- 作品 : 蛍の光 窓に雨
- 番組 : FMシアター
- 格付 : A+
- 分類 : 日常
- 初出 : 2017年5月27日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 飯野陽子
- 音楽 : 森悠也
- 演出 : 木村明広
- 主演 : 中村靖日
卒業から5年ごとにクラス会を開く。最初の幹事はクラス委員の鈴木彰と高橋双葉。
それが先生からの提案だった。
しかし、20歳の時に開かれるはずだった最初のクラス会は結局開かれず、その後も一度も開かれないまま卒業式から25年が経ってしまった。
40歳のある日、弁当工場でパートの中年女性のシフト管理に四苦八苦していた鈴木彰のもとに、突然、高橋双葉から連絡が届く。
SNSで名前を見つけたのだという。
そして双葉は彰に提案してきたのだ、「クラス会を開こう!」
本ラジオドラマ「蛍の光 窓に雨」は脚本家・飯野陽子さんの脚本によるオリジナルラジオドラマです。
本ブログで2017年末に実施した「2017年FMシアター・特集オーディオドラマ人気投票」では「百八つの人助け」と同点の第4位になりました。
ちなみに、この両作品を比較すると、ファンタジックな要素がない日常をベースとする作品である点は同じですが、「百八つの人助け」にコミカルな要素があるのと比較すると、本作品は人の生死を扱ったシリアス度の高い作品で(ちょっとネタバレ気味…)、いかにもFMシアターらしい作品です。
飯野陽子さんの作品
なお、飯野陽子さんは、NHK-FMのラジオドラマでは「思い出さずに忘れずに」(2012年)、「猫はどこへ行った」(2017年)などFMシアターでオリジナル脚本を中心に活躍されていますが、「時間泥棒」(1996年)、「鏡の偽乙女~薄紅雪華紋様~」(2011年)について原作付き作品の脚色もされています。
それにしても1996年から2017年といえば20年間にも亘って活躍されていることになりますね。
同窓会のための名簿づくり
さて、冒頭の粗筋のとおり、本作品はふたりの男女が同窓会を開くために、クラスメイトの名簿をつくる形で展開していきます。
その過程で、かつてのクラスメイトたちの現在の姿が語られていくのですが、実は本作品はそこにはあまり比重が置かれていません。
あくまで主人公のふたりの現在の立ち位置についての真実、そして考え方の移ろいが主題となっています。
特に主人公が彰ですので、彼の置かれている境遇について描かれる場面が多く、一方、名簿作りを主体的に動かしているにも関わらず双葉の側の事情は中盤まで明かされません。
中盤以降はシリアスな展開
ただ、双葉の側の事情が明かされる中盤以降は先に書いたとおりグッとシリアスな展開になっていきます。
これについて色々書きたいところではありますが、何か書くとほぼネタバレになってしまうのであまり書けないのがつらいところです(公式HPの作品紹介もかなりぼかしていますし)。
もうこれについては聞いて下さいとしか言い様がありません。
最後は一見すっきりしたような終わり方ですが、改めて考えるとそうでもなく、良くも悪くもFMシアターらしい味の残る佳作だと思います。
主演は中村靖日さんと大路恵美さん
主人公の高橋彰を演じたのは俳優の中村靖日(なかむら・やすひ)さん。
連続テレビ小説(「ゲゲゲの女房」、「ごちそうさん」)を始め、多くのテレビドラマに出演されている名脇役です。
そういえばNHKのコント番組「サラリーマンNEO」にもレギュラー出演されていましたね。
また、ヒロインの鈴木双葉を演じたのは女優の大路恵美(おおじ・えみ)さん。
青春アドベンチャーのライフシリーズで、2003年から長い間主演されていたほか、2014年には有栖川有栖さん原作の「幻坂」にも出演されていました。
ちなみに本作品はNHK大阪局の制作で、登場人物たちは関西弁で話すのですが、中村靖日さんも大路恵美さんも大阪ご出身のため、ネイティブな大阪弁です。
本作品は当ブログが実施した2017年・FMシアター人気投票で第4位に入りました。
人気投票の結果についてはこちらをご覧ください。
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