- 作品 : ブラックホール
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B-
- 分類 : ホラー
- 初出 : 1992年7月6日~7月17日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : 宮崎由香、綾瀬麦彦
- 演出 : 笹原紀昭、千葉守
- 主演 : 松下一矢ほか
本作品「ブラックホール」は1992年7月にNHK-FMにて「特集のダミーヘッドの青春アドベンチャー」として放送されたラジオドラマ作品です。
青春アドベンチャーはこの年の4月にスタートしたばかりの番組であり、本作品は作品順で7番目、青春アドベンチャーでは最初期の作品と言えます。
番組発のオリジナルオムニバス
本作品は、①一話完結形式のショートドラマ10本の構成、②脚本家によるオリジナル脚本、という特徴があり、これはそれ以前の「サウンド夢工房」や「アドベンチャーロード」、「FMアドベンチャー」にはほとんど類例のなかった形式です。
青春アドベンチャーではその後、「不思議屋シリーズ」、「ライフシリーズ」、「10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)」などの、脚本家競作のオリジナル短編集作品が頻繁につくられることになるのですが、この作品はその先駆けだったと言えるかも知れません。
後のオムニバスシリーズとは趣向が違う
ただし、本作品は後に作られる上記のシリーズとは、①担当する脚本家が2人だけでそれぞれ5話ずつ担当、②どの作品も概ねホラー系、③全話を通じてメインキャストとして出演する明確な主演がいない、という3点に特徴があります。
ちなみに、脚色は前半5話が宮崎由香さん、後半5話が綾瀬麦彦さんで分担されているのですが、演出も前半5話が笹原紀昭さん、後半5話が千葉守さんと分業されています。
その他、技術や音響効果のスタッフも前半後半で別れており、いわば前半は宮崎+笹原チーム、後半が綾瀬+千葉チームという2チームで作られているようです。
出演者も違う
このスタッフの違いに併せて、主演も前半と後半では採用パターンが異なっており、前半が松下一矢さん(1・3・5話)と、冨永みーなさん(2・4話)が交互に主演する形式であるのに対して、後半は、長谷川歩さん、塩沢兼人さん、野間太郎さん、香月弥生さん、三谷昇さんが1話ずつ主演しています。
アニメ声優多し
これらの方々のうち前半後半ともに出演されているのは塩沢兼人さんだけです。
冨永さん(めぞん一刻特集参照)と塩沢さん(機動戦士ガンダム特集参照)はアニメでも活躍された声優さんですが、その他にも、前半2~4話に出演される坂本千夏さんもアニメ系の声優さんです。
また、前半第4話のみですが、「ルパン三世」の峰不二子役で有名な増山江威子さんが出演されています。
ちょっとしたトリビアですね。
その他、出演者等の詳細については、以下のブログがとても良くまとまっていますので、そちらに譲りたいと思います。
(外部リンク)http://www.ipc-tokai.or.jp/~sugiyama/radiodorama/change_md_data_bh.htm
各話の概要
なお、各話の格付け、粗筋及び一言評価は以下のとおりです。
№ | タイトル | 格付 | 粗筋 | 一言 |
---|---|---|---|---|
1 | しつこい人 | C | 余りにしつこい新聞勧誘員を突き飛ばしてしまった。しかし翌日も彼は現れた… | 塩沢さんのいやらしい演技があまり発揮されていないのが残念。あまり怖くもない。 |
2 | 目が覚めたら | C | 水曜日に寝て目が覚めたら土曜日だった。その後も記憶がない時間増えていくが。 | 結末がわからない。長い布団と枕って何だったのでしょう?線路と枕木? |
3 | のぞき | B | バルコニーから双眼鏡で200m先のマンションを除く。それが私の楽しみ。 | 不覚にもオチは読めなかったが、それでもあまり怖くはなかった。 |
4 | 交通事故 | B- | 浪人生の寬太が映画館を梯子して家に帰ったら葬式をしていた。死んだのは誰なのか? | 誰が死んだのかすぐにわかり、意外な展開に。でも途中からはあまり意外性はない。 |
5 | ビルの屋上 | C+ | 閉鎖した15階建てのビルの屋上。少女は自殺するためにやってきたが先約が二人いた。 | きちんと結末はついているが、オチは少し唐突かも知れない。 |
6 | きみの韋駄天 | B | 足が速くなりたければ、お百度参りすれば、韋駄天が叶えてくれると祖母は言ったが… | 塩沢さんが耳元でささやく「君は韋駄天」が印象的。でもこの作品も怖くはない。 |
7 | 絞殺魔 | A | 連続殺人犯と疑われた息子を、母親は部屋の一室で匿うが… | 塩沢さんのキレ芸が炸裂!それだけで聴く価値あり。「絞めたい!絞め殺したい!」 |
8 | 賽銭泥棒 | B | かくれんぼ中にはぐれた幼い妹を連れに戻る兄。しかし二人で道に迷ってしまって。 | 陳腐な話だが、昔話っぽいいい雰囲気は割とでていると思う。 |
9 | 訪ねて来た男 | C+ | 失業した女のもとに化粧品の訪問販売員の男がしつこく尋ねてくるのだが。 | 第1話と似たような話。脚本家が違うので偶然だと思うが。 |
10 | ベビー・シッター | B | 人類の大部分が滅びた世界。2台のロボットは奥様の命で赤ん坊の面倒を見るのだが… | 終末もの。起きていることを理解できないまま行動を続けるのが怖いポイントか。 |
恐怖劇場?
2週目の放送の冒頭で、本作品のことを「恐怖劇場」と称するのですが、実は怖い話はあまりありません。
「世にも奇妙な物語」風の、少しだけ不思議なあるいは不気味な話が中心です。
個人的には綾瀬+千葉チームの担当した後半に、好みの作品が多かったように感じますが、いずれにしろどうせならもっとギトギトに怖い話でも良いと思います。
【笹原紀昭演出の他の作品】
アドベンチャーロード期を中心に多くの傑作アクション作品を演出された笹原紀昭さん。
演出作品はこちらに一覧を作っています。
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