とんでもポリスは恋泥棒 原作:林葉直子(サウンド夢工房)

格付:B
  • 作品 : とんでもポリスは恋泥棒
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : B-
  • 分類 : スラップスティック
  • 初出 : 1990年10月22日~10月26日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 林葉直子
  • 脚色 : 内田史子
  • 演出 : 川口泰典
  • 主演 : 金子真美

そんな!ちょっと待ってよ、お父様!
いくら総理大臣の娘といったって、徳川忍は現役の女子大生。
警察庁長官におだてられても県警本部長のふりなんてできません!
まして52歳のキャリアウーマンに変装とか、汚職警官の摘発なんてできるわけない!
…といったのに無理矢理、県警本部長役を引き受けさせられた初日。
いきなり大事件発生!
ちょっとカッコイイと思っていた刑事さんが殺人犯にされてしまって、アリバイを証明できるのは私だけ。
でも私が県警本部長役をしているのは絶対に秘密。
どうしたらいいの~!



いきなりハイテンションかつ、いかにも設定説明的な粗筋紹介から入りましたが、実は本作品「とんでもポリスは恋泥棒」は本編全てがこんな調子のラジオドラマです。

主人公の一人称

具体的には主人公の女の子がモノローグの形式でとにかくしゃべり続ける。
本作ではこのモノローグが彼女の心情説明だけではなく、設定や状況の解説役をも担っているため、とにかく情報過多。
一人称を多用するのは新井素子さんの小説などもそうであり、この時代の少女小説の典型的な叙述法なのかも知れませんが、本作品の場合、主人公・忍が頭の回転が速い割に直感的に行動するタイプであることから騒々しく物語が進行していきます。
「サウンド夢工房」は女性向けの作品を多く制作した番組ですが、「夢みるように愛したい」などと同様「講談社X文庫 ティーンズハート」からチョイスされた本作品は特に「サウンド夢工房」らしさが色濃くあらわれた作品です。

事件+ロマンス=ドタバタ

さて、本作品のストーリーは冒頭の粗筋のとおり、なぜか県警本部長にされてしまった女子大生・忍が偶然遭遇した事件を大騒ぎしながら解き明かしていくものです。
その過程で忍は県警本部長に変装するのですが、時にはその秘書に変装することもあります。
また途中から忍の友人で女優(ただしエキストラ専門)の利江も登場し、彼女が忍と入れ替わる形で県警本部長と秘書に変装するため、展開は一層ごちゃごちゃに。
ふたりとも明らかに悪乗り気味のため、一応、推理物の側面があるとはいえ基本的にドタバタ劇的に進行していきます。
この辺、次の番組「青春アドベンチャー」でウェストレイクのドタバタ劇を多数演出することになる川口泰典さんらしい作品チョイスだと思いました。

出演者紹介

さて本作品で主役の忍を演じたのは女優の金子真美さん。
その他、相手役の松前高志役の石井洋祐さんや、事情を知る協力者の近藤警視役の段田安則さん(「西風の戦記」のレオン・パラミデュース)、ばあや役の蘭このみさん(このころから川口泰典さんは宝塚出身者を使っていたんだなあ)などが主要な出演者。
この他、小松正一さんや田山涼成さんといった青春アドベンチャー時代に川口泰典作品の常連となる方々もすでに出演されています。

5話+5話

なお、本作品は次の作品「愛する心に手錠して」と事実上セットで制作されたものだと思います。
本作品の約2か月後に放送された「夢みるように愛したい」⇒「天使の降る夜」の組み合わせもそうなのですが、ほぼ同じスタッフ、キャストでストーリー的にもつながりのある作品の場合、2作品扱いするか1作品扱いするか迷いますね。
本ブログでは制作側が作品タイトルを分けていることを尊重して2作品扱いにしています。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。


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