大魔王の逆襲 ランドオーヴァーpart4 原作:テリー・ブルックス(青春アドベンチャー)

格付:AA
  • 作品 : 大魔王の逆襲 ランドオーヴァーPart4
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : AA-
  • 分類 : 異世界
  • 初出 : 1996年9月2日~9月20日
  • 回数 : 全15回(各回15分)
  • 原作 : テリー・ブルックス
  • 脚色 : 高山なおき
  • 演出 : 川口泰典
  • 主演 : 古澤徹

剣と魔法の王国・異世界ランドオーヴァーの王としての生活にもすっかり馴染んだ元弁護士のベン・ホリディ。
その日彼は、生涯の伴侶と決めた精霊のウィロウから子ども授かったという報告を受けて有頂天であった。
しかし、朝一番で王を訪問してきたのは、王の側近のクエスター・スーズやアバーナシイが「最悪のトラブルメーカー」と呼ぶホリス・キューだった。
しかも、ホリスは実はゴース、すなわち、妖精達によって永年幽閉され、ランド・オーヴァーの征服と妖精達への復讐に燃える大魔王の手下となっていたのだった。
こうして、騙されやすい王様ベン・ホリディは、またしてもあっさりと危険に巻き込まれていくのだった。



異例の長期シリーズ

テリー・ブルックス原作の異世界ファンタジー「ランドオーヴァー」シリーズの第4弾のラジオドラマ化作品です。
第2弾「魔術師の大失敗」と第3弾「黒いユニコーン」はなぜか原作と逆の順序でラジオドラマ化されましたが、本作品「大魔王の逆襲」は順番どおり4番目に制作されました。
ちなみに第3弾「黒いユニコーン」のすぐ後に放送されましたので、両作品併せて25話(5週間)、連続してランドオーヴァーシリーズが放送されたことになります。

ゼロからやり直す異世界キャスト

ところがこの「黒いユニコーン」と「大魔王の逆襲」の2作品には不思議な現象が起きています。
このランドオーヴァーシリーズは青春アドベンチャーのシリーズものには珍しく、レギュラーキャラクターの担当出演者が頻繁に変わる(詳細はこちらをご参照下さい)のですが、何と連続して放送されたこの2作品の間でも出演者が変わっているのです。
特に、主要キャラクターである「書記を務める口やかましい犬」アバーナシイが前作までの井上和彦さんから山西惇さんに、ランドオーヴァー有数の実力者であるドラゴンのストラボが青山勝さんから吉田鋼太郎さんに替わってしまったのが大きい。
井上さんも青山さんも直前の「黒いユニコーン」には出演されたのになぜ?
何か理由があったのでしょうか…

二人って、それはないでしょう!

その結果、4作まで通しで登場するキャラクターで、担当俳優が変わっていないのは、「無能な宮廷魔術師」クエスター・スーズを演じる海津義孝さんと、魔女ナイトシェイドを演じるなかいおりさんだけになってしまいました。
そしてこの配役変更は次の第5弾「見習い魔女にご用心」でさらに意外な展開を見せるのですが、その辺は「見習い魔女にご用心」の記事に譲りましょう。

大魔王はありふれた職業で世界最強?

さて、作品内容ですが、まず注目すべきは作品のタイトル。
「大魔王の逆襲」というタイトルからは、第1作で大暴れした妖魔の王マルクの逆襲を連想するのが素直なのではないかと思いますが、本作の敵は初登場のゴース。
確かに数千年前に妖精との戦いに負けて、不思議な小箱(=異世界)に閉じ込められていたゴースからすれば立派な逆襲なのですが、最近、ランドオーヴァーに来たベンから(そして視聴者からも)みると、初対面です。
そもそもゴースは、終盤で多少、妖魔の軍団を呼び寄せはしますが、大魔「王」というのとは少し違う気がします。
原題の“The Tangle Box”が地味すぎたのかも知れませんが、やや視聴者をミスリードさせかねないタイトルですね。

ようこそ実力至上主義の王国へ

それはともかく、物語の開始早々、例によってあっさりと騙されて、仲間たちと切り離されてしまうベン。
さすがに第4作目ともなると、マンネリ化は否めないと言わざるを得ません。
しかも、剣と魔法の世界ランドオーヴァーを、元は弁護士であるベンが切り回すのが面白みであるはずなのに、本作での序盤のベンは実務家としてのキレはほとんど感じられない。
しかも、本作品は、通常10回シリーズであるランドオーヴァーシリーズで唯一の連続15回の作品で、途中、結構ダレます。

ホリス・キューからはじまる異世界協奏曲

後半、ベンとストラボと魔女ナイトシェイドの珍道中が、なかなかいい感じのパーティーになるのは悪くないのですが、まあ平均的な出来かなと思って迎えた終盤、物語は一気に加速し面白くなっていきました。
アバーナシイのかつてない活躍から、ベンたちの脱出、ストラボとの共闘、黒幕との対決まで一気に進むさまはなかなか爽快です。
本作の狂言回しである、はた迷惑な魔法使いホリス・キューとその相棒の鳥・ビガーもなかなか活躍ぶり。
そしてメインの事件は第14回で終わり、最終回がエピローグ的に使われているのも好印象。
最後は第4作「黒いユニコーン」から再登場するプリズム猫のエッジウッドダークがいいところを持っていきます。
そういえばこのエッジウッドダークといい、ビガーといい、最終回は舵一星さんが大活躍ですね。

ところで…

それにしても、ベン(Ben Holiday)の姓は「ホリデー」か「ホリディ」か「ホリデイ」か、どれが正しいのでしょうね。
作品中でも各出演者ごとに発音がゆれている様に感じます。


【ランドオーヴァーシリーズ】
第1作 魔法の王国売ります
第2作 魔術師の大失敗
第3作 黒いユニコーン
第4作 大魔王の逆襲【本作品】
第5作 見習い魔女にご用心(次作品)


【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。


【近代から現代にかけてのアメリカ合衆国を舞台にした作品】
第1次世界大戦後に完全にイギリスから覇権国家の座を奪い取ったアメリカ合衆国。
その発展期から現代までを舞台にした作品の一覧はこちらです。


コメント

タイトルとURLをコピーしました