格付:A

格付:A

アゴラ69 ~僕らの詩(うた)~ 作:吉村ゆう(青春アドベンチャー)

そこそこの大学を卒業し、大手不動産会社に勤務。 歌手になる夢を諦めてサラリーマンになった中島悠大(ゆうだい)だったが、最近仕事に身が入らない。 しかも歌を止めた後も心のよりどころだった新宿のライブハウス「パワー」が閉店すると聞いて一層意気消沈。 「パワー」で管をまいて古いコンパクトステレオから流れてくる音楽を聴きながら眠りこけてしまった彼だが、しかし目を覚ますとなぜかそこは街角のゴミ捨て場だった。 周りを見わたして目に入る風景も、新宿には違いないが、街並みは全く別物。 風にあおられた新聞紙に描かれていたトップ記事は「東大安田講堂の陥落」。
格付:A

イッツ・ア・ビューティフルワールド 作:今城文恵(青春アドベンチャー)

人は死ぬと土に還る。 しかし、誰かを強く恨んで死んだ人間は不老不死の怪物となり復活する。 そして恨みを晴らすために執拗に恨んだ相手を付け狙う。 その怪物を「仇者」(アダモノ)という。 …が、そんなことはもちろん知っている。 仇者は有史以来、人類の歴史とともにあり多くの悲劇を生み出してきたからだ。 しかし一女子大生に過ぎない私は本当は何もわかっていなかった。 仇者とはどういう存在であるのか、そして仇者に付け狙われるということが、この社会においてどのような意味を持つのかということを。
格付:A

青い羽ねむる 作:吉野万理子(FMシアター)

母が死んだ。交通事故だった。 残されたのは田舎の家と一羽のセキセイインコ。 毎日実験で忙しいポスドクの身としては通勤時間が1時間半もかかる田舎に住むわけにはいかないが、インコを引き取ることはできる。 このインコ、よくしゃべるので、気がまぎれる気もするし。 それにしてもタイミングよくしゃべるインコだな、まるで人間の言葉がわかるみたいだ。 まるで… そんなことないよな…
格付:A

恐怖の館・日本現代編 原作:半村良ほか(サウンド夢工房)

1990年の夏に「サウンド夢工房」という番組内で3週に亘って放送された「恐怖の館」。 「日本古典編」、「欧米編」に続く、最終週がこの「日本現代編」でした。 演出はまたまた変わって伊藤豊英さん。 音楽担当、脚本家も変わり、ナレーションを含め出演陣も総入れ替えですので、前2週とはまた異なる雰囲気の作品になっています。
格付:A

悠久のアンダルス 作:並木陽(青春アドベンチャー)

8世紀にウマイヤ朝が征服してから数百年。 イベリア半島、イスラム教徒が呼ぶところのアル・アンダルスは、ウマイヤ朝が滅亡して小国に分裂してもなおイスラム教の勢力圏にあった。 そうした小国のひとつムルシア国の王アル・ディーブは、聡明な姉ラシーダの補佐のもと、強力な国家による平和の実現のため、日々戦いのさなかにあった。 国政面ではアンダルス東海岸の統一が視野に入り、家庭的にも妹ミスリーンや身内と言ってよい亡命王女カトルンナダーとの心安まる生活を得、順風満帆に見えたアル・ディーブとラシーダ。 しかし、隣国バルセロナに傭兵隊長として"隻腕のダリオ"が雇われたのを境にふたりの運命は予想もしない方向に転がり始める。
格付:A

コンビニ人間 原作:村田沙耶香(FMシアター)

小さい頃、私は普通とは少し違う子だった。 例えば、喧嘩を止めろと言われたら、喧嘩しているふたりをスコップで殴った。 小鳥の死骸をみつけたら、家に持ち帰って焼き鳥にしようとした。 こんな行為の何がいけなかったのだろうか。今でもよくわからない。 でも大学に入りコンビニでアルバイトを始めて、ようやくわかった。 マニュアルどおりに働けば周りの人は喜んでくれる。 この社会を動かす歯車のひとつとして今日も正しく回っていける。 そうして18年が過ぎた。 36歳独身、コンビニのアルバイト。この道18年のベテラン。 私は普通のはずだ。
格付:A

孤島の花 作:鈴木そなた(FMシアター)

瀬戸内海の孤島に作られた高級老人ホーム「リル・ドゥレーブ」。 高級感を演出するラウンジやホール、シェフが腕を振る食事、そして24時間体制の医療サービス。 そこはまさに「限られた人だけの特別な場所」。夢を実現した者たちの理想郷だ。 しかし、勤務する医師にとって理想の職場かは別問題。 29歳の医師・三浦新司がここに務めているのは、以前勤務していた大学病院で医療ミスのトラブルに巻き込まれたからであって、自ら希望してき来たわけではない。 夢を成し遂げた老人と、夢を見ることを諦めた医師。 正反対のようだが、本当にそうなのだろうか。
格付:A

遙かな旅 蝶の道 作:吉野万理子(特集オーディオドラマ)

「アサギマダラという“渡り”をする蝶を追うバイク旅をしたい。ついては2週間ほど休暇が欲しい。」 確かにこの申し出は唐突なものだったのかも。 でも、編集長が出してきた提案はもっと突飛だった。 「蝶を追うついでに、日本中の戦跡を巡る旅をしてそれを記事にしろ、仕事として行っていいから。」 聞くと、これは先日突然他界した編集部員、三嶋拓也が残した企画だという。 知っている。 編集部の人たちには黙っていたけど、私と三嶋さんは恋人同士だったのだから。 アサギマダラの話だって三嶋さんに聞いて知ったのだから。 知りたい。 生前、彼がどのような思いでこの旅に誘ってきたのかを。
格付:A

ベルリンは晴れているか 原作:深緑野分(青春アドベンチャー)

ベルリンはこの2年ずっと雨だ。 父と母と、そしてイーダと空を見合上げたあの日から、一度も青空を見ていない。 戦争が終わってもベルリンの空は晴れない。 そう戦争が終わっても消えることはないのだ。受けた傷も、犯した罪も。
格付:A

砂浜クラブ 作:國吉咲貴(FMシアター)

私は高校デビューに失敗した。 今度こそは上手くやろうと思っていたのに、たった2日。 もう吹部にはいけない。 友だちだと思っていた二人の言葉を聞いて、教室に入ることもできなくなった。 行くところがなくて辿り着いた学校裏の海岸。 そこにいたのはクラスメイトの三山だった。 やばい、あんな奴といっしょにいるとますますハブられる。 でも…
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