- 作品 : ハリーとアキラ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : AA
- 分類 : スポーツ
- 初出 : 1993年6月7日~6月11日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 辻野臣保
- 演出 : 小越淳
- 主演 : 森山周一郎
ミズーリ州に住むペイジ一家はプロレス一家だ。
長男のアキラは世界チャンピオン、次男のテリーも有名なレスラー。
そして引退した父のハリーはかつては伝説のレスラーだった。
一家は八百長とは無縁の激しいプロレスが売りだ。
そのため対戦相手がなかなか決まらないのが悩みだが、父親の代からのプロレスを誇りに、充実した日々を送ってきた。
しかし、ハリーが急にカムバックを宣言したことにより、一家は大混乱に陥ってしまう。
ハリーは確かに凄いレスラーだった。
しかし、もう65歳(宣伝パンフレット上は57歳)だ。
本人はどう思っているか知らないが力の衰えは確かだ。
ハリーは何を考えているのだろうか。
辻野臣保さんによるオリジナル脚本のラジオドラマです。
Fの奇跡
辻野さんは本作品の制作時には普通のシナリオライターであったようですが、1998年、Jリーグ横浜フリューゲルスの横浜マリノスへの合併騒動が発生した際に、「横浜フリューゲルスを存続させる会」「横浜フリューゲルス再建協議会」を立ち上げその活動をリードした方なのだそうです。
そして、その後さらに、横浜FCの立ち上げに携わり、自ら社長として初期の横浜FCの活動を支えたそうです。
この作品は1993年に放送された作品ですので、この脚本を書いている頃の辻野さんはご自身にこのような運命が待っているとは想像しようがなかったと思います。
ただ、この作品も広い意味でスポーツを題材にした作品であり、辻野さんは以前からスポーツに興味があったのだろうなあとは感じます。
語り手は長男アキラ
さて、本作品「ハリーとアキラ」は、元プロレスラーの父親ハリーが急に現役復帰を決めたことに戸惑う息子であるアキラが語り手になっています。
ちなみにアキラという名前はハリーが日本滞在時に生まれたからつけられただけで、日系人ではありません。
ストーリーについて書きますと、ハリーが現役復帰を決めた理由はもちろんそれなりにあるのですが、深い因縁話があるわけではありません。
また、ストーリーもハリーや家族の思いを織り込みつつも、特にお涙頂戴的な内容になるわけではありません。
全5回と短い作品であることもあり、気軽に聴ける爽やかで気持ちの良い作品になっています。
スポーツものに名作多し
ところで、青春アドベンチャーのスポーツものには外れがない、というのは私の持論です。
今までに紹介した作品でも、「DIVE!!」が格付け“AAA”、「バッテリー」と「1985年のクラッシュ・ギャルズ」が“AA-”、「一瞬の風になれ」が“A”が、「闘う女。」が“A-”と粒ぞろいです。
これらの作品の中でも本作品は最もストレートな話です。
テーマ曲もヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」ですし、雰囲気もとても明るい。
同じプロレスを扱った「1985年のクラッシュ・ギャルズ」が、日本らしい湿度の高いストーリーであるのとは対照的です。
たまにはこのようなシンプルな作品も良いのではないでしょうか。
森山周一郎さんの雰囲気が最高
出演は、カムバックする老レスラー・ハリーを森山周一郎さんが演じています。
ジャン・ギャバンなどの洋画の吹き替えで知られる、特徴的な声の名優です。
森山さんが宮﨑駿監督の「紅の豚」で、主役のポルコ・ロッソ役で出演されたのが1992年ですので、本作品はその約1年後の作品ということになります。
また、ハリーの息子のアキラ役は俳優の新藤栄作さんです。
元キックボクサーという異色の経歴の持ち主である新藤さんを、プロレスをテーマにした作品に起用するところなど、ちょっとしたスタッフの拘りなのでしょうか。
【近代から現代にかけてのアメリカ合衆国を舞台にした作品】
第1次世界大戦後に完全にイギリスから覇権国家の座を奪い取ったアメリカ合衆国。
その発展期から現代までを舞台にした作品の一覧はこちらです。
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