格付:A

格付:A

ジグが来る 原作:キャンベル・アームストロング(アドベンチャーロード)

「ジグ?ジグが来るというのか!」その言葉に4人の男たちは思わず顔を見合わせた。元上院議員、合衆国ユニオンの指導者、大企業の経営者、大統領の弟の企業家。4人はアイルランドを祖国とするアメリカ合衆国での成功者であった。そしてアイルランド統一運動を陰から支える資金提供者でもある。しかし、アイルランドは今回の資金強奪事件に4人のうちのひとり、あるいは複数の者が関与していると考えているようだ。つまり、祖国は彼らの大義への志を信用していない。確かに今回奪われた資金はIRA(アイルランド共和国軍)の1年分の活動資金にあたる。被害は甚大だ。しかしよりにもよってジグを送り込んでくるとは。ジグ、それはIRAが誇るテロリストの通称。顔もわからない。本名も知らない。狙った者は決して逃がさない。そして狙った者以外は決して傷つけない。ある意味、アーティストといってよい最強の殺し屋。
格付:A

夜に星を放つ 原作:窪美澄(青春アドベンチャー)

2022年上期の第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの小説「夜に星を放つ」。そのオーディオドラマ化作品が本作品です。原作小説は相互にストーリー上の関連がない5篇の短編から構成されていますが、本作品はそのすべてを15分×2回ずつでドラマ化しています。いずれも人との出会いや別れといった人間関係の移ろいを繊細に描いた作品群で、第1週目の最初の2話については少しの恋愛要素を織り込みつつ少しの痛みを伴う別れの物語になっていました。本作品は当記事アップ時点で第3目の前半が終了したところ。全体が終了した時点で記事を修正したいと思っています。
格付:A

嘘と餃子と設計図 作:今井雅子(FMシアター)

念願かなってハウスメーカーで設計の仕事に就いた私。でも、うどんのトッピング感覚でプラン変更を要求してくる見込み客のわがままに振り回されて疲れ果ててしまった。しかも、私の都合などお構いなしに電話を掛けてくる母親の相手で疲れは倍増。なんでも疲れて弱気になった父が稼業の餃子屋をたたむと言っているとか。もともと跡取り娘だった母にとって60そこそこで店を閉めるなんて想定外。お父さんを元気づけないといけないと偉い剣幕だ。どうでもいいと思いつつ、跡継ぎ断った負い目のある私は仕方なく母の話に付き合っていたが、話しているうちに父を再起させるための、ある作戦に巻き込まれてしまった。
格付:A

ミシンの音色を、もう一度 作:清水有生(FMシアター)

唐津の不動産会社からかかってきた突然の電話は、父の死を伝えるとともに彼の店の片付けの依頼するものだった。3歳の時に母と一緒に唐津を離れてから30歳の今まで父とは一度も会っていない。全く身内には思えない。しかし、父に身寄りがないのであれば仕方がない。幸か不幸か10年勤めたアパレルメーカーを丁度退職したところで時間もあった。仕方なく赴いた唐津でみどりを待っていたのは、父の遺したミシンと遺品リメイクの仕事。そして、思いがけない出会いと再会だった。
格付:A

元祖江戸川乱歩の奇妙な物語 原作:江戸川乱歩(サウンド夢工房)

江戸川乱歩といえば、江戸川乱歩賞にも名を残す、わが国推理小説界の始祖のひとりとして有名ですが、同時に不思議な世界を早くから題材にした作家でもあります。本作品「元祖江戸川乱歩の奇妙な物語」は江戸川乱歩の怪奇、幻想方面の名作4篇を、それぞれ2回又は3回連続(30分又は45分)でオーディオドラマ化した作品で、NHK-FMのラジオドラマ(本記事では昔の番組なのであえてオーディオドラマではなくラジオドラマとします)番組「サウンド夢工房」で放送されました。
格付:A

薔薇のある家 作:オカモト國ヒコ(FMシアター)

足のケガ以降、仕事をしていない往年の大女優に舞い込んだ依頼は知り合いの女優の代役。代役ということで一度は断ったが、じっくりと考えた末に受けることを決め、付き人の中年女性に伝えたところ、猛反対を受ける。代役なんて受けるべきではない、復帰ならしっかりした作品でやりましょう、という付き人に対し、役者でいられる時間は残り少ないと強硬に出演を主張する女優。そして、女優は付き人に言い放つ、「あなたは私をずっと恨んでいる。だから復帰させたくないのでしょう」。やがてふたりの会話は、ふたりの関係、ふたりの過去を明らかにしていく。
格付:A

ヘルプマン -俺たちの介護物語- 原作:くさか里樹(FMシアター)

新宿・歌舞伎町のホストと言っても百太郎(ももたろう)は万年ヘルプだ。元同級生の仁(じん)は店のナンバーワンになったのに。しかしある日、百太郎はその仁が特別養護老人ホームで掛け持ちでパートをしていることを知る。介護?一体、仁はどういうつもりなんだ?百太郎はさっぱり理解できない。しかしこれは恩田百太郎がホストのヘルプから介護のヘルプマンへと生まれ変わるキッカケだったのだ。
格付:A

礼文バージンロード 作:桜田ゆう菜(FMシアター)

礼文島で昆布漁師をする道夫のもとに、別れた妻と同居している娘の夏来(なつき)が訪ねてきた。結婚が決まったので、結婚式で一緒にバージンロードを歩いて欲しいという。お父さん結婚式来てくれるでしょ、という夏来に道夫は即答できない。実は夏生は妻が不倫の末に別の男との間に設けた子供なのだ。しかも今、夏来と暮らしている彼女の義理の父ことが、妻の不倫相手だ。しかし、元妻から夏来に出生の秘密を明かすことを止められている道夫は出席できない理由を説明することができない。次第に険悪になる夏来と道夫だが…
格付:A

猿がヂャラヂャラ 作:綾瀬麦彦(サウンド夢工房)

1992年・申年の年頭に「サウンド夢工房」にて放送された、サル尽くしバラエティドラマ番組、それがこの「猿がヂャラヂャラ」でした。干支ネタと言うことで言えばこの「猿がヂャラヂャラ」が干支シリーズのご先祖的な企画といえるかも知れません。さて、本作品は10回連続で放送された作品ですが各回の大まかな流れは以下のとおり。「モンキーシアター」を中心としていくつかのショートコーナーで構成されています。
格付:A

ウィル 作:今城文恵(青春アドベンチャー)

1863年の夏、新聞記者として赴いた西部ネバダ州ブルーバードビルで、私はウィリアム・オマリーという少年と出会った。彼は両親を亡くし叔父に養われる貧しい少年で、友人といえる人間は保安官の息子である足の不自由なクリスだけ。街一番の腰抜けと揶揄される臆病な少年だった。しかしある時、一人の女性と一丁の銃との出会いが彼の人生に大きな転機がもたらすのを私は見た。私は私自身のため、この暴力に支配された街で見聞きしたすべてをここに記す。世界の片隅で起きた少年の小さな成長の物語。発表のあてはない。しかし書き残すべき価値があるものだと私は信じている。
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