格付:AA 査察機長 原作:内田幹樹(FMシアター) 昨日は成田のホテルに泊まったのに緊張でほとんど眠れなかった。機長になって初めてのチェックフライト。しかも査察機長はよりにもよって、あの氏原だ。今も、彼の切れ長の目が猛禽類のように見つめている。やりづらいったらありゃしない。今日の成田-ニューヨーク間のフライト。何とか無事にやり遂げないといけない。失敗したら機長の資格は剥奪されてしまうのだから。 2023.01.13 格付:AA
格付:B ボブガール、チャリボーイ 作:棚橋ますみ(FMシアター) すみません店長、すみません、すみません…仕事が遅いわミスばかりだわの私はコンビニや介護施設の仕事を次々とクビに。このカラオケ店のバイトも限界に来ていた。そして店長に罵声を浴びてとうとう接客が出来なくなり、新聞配達に転職することを決意した。しかしとろい私には雪道を自転車に乗って配達することなどできはしない。仕方なくソリに新聞を載せて、トナカイよろしくこれを引っ張って新聞配達を始めた。人付き合いの苦手な私が選んだ、人と関わらないで済む究極の職業。でも早朝の時間帯がこんなに寂しいなんて知らなかった。 2022.11.25 格付:B
格付:A 手を振る仕事 作:足立聡(FMシアター) 僕は車掌になりたくてこの鉄道会社に入った。でも会社の同僚たちからイジメを受け体調を崩して、今は線路沿いの建物から電車の乗客に笑顔で手を振る仕事をしている。「そんな仕事、意味あるのかな」彼女の最後の言葉が今も頭から離れない。そんなに僕の仕事は恥ずかしいのかな。この部署はいらない人間の集まりなのかな。 2022.08.12 格付:A
格付:C 仮想郵便局 作:詩森ろば(FMシアター) 小さいころから私は引っ込み思案だった。でもお話を声に出して読むのは好き。だから地元のラジオ局「桜島ラジオ」に就職できたのは願ってもないことだった。しかも前任者の急な降板で人気番組「仮想郵便局」のパーソナリティーの座が回って来るなんて。「仮想郵便局」は誰かの出した手紙に、別の誰かの出した手紙をマッチングして返信として読み上げる人気番組。でも最初の放送で気持ちが入り過ぎて大失敗をしてしまった。どうしよう。落ち込む私にディレクターが見せたのは1通の手紙。終戦直前、地元にあった特攻隊基地から飛び立った恋人にあてに、ある女性が出した手紙だという。どうしよう、こんな人の人生を背負うような手紙に返信するに足る手紙なんて見つけられるのだろうか。 2022.04.04 格付:C
格付:B 鷗外 青春診療録控 千住に吹く風 原作:山崎光夫(青春アドベンチャー) 小説・詩・戯曲など自ら文学史に残る多くの著作を残した一方、積極的に啓蒙活動を行い多くの後進を見出した日本近代文学の祖のひとり。あるいは陸軍の軍医として主要なポストを歴任し、最後には軍医総監(中将相当)にまで昇りつめた謹厳な軍官僚。しかし、その男、森鷗外にも青春時代はあった。小説「舞姫」へと昇華されたドイツ留学中の出来事?いやいや鷗外は留学前に“若先生”として父の医院を手伝っていた時代があるのだ。この物語は、まだ何者でもなかった若き“森林太郎”の町医者としての日々の記録である。 2022.03.12 格付:B
格付:A うつ病九段 原作:仙崎学(FMシアター) 頭がぼやっとする。覚えられない。考えられない。一体どうなっちまったんだ、俺の頭は。小学5年のときに奨励会に入会。俺のあだ名は「天才」だった。以来、将棋一筋。そんな俺が将棋を打てない。心配した妻が呼んだ精神科医の兄貴が俺の顔を一目見るなり言った。「学…。どうしたんだ。いつからこんな状態だ。」2017年8月。俺は本格的におかしくなっていた。 2022.01.11 格付:A
メディアミックス情報 「風の向こうへ駆け抜けろ」、NHK「土曜ドラマ」にてテレビドラマ化決定 2017年にNHK-FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化された「風の向こうへ駆け抜けろ」が、同じNHKの木曜ドラマ枠にてテレビドラマ化されることが発表されました。放送日は2021年12月18日(前編)と25日(後編)で、それぞれ21時~2... 2021.09.11 メディアミックス情報
格付:B ウィッグ取ったらただの人 作:伊勢直弘(青春アドベンチャー) 「でもシュンキ君、ホントすごいよなあ」なによ…「目力強くて、細マッチョ。で、顔も声もアクションもキャラに寄せてて、なおかつあの青のロン毛が似合うって!」やっぱりそれか…「マジで奇跡の再現度!!」そこじゃねえよ…お前と違って俺はちゃんと演技してんだから演技褒めろよ…このままじゃ俺はいつまでたっても「2.5次元の人」。ちゃんとした俳優として認めてもらえない。俺にとって2.5次元はもはや足枷だ。なんとかしないと。 2020.10.06 格付:B
格付:B カウント2.9! 作:虎本剛(FMシアター) 今日も謝ってばかりだった。上司は「顧客の問題を解決するのがコールセンターの仕事だ」というけれど、私にとっての仕事は謝ることでしかない。毎日、ストレスで押しつぶされそうだ。そんな私を見かねて、大学で同じゼミだった南陽介が声を掛けてきた。「俺、今スポーツ新聞の記者やっててチケットが1枚余っているんだけど、明日一緒にスカッとしない?」チケットって何?プロ野球?ちがうの?聖地・蔵前ホールってどこ?「プ女子」って一体? 2020.08.14 格付:B
格付:B 北の道化師たち 原作:高橋揆一郎(ふたりの部屋) 昭和44年、日本は好景気湧いているのに、石炭会社だけは冴えない。しかもその冴えない会社の中でも万年事務所員の私は一層、冴えない境遇だ。でも仕事が終われば別だ。漫画を描いていると違う人生が見えてくる気がする。漫画のためならば仕事ではだせない行動力だって発揮できる。たしかに40の手習いだ。笑うなら笑え。でも何とか漫画家で生計を立てられないものだろうか。 2020.06.09 格付:B