- 作品 : 魔女たちのたそがれ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : AA+
- 分類 : ホラー
- 初出 : 1999年5月31日~6月11日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 赤川次郎
- 脚色 : 吉村ゆう
- 音楽 : 田頭勉
- 演出 : 保科義久
- 主演 : 緑川光
サラリーマンの津田が仕事をしていると、高校時代の恋人である依子から突然、電話が掛かってきた。
「助けて…… 殺される……」
切れ切れのか細い声に驚いた津田は、依子が小学校の教師を務めている山深い村へと車を走らせる。
狂気と恐怖が支配するその村で、自分にどのような運命が待っているのかは知らずに。
一世を風靡した人気作家・赤川次郎さんの小説を原作とするラジオドラマです。
赤川次郎さんは、多作で多彩な作家さんですが、「三毛猫ホームズ」シリーズなど、ちょっと非現実的な要素を織り交ぜた、少しコメディ要素もあるライトな推理もの、というのが赤川作品の典型的なイメージかと思います。
青春アドベンチャーの赤川作品
本ブログでは既に「ふたり」と「赤川次郎の天使と悪魔」(青春アドベンチャーの前々身であるアドベンチャーロードで放送)を紹介しています。
「天使と悪魔」は典型的な赤川作品らしい軽妙な作品ですが、「ふたり」は少女の心の動きを追った落ち着いた作品ですし、本作品「魔女たちのたそがれ」もコメディ要素のない真面目な?サスペンス・ホラーです。
村で何が起こったのか
さて、助けを求める元恋人・依子のもとに駆けつける津田ですが、どうなるのかと思って聴いているとあっさり依子の身柄の確保に成功してしまいます。
しかし物語はここからが本番。
入院した病院で、津田や刑事達に対して、村で何があったかを語り始める依子。
このまま物語は依子の回想の中で進むのかと思いきや、病院でも殺人事件が起き始めます。
依子の回想と現実の事件が同時並行で進み、やがて真相が明らかになっていきます。
村人達は何を隠しているのか、そして村からも隔離された“ビレッジ”なる小集落とは何なのか。
何度も楽しめるか
あくまで赤川次郎さんの作品なので、同じように山奥の閉鎖的な集落を舞台とする作品、例えば、横溝正史さんの金田一耕助シリーズや、小野不由美さんの「屍鬼」、竜騎士07さんの「ひぐらしのなく頃に」のように、どろっどろの展開が続くわけではありませんが、結末が読めない展開で楽しめました。
謎解きの結果も納得できるものであり、格付けは正直“AAA”でも良いかとも思ったのですが、結末を知った上で何度でも聴きたくなるストーリーかという点にやや疑問が残り、“AA+”としました。
それぞれ違った楽しみ
ちなみに上で挙げた3作品は同じように閉鎖集落を舞台とし、その小昏い雰囲気が魅力ではあるのですが、謎解きの方向性を中心として作品傾向はかなり違います。
金田一耕助は明確な犯人がいる推理もの、「屍鬼」は恐怖こそが本質のホラー、「ひぐらしのなく頃に」はある種のSF要素を交えた推理劇。
本作品「魔女たちのたそがれ」は全ての要素があるのですが、どのようなものかは聴いてのお楽しみとしましょう。
アニメ声優メイン
出演者は主人公の津田役が、主にアニメで活躍されている声優の緑川光さん。
青春アドベンチャーでは「ジャガーになった男」でも主演されていました。
一方、ヒロインの依子も主にアニメで活躍されている声優の天野由梨さん。
天野さんも「完璧な涙」、「小惑星美術館」などに出演されており、一時期の青春アドベンチャーではお馴染みの方でした。
國府田マリ子さんも
さらに、物語のキーとなる少女・多江を演じるのも声優の國府田マリ子さん。
國府田さんは「アクアリウムの夜」が印象的ですが、最後まで聴くとこの役も國府田さん向きだったなあと感じます。
郷田ほづみ(2代目ヤン・ウェンリー)さんも含めてアニメで活躍されている方が多い点は、保科義久さん演出作品らしいところです。
その他、「遙かなる虎跡」や「路地裏のエイリアン」が印象的な坂本あきらさんの明るい演技は本作品でも健在です。
「遙かなる虎跡」のダニーは「一見小悪党だが、実は…」という役柄でしたが、本作品の「水谷先生」は本当にダメ人間ですね。
【保科義久演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。
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