- 作品 : 漆黒に落ちる
- 番組 : FMシアター
- 格付 : A-
- 分類 : サスペンス
- 初出 : 2021年2月13日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 原田裕文
- 演出 : 門脇陸
- 主演 : ひらりそあ
冬の深夜、ライブ配信で心霊スポットをリポートするために廃坑を訪れた4人の若者。
ライバー、ライバーに仕方なくつきあっている友人、たまたま卒業旅行代わりにやってきた札幌の大学生、映像作品を撮るためにやってきた東京の大学生。
参加した動機は様々だが所詮はお遊び、安全第一という雰囲気が漂う中、カメラマン役の女子大生だけは真剣だった。
しかしいくら東京の大学で映像の勉強をしていると言っても真剣すぎやしないだろうか。
彼女は「みんなも絶対に逃げないで。最後まで絶対に関わって欲しい」とまで言っているのだが。
本作品「漆黒に落ちる」はNHK-FMのFMシアターで放送されたオーディオドラマでNHK札幌局の制作です。
なにせ「漆黒」
それにしても「漆黒に落ちる」って随分、中二病的なタイトルですよね。
実際、FMシアターでは少なめのサスペンス調の作品ではあるのですが、内容は至って正統的。
場面と登場人物を限定したセリフ中心のサスペンス劇です。
ストーリーも概ね冒頭の粗筋から想定されるとおりで、緊急事態の中で登場人物たちの秘めている過去が少しづつ明らかになっていく展開です。
そういえば青春アドベンチャー「ソラのスケッチブック」第4回の「おちてくる」も冒頭は似たような展開でした(途中からの方向性は本作品と大きく異なりますが)。
緊迫したセリフ劇だが
本作品の場合、過去が明らかになる過程がセリフの応酬で展開していくのが醍醐味ではあるのですが、残念だったのは展開と結末が予測の範囲をでないものであったこと。
折角「漆黒」などという中二病的な言葉を使ったのならもっとブラックな終わり方でもよかった気もします。
そもそも状況的にも「みんな悪くない」というより「みんな悪い」に近いものだったとも思いますし。
展開自体は単純
さもなければ、仮に結末は気持ちよく終わるとしても、途中の展開に意外性があってもよかったかも。
例えば「ここにいる六人全員、みんな、とんでもないクズだった」という煽情的なキャプションの割に優しい結末を迎える「六人の嘘つきな大学生」も途中展開に工夫がありました。
ただFMシアターの50分枠でできることには限りがあるのも確か。
本作品も最後の最後の展開(聴いてのお楽しみ)は良い印象だったと思います。
北海道局らしいキャスティング
主役?の理沙を演じたのは北海道で演劇活動をしている(現在休止中?)「ひらりそあ」さん。
その他の出演者も北海道の演劇界の若手から選んでいるようです。
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