみるほどの番組ではないので、その辺は割り引いてくださいね。

【新井素子原作の他の作品】


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