おいしいコーヒーのいれ方Ⅵ~遠い背中~ 原作:村山由佳(青春アドベンチャー)

格付:A
  • 作品 : おいしいコーヒーのいれ方Ⅵ~遠い背中~
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : A-
  • 分類 : 恋愛
  • 初出 : 2002年10月21日~11月21日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 村山由佳
  • 脚色 : 佐藤ひろみ
  • 音楽 : 佐野芳彦
  • 演出 : 大久保篤
  • 主演 : 内田健介

花村夫妻の帰国に併せて、花村家を出ることを決心したショーリ。
周囲はショーリの決心に反対だったが、結局、全員の了解を得ることができ、晴れて一人でアパートに住むことになった。
見つけてきたアパートは少し風変わりな契約条件がついていたが、格安で良好な物件。
いよいよ引っ越しも始まった。
新しい住まいはショーリとかれんの関係にどんな影響を与えるのだろうか。



村山由佳さん原作の恋愛小説シリーズのラジオドラマ化、その第6弾です。
前作「緑の午後」と同様に全10回で制作されました。
今回も原作の発刊後半年以内で放送されています。

主なイベントは引越し

本作品の主な内容はずばり「引っ越し」。
ショーリとかれんの仲は特段進行せず、周囲でも大きな事件は起きません。
いくらなんでも10回のうち9回も使って引っ越するだけというのは、少し思い切りの良すぎる構成だと思います。
ちなみに次作の「坂の途中」からは、第1作~第4作と同じように、全5回の作品に戻ります。

男子の一人暮らしの理由

さて、本作品ではいよいよショーリがひとり暮らしをすることになります。
ひとり暮らしをする理由として「自分がひとりでどこまで出来るかやってみたい」などともっともらしく言っていますが、客観的に見ていかにも薄弱な理由です。
まあ真の目的は想像に難くないところですが、年頃の青少年なら仕方がないことではあります。
そして真の目的が第9回目にして爆発しそうになるわけです。
かりんの溜息、吐息、鼻息!
うーん悩ましい。

意外?

それにしてもショーリの父親の政利さん、ショーリには甘いなあ。
単身赴任中に自宅を貸し出して得ている賃料の一部をショーリの小遣いにあげていたり、花村家に支払っていた下宿代も結局ショーリに渡ることになります。
作中では随分若い奥さんと再婚する単なる艶福な親父ですが、実は意外とやり手のサラリーマンで、高給取りなのかも知れません。

第10回は重要回

なお、上の方で「10回のうち9回も」と書きましたが、実は最終回である第10回だけは全く趣の違う内容になっています。
第10回だけは、風見鶏のマスターの視点からの物語になっており、語りもマスター役の大場泰正さんが務めているのです。
内容もほとんどがマスターの子供時代から大人になるまでの間の回想であり、今まで少しだけ語られてきた、マスターとかれんの過去がまとめて紹介される異色の回になっています。
相変わらずストーリー上の進展は少ない、この第6作。
最初は第5作目と同じ“B”格付けにしようと思っていたのですが、第9回のかれんの吐息と、第10回の変化球の分だけ上乗せして“A-”評価としました。

芸歴が長い長谷川真弓さん

出演は内田健介さん(和泉勝利役)、長谷川真弓さん(花村かれん役)、大野雅一さん(花村丈役)などいつもどおり。
内田さん、長谷川さんだけでなく、その他のキャストも多くのラジオドラマに出演経験のある堅実な配役です。
ちなみに、かれん役の長谷川さんは、調べてみたところ、1987年の「スターライト・だんでい」の時点ですでに青春アドベンチャー系の番組にご出演されていたようです(当時の番組名は「アドベンチャーロード」)。
一方、最近では2009年の「ごくらくちんみ」の中の1編にもご出演されていたと記憶します。
長谷川さんは子役からスタートした芸歴の長い女優さんですが、青春アドベンチャー系列番組にもなんと20年以上も出演されていることになります。

意味深に登場したけど

その他、今回初登場の役としては、ショーリが借りるアパートの大家さん(正確には大家の家の奥さん)である森下裕子恵(ひろえ)がおり、この役は女優の谷川清美さんが演じています。
谷川さんは2013年放送の「泥の子と狭い家の物語~魔女と私の七〇日間戦争」で、“魔女”加賀見を演じた方でもあります。
思わせぶりに登場しますが、実はラジオドラマ版ではこの後の作品ではほとんど再登場しません。

演出が交代

一方、スタッフは、いつもお馴染みの脚色・佐藤ひろみさんと、おいしいコーヒーのいれ方シリーズ初演出の大久保篤さん。
大久保さんは青春アドベンチャー自体の演出が本作品が初めてだったのではないかかと思います(曖昧ですが)。
大久保さんは、この後、おいコーシリーズの大部分の演出を担当した他、不思議屋シリーズ、藤井青銅さん作の干支シリーズなど、シリーズものを中心に活躍され、2002年からの約10年間で合計15作程度を担当されました。
地味なシリーズの担当が多かったからか、比較的多くの作品を担当されている割には、どういう訳かこのブログで今まで紹介した作品は「不思議屋料理店」だけです。

【おいしいコーヒーのいれ方シリーズ】

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