夢の10分間 原作:豊田有恒(ふたりの部屋)

格付:B
  • 作品 : 夢の10分間
  • 番組 : ふたりの部屋
  • 格付 : B-
  • 分類 : SF(日本)
  • 初出 : 1982年1月11日~1月22日
  • 回数 : 全10回(各回10分)
  • 原作 : 豊田有恒
  • 脚色 : 加藤直
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 斎藤晴彦

SF作家・豊田有恒さんの同名のショートショート集「夢の10分間」の中から10編をドラマ化した作品です。


オリジナル作品?

本作品を放送した「ふたりの部屋」は、本作放送当時、月曜日から金曜日のそれぞれ10分ずつ放送される帯番組でした。
そのため、この「夢の10分間」というタイトルを見ると、あたかもこの番組のために書き下ろされたオリジナル作品のようですが、別途、原作本があるようですので、「10分間」が一致しているのは偶然のようです。
ちなみに「ふたりの部屋」は、本作品放送の約3カ月後の1982年4月から15分番組になっています。
もし、4月以降に放送されていたなら、「夢の10分間」というタイトルなのになぜか放送時間は15分という奇妙な作品になってのでしょうね。

ショートショートの名手

さて、豊田有恒さんと言えば、私にとっては宇宙戦艦ヤマトの原案者であり、アニメやジュブナイル方面での活躍が印象的ではあるのですが、いうまでもなくそれに止まる方ではなく、小松左京さん、星新一さん、筒井康隆さん、眉村卓さんなどに代表されるSF第一世代を代表する書き手のひとりです。
特にショートショートの書き手という点では(星新一さんは別格として)かなり有名な方であったと思います。
NHK-FMでは豊田さんの原作作品としては他に「パチャカマに落ちる陽」もラジオドラマ化していますが、やはり豊田さんらしいショートショートとといえばこの作品でしょう。

各回の概要

さて、全10回の概要は以下のとおりです。
古い作品ですが、お蔭さまで何とか全話聞くことができました。

タイトル 内容
一言
1 隣りと戦争 隣りの家とどうしても馬が合わない。こうなったら宣戦布告だ。
段々とエスカレートしていくのはショートショートの定番かな。
2 カーマニア異変 ある朝、気がついたらガレージにいた。目は見えるが身体は動かない。一体何が?
変身もの。一体何に変身してしまったのかは聴いての(読んでの)お楽しみ。
3 子供 超能力者は殺しても構わない。だって心の中を読まれるなんて耐えられないじゃないか。
一種のディストピアもの。展開もオチもブラック。
4 女の子 息子が同級生の女の子に虐められた。最近は女の子の方が男ぽいらしいのだが。
「男の方が美しく、夢はお婿さん」という社会だからといってディストピアとは限らないか。
5 出ておいで(※) 山奥のコテージ。夜、獣の吠え声が聞こえてくる。あれは日本狼?まさか。
人口減少社会に入った日本。いつかこういうこともあるのか知れない。
6 逆上コンサルタント 逆上こそ全ての秘訣、逆上こそ全ての扉を開ける鍵。そう、私は逆上コンサルタント。
「コンサルタントもの」。「逆ギレ」といえばそれまでだが意外と今でも有効なのかも。
7 悪運 「人間の運はトータルで決まっている」が持論の友人・遠山が急にツキ始めたのだが…
とてもストレートなオチ、というと大体想像できてしまうかな。
8 さらば、スピードよ ある日、車に乗ったら急にスピードを出すことが怖くなった。しかも私だけではなく…
進化の方向性を「恐竜は巨大化、人類はスピード化」と捉えたのは面白い。
9 分身 30世紀の未来から、子孫の未来人が私の身体の中にサイコポーテーションをしてきた!
言ってみればドタバタSF。勝手に身体を操ったり、良くある展開ではある。
10 ご当地邪馬台国 私は邪馬台国コンサルタント。邪馬台国ブームで、あちこちの町と村から依頼殺到中だ。
これもコンサルタントもの。それにしても魏志倭人伝って2000字足らずなんですね。

(※)おんおんさんから情報をいただきました。詳細はコメント欄をご参照ください。

SF=少し不思議(Sukoshi-Fushigi)

前半5回は「マイホームショートショート」と銘打たれていることからも分かるとおり、必ずしもSF色が強い作品ばかりではありません。
シチュエーションが特殊なだけの話が多く、SFといっても「すこし不思議」の方のSFといったところでしょうか。
なお、原作小説(講談社文庫版)に掲載されていた25作品のうちラジオドラマ化されなかった14作品は以下のとおりです。
「美人コンサルタント」「愛しのGT-R」「最後のGT」「赤ん坊」「報酬」「用語コンサルタント」「恋人」「小さいことはいいことだ」「オフィス」「奇跡」「オリジナリティー」「晩秋の海」「USA騒動記」「恐竜観光」「夢の10分間」

出演者は2人+1人

出演者は、「ふたりの部屋」の名のとおり、斎藤晴彦さんと神保共子さんのおふたり。
後半の5話にはゲストとして服部吉次さん(放送からお名前を聞き取ったので本当にこのかたかはわかりません)も出演されています。

ブレイク前の斎藤晴彦さん

斎藤晴彦さんは、早稲田大学文学部演劇学科を卒業後、小劇団を主な活躍の舞台としていた方で、本作放送当時は一般的には無名の方でした。
その後の1986年にKDDのCMでクラシックの替え歌を披露して一躍ブレイク。
突然TVに出始めたのを覚えています。
NHK-FMでは、「斎藤晴彦の試験によく出るモーツァルト」など、1990年から1992年に放送された「サウンド夢工房」の作品に多く出演されていました。
本ブログではすでに「フランケンシュタイン家の家庭読本」を紹介済みです。
惜しくも2014年に他界されているようです。
また、神保共子さんも文学座に所属する主に舞台を主戦場とされてきた女優さんです。
神保さんはまだご健在のようです。

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コメント

  1. おんおん より:

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    どうもはじめまして。おんおんと申します。

    最近になって実家から当時エアチェックしていたテープが発掘され、その中に80年代の「ふたりの部屋」もいくつか含まれていました。
    そのうちのひとつ「夢の十分間」をmp3化している時に、検索してこのページにたどり着きました。

    第五回のエピソードですがタイトルは「出ておいで」になります。
    参考になれば幸いです。

  2. Hirokazu より:

    SECRET: 0
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    おんおんさま

    コメントありがとうございます。
    さっそく追記させていただきます。

    それにしても古い音源をお持ちのようで羨ましい限りです。
    「ふたりの部屋」は長く続いた番組だったのですが、今となってはごく一部しか聞くことができないのが残念です。
    NHKにも音源が残っていなさそうですし…

  3. おんおん より:

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    ラジオはテレビより状況的には厳しそうですよね。滅多に販売もされませんし。
    視聴者からのビデオ提供で復刻された「少年ドラマシリーズ」のようになるといいと思うのですが難しいですよね。そういう企画があればいくらでも協力するのですが。

    ちなみに我が家で発掘されたラジオドラマのリストはこんな感じです。検索しまくって放送日などの情報を埋めている途中ですが。
    http://www.onon.jp/~onon/list.xls

  4. Hirokazu より:

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    おんおんさま

    コメントありがとうございます。
    NHKも、テレビ番組ほど積極的ではないようですがラジオ番組の音源も集めているようで、「今日は一日ラジオドラマ三昧」で放送された「死ぬには手ごろな日」は視聴者からの提供音源と言っていました。

    http://www.nhk.or.jp/archives/hakkutsu/film/
    http://seisyunadvroad.blog.fc2.com/blog-entry-398.html

    ただ、公開する筋道をつけてくれないと、積極的に送るモチベーションは湧きませんよね。

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