今年の梅は 作:伊佐治弥生(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : 今年の梅は
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : 家族
  • 分類 : B+
  • 初出 : 2021年11月13日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 伊佐治弥生
  • 演出 : 佐藤譲
  • 主演 : 中越典子

世の中には“便利屋”という仕事に不信感を持つ人間もいる。
確かに家庭内の仕事を手伝うという性格上、その家庭のナイーブな側面に触れざるを得ない面はある。
ましてお客が老人の場合、なぜ他人である便利屋に頼むのか、老人の弱みに付け込んで金をとっているのではないかと、依頼人の家族に思われることもある。
しかし、それにしても突然現れた倫子さんの大学生だという孫の言い方は失礼過ぎる。
これまで倫子さんとは適当な距離を保ち楽しくやってきたのだ。
それに私にだって事情はある。
女ひとりで便利屋を切り盛りすることはそんなに楽なことではないのだ。



本作品「今年の梅は」はFMシアターで放送されたラジオドラマで、令和3年度文化庁芸術祭参加作品でもあります。
最初に断っておきますが、私は中越典子さんが主演された連続テレビ小説「こころ」のファンでした。
よって中越さんへの評価が甘くなることはご容赦ください。

夫に先立たれた女性と一人暮らしの老女

さて、本作品の内容は至ってFMシアター的なもの。
便利屋をする女性、中越典子さんが演じる近藤涼子は夫に先立たれ、夫と始めた便利屋を一人で切り盛りしています(一応、戦力としてバイトは抱えているようです)。
また、伊藤友乃さんが演じる宇佐美倫子は、涼子の常時依頼者である独居老人。
別居している息子は一緒に暮らそうと誘っているようですが、一人暮らしに拘っています。

そして老女の孫

そこに倫子の孫である健介(演:葉山奨之さん)がやってきます。
健介は留学希望だけどコロナで延期し暇であるため?、独居老人の見守りに駆り出されたらしく、倫子の家に入りびたっている(ように見える)涼子を警戒します。
物語はこの3人が梅仕事(梅の実を漬けて梅酒や梅シロップ、梅干しなどを作ること)をしながら各自の事情を語り合うという話です。

テーマは?

テーマとしては恐らく、大切な人を亡くした喪失感、それに対する共感とそれを抱えながらの旅立ちというあたりだと思います。
まあ、真面目そうですよね。
実際そうなのですが、中盤に一瞬にして雰囲気を不穏にするセリフが入り、それ以降あれっと思う展開があり、50分を飽きずに聞くことができる作品でした。

落ち着いたFMシアターらしい作品

個人的には息子の気持ち(作中で描写されない)を差し置いた倫子の行動や、結局は“お気楽な年金生活者”(作中の表現)だからできた最後の行動に若干釈然としない思いも残りましたが、涼子や健介の新たな一歩を素直に応援したい気にはなりました。
私はエンタメのラジオドラマが好きで、このブログも基本的にエンタメ作品に特化したブログであるため、“格付け”としてはなかなか高くつけづらいのですが、落ち着いて聴けるFMシアターらしい作品だと思います。

「こころ」との類似性

さて、本作品の主人公・涼子は若くして夫に先立たれているのですが独り身ではなく、長女、長男のふたりの子どもがいます。
ここまで聴いてあれっと思ったあなた、中越さんのファンですね。
そう中越さんが連続テレビ小説「こころ」で演じた役柄と同じシチュエーションなのです(ただし「こころ」では血のつながらない子供ですし、本作では健介との恋愛展開もありません)。
これは意識してのキャスティングかも知れませんね。
このふたりの子供、序盤にしか登場しないのですが、なかなか軽快なテンポで楽し気な会話が入るシーンであり、できればこの2人も本筋に絡ませられるとよかったのになあと思います。50分じゃ無理か。

再度出演希望

中越さん、恐らくFMシアター初挑戦だと思います。
正直、最初はすごくうまいとは思いませんでしたが、感情を乗せた後半の演技は流石。
声に特徴があることもラジオドラマ向きだと思います。
是非、今後もご出演頂きたいものです。

伊佐治弥生さん脚本作品

なお、脚本を書かれた伊佐治弥生さんの脚本・脚色の作品は今まで「珊瑚の島の夢」、「遥かなり、ニュータウン」、「少年探検隊」などを紹介しています。
よかったらそちらもご覧下さい。



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