まるみちゃんとうさぎくん 原作:大前粟生(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : まるみちゃんとうさぎくん
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 初出 : 2022年12月5日~12月9日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 大前粟生
  • 脚色 : 長谷川彩
  • 音楽 : 堀口純香
  • 演出 : 佐藤譲
  • 主演 : 池田葵

夕日町のお祭りのクライマックスはみんなで綺麗な夕日を眺めることです。
そんな地味なお祭りがその日は特別なものになりました。
近所のおばさんは目からビームを出しました。
町長さんは目からシャボン玉が出るようになりました。
お母さんは手の甲からバナナが生えるようになりました。
次の日から夕日町では外出が禁止されてしまい、学校にも行けません。
人と話すのが少し苦手な私は、それがそれほど嫌ではなかったのですが…



本作品「まるみちゃんとうさぎくん」は大前粟生さん原作のYA(ヤングアダルト)小説を原作とするオーディオドラマです。
YAとライトノベルと児童文学の境目は定かではありませんが、個人的にYAは、ライトノベルほどエンタメに振り切っていない、児童文学よりは対象年齢が上でややボリュームがある、と認識しています。

児童文学ぽいが…

本作品は、ある日を境に住民が不思議な能力を持つようになった町が舞台です。
ライトノベルであれば異能者どうしのバトルが始まったのかも知れませんがもちろんそんなことはなく、少しだけ不思議な空間における日常を通じて、高学年の小学生たちの成長が淡々と描かれます。
また、原作は167頁ある作品で、小学生向けと考えるとはやや長めではあるのですが、オーディオドラマ版は15分×5回の短めの作品でボリュームはありません。
そのため児童文学的な作品ではありますが、教訓的にひとつの答えに誘導するのではない曖昧な結論を含めて、完全な児童文学とも言い切れない作品ではあります。

コロナじゃないよ

さて、「外出禁止」と聞くと、このご時世、どうしても想像してしまうのが新型コロナウィルス感染症。
本作品が2022年に出版されたことを鑑みて、この設定はコロナの寓意なのかなと思って聴き始めたのですが、着想の最初にそれがあったのかもしれませんが、それに止まらない物語です。
最初は「変化」してしまうことを恐れ、避けようとしていた人間社会ですが、その価値観が作中で二転三転していきます。
それを小学生たちの成長、例えば、個性の捉え方、人とのつながり、大人になる意味、固定観念や決め付けといった問題などを結びつけながら話は進んでいきます。

あくまでふんわり

ただ白黒をつけて読者を誘導することを目的とした作品ではない、というかそうではなくあってほしいという作者の願いが感じられる作品ですので、あくまでふんわりと物語は集結します。
個人的には「びりっかすの神さま」のようにもっと「アドベンチャー」して欲しかったとは思うのですが、この辺は個人の趣味嗜好の問題だと思います。
ブログの趣旨からこの記事では格付けという白黒を付けてしまっているのですが、このような作品が好きな方は是非、私の格付けなど気にされずお聞き頂けたらと思います。

子役さんすごいね

さて、本作品で主役のまるみちゃんを演じたのは子役の池田葵さん。
2010年12月6日生まれで本作品収録時に丁度12歳になったようです…?
…ということは収録時11歳!
いわれないと年齢がわからないくらいで上手いです。
揃って慶應大学に行くことになりそうなマルマルモリモリのふたり、芦田愛菜さん(エンディング・カット)と鈴木福さん(滅びの前のシャングリラ)も上手かったですし、「さよなら、田中さん」の時の鈴木梨央さんも上手かったですが、最近の子役恐るべしですね。

大人の出演者

また、その子供たちと向き合い、大人の固い価値観を提示するのが、うさぎくんの兄役の奥野壮さん。
1月の「六人の嘘つきな大学生」ではむしろ少し優柔不断なキャラを担当していたのと比べると面白いですね。
その他の大人のキャストとして、まるみちゃんのお母さん役で女優の佐藤藍子さんが、お父さん役でお笑いタレントのダンディ坂野が出演されているのにも注目!といいたいのですが…
意外とこのおふたりの役、大人大人したアクの強い役ではないんですよね。
あまり主張の強くない役に敢えて有名タレントをキャスティングした意図が読めない作品です。



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