- 作品 : 光
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A-
- 分類 : 少年(幼小)
- 初出 : 2013年3月11日~3月22日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 道尾秀介
- 脚色 : 原田裕文
- 演出 : 佐々木正之
- 主演 : 佐藤涼平
小学4年生。全てが輝いて、何か意味のあるものに思えた頃。
自然が残る少しだけ田舎の町。
利一とその友人達が出会う、美しいこと、どきどきすること。
それは不思議なものは何もない日常の出来事。
でも忘れられない出来事。
本作品「光」は、直木賞作家・道尾秀介さんの小説を原作とするラジオドラマです。
道尾さん原作の青春アドベンチャー作品は本作品が始めてです。
なぜか連続
さて、この作品、あまり私が青春アドベンチャーに期待していない日常系の作品。
その中でも、今ひとつ感情移入できない子供が主人公の話。
放送されたのは2013年3月中旬だったのですが、実は本作品の放送の後、3月下旬から4月上旬にかけて「スーツケース・キッド~バイバイわたしのおうち」(再放送)、「泥の子と狭い家の物語~魔女と私の七〇日間戦争~」と子供が主役の日常系の作品が連続で放送されるという残念な(と思っていた)放送スケジュールでした。
「スーツケース・キッド」がまずまずの佳作であるのは知っていたので、そこは救いでしたが、正直言って全く期待しないで迎えた1カ月でした。
丁寧なストーリー
しかし、ふたを開けてみたらこの「光」がまずまずの出来で嬉しい誤算でした(ちなみに「泥の子と狭い家の物語」はそもそも「子供が主役の日常系の話」ではなかった)。
本作品の演出や出演陣の演技はごくオーソドックスのものですので、原作の良さを感じます。
道尾さんというと、少し前までBS11で放送していた「ベストセラーブックTV」に良くゲスト出演されていて、ちょっと気取った感じの印象が強かったのですが、丁寧で真摯なストーリーテラーなのかも知れないと思うようになりました。
やはり作品を読んでみないといけませんね。
いかにもな題材だけど
作品の内容は小学4年生の子供達が出会う日常の冒険を描くものです。
近所の怖いおばあさんや凶暴な犬、地元の都市伝説、洞窟探検、化石、手打ち野球など、「いかにも」な題材ばかりですが、その良くある題材で上手く話を作っています。
個人的にポイントが高かったのは、デパートの内装の石材に入っている化石を取りに行く話。
私も子供の頃、近所の本屋(古本屋だったかも)で見つけた「都市の化石地図」なる本に魅了され、デパートに行くたびに目を皿のようにして化石を探したものでした。
あくまで大人目線
全般的に、子供時代を振り返った大人がノスタルジーで過去を美化している雰囲気を感じますが、だからこそ子供達が主人公でも大人の鑑賞に堪えるものになったともいえましょう。
終盤に発生する誘拐事件により子供達は突然、大人の事情に直面させられるのですが、それも極端に生々しい話にはならず、あくまで少年の日の忘れがたい思い出の一つとして終演します。
少し甘すぎる内容かも知れませんが、これはこれで良いエンディングだと思います。
若林豪さんがちょい役
出演者に話を移しますと、主役の利一役の佐藤涼平さんをはじめとして基本的に少年少女役は実際の少年少女が演じる、NHKらしいキャスティング。
この子供たちの演技が、意外と?自然で、聴いていて違和感はありませんでした。
劉生(りゅうせい)役の里村洋さんだけが少しだけ気になったかな。
でもそれも最初だけで、すぐに気にならなくなりました。
あと、終盤の「ある役」に若林豪さんが出演されているのにちょっとびっくり。
レギュラーでもない役に有名俳優を使うなんて相変わらずNHKらしい贅沢さです。
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