- 作品 : 婚礼、祭礼、その他
- 番組 : FMシアター
- 格付 : C+
- 分類 : 日常
- 初出 : 2014年1月25日
- 回数 : 全1回(50分)
- 原作 : 津村記久子
- 脚色 : 中澤香織
- 音楽 : 谷川賢作
- 演出 : 木村明広
- 主演 : 貫地谷しほり
ヨシノは人を呼びつける才能がとことん欠けている。
しかし、呼びつけられることには慣れている。
今回は学生時代の友人の結婚式に呼ばれた上に、二次会の幹事と披露宴のスピーチを仰せつかってしまった。
少しだけ気が重くなりつつも、きちんと準備をして臨んだヨシノだが、なんと同日に上司の父親のお通夜も入ってしまう。
仕方なく、二次会の幹事と披露宴のスピーチを後輩に頼んで葬式に向かったのだが…
本作品「婚礼、祭礼、その他」は2014年にFMシアターで放送されたオーディオドラマで、FMシアターでは少数派の原作が存在する作品です。
呼びつけられる女
原作は芥川賞作家である津村記久子さんによる小説。
ストーリーの概要は冒頭で紹介したとおりであり、「呼びつけられ体質」の女性ヨシノが結婚式とお通夜を梯子することになってしまった、ある夜の出来事を描いています。
特別な大事件が起きるわけではないのですが、ヨシノが去った後の結婚式ではトラブルが持ち上がりヨシノが電話などで対処する羽目に陥ります。
一方、お通夜の方も故人の愛人が2名も登場するなど荒れ模様。
その様子をコミカルに描きつつ、生きることの意味を描いていくのですが…
期待のコンビだったのだけど
なんだろう、この乗れない感じは。
あくまで私個人の感想なのですが、どうにも作品に没入できない。
原作は「エヴリシング・フロウズ」の津村記久子さんで、脚色が「ミラーボール」や「王妃の帰還」、「さよなら、田中さん」の中沢香織さんで期待が持てるコンビ。
なにか違和感が…
主演だって「世界から猫が消えたなら」や「かおる、ストーリーボックス」での印象は悪くない朝ドラ女優の貫地谷しほりさんです。
ただ、この作品の、特にモノローグ部分の貫地谷さんは何だか浮いている気がする
朗読ぽいというか、童話の読み聞かせぽいというか、デパートの館内放送ぽい、NHKのドキュメンタリーのナレーションぽいというか。
色々とモヤモヤ
また全般的にコメディが空回りしているように感じられるし、電話やメールでのやりとりを使った展開の小気味よさという点では「はるかぜ、氷をとく」に及ばない。
設定的にも上司の親の葬式に社員が全員出席しないといけない会社って今時どうなのよという感じがしますし、ストーリー面では最後の主人公の選択がなんとなく釈然としない。
ホンダさんってそんなに魅力的な男性ですかね?
…と、終始もやもやが残る作品でした。
個人の感想です
ただ、ひと晩の出来事を描くボリューム感は50分のラジオドラマにはぴったり。
50分で起承転結がはっかりしていてその面ではストレスはありませんでした。
また、貫地谷さんも台詞パートではいきいきしています。
「お葬式ってたまに変なことが起きたりする」のか私にはよく分かりませんが、そもそも小説1本を50分に押し込めるのに無理があったのかも知れません。
上記のもやもやはあくまで私の経験的、精神的な状況をバックボーンとした個人的な感想です。
是非先入観なくお聞き頂きたいです。
■中澤香織さん関連作■
日常的な舞台でもチクチクするセリフが魅力的。
中澤香織さんの脚本、脚色作品の一覧はこちらです。
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