格付:AA

格付:AA

時砂の王 原作:小川一水(青春アドベンチャー)

22世紀、謎の増殖型戦闘機械群ETとの戦いにようやく勝利しつつあった人類は重大な事実に気が付く。ETは過去に遡行し、機械群と戦う能力を持たない過去の人類を滅ぼすことにより人類絶滅を目論んでいたのだ。衝撃を受けた人類は、総力を挙げて人型人工知性体メッセンジャーを過去に送り込み、過去の人類と共同戦線を組むが一歩及ばず、ETはすでに400以上の集団をさらに過去に送り出した後であった。追い詰められた人工知性体は、ETの最終目標を人類発祥の時代-10万年前-と断定、そこを絶対防衛線として強固な陣地を構築。人類の歴史を食い荒らしながら過去に遡行するETと、人類発祥の時代を基地として迎撃を始めた人工知性体との最前線は、紀元3世紀の東アジアの小島に定められた。「親魏倭王」を名乗る少女が治める島国に。
格付:AA

ミラーボール 作:中澤香織(FMシアター)

どうやら私はとんでもないブラック企業に転職してしまったみたい。正確には企業ですらないのだけど。従業員が自分を含めて3人しかいないのは仕方がない。実はこの靴下ブランド“リノ・ブロードリ”はあくまでデザイナーである莉乃さんの個人事業だった。つまり、営業や事務を一手に切り回している若葉さんでさえ立場はフリーのバイト。まして雑用係の私なんか…キラキラしたオリジナルの靴下を見て、ここでなら自分も輝けると思って飛び込んでみたけど。やっぱり私はキラキラ輝くミラーボールに憧れて、そのまわりを飛びまわる虫にすぎないのかもしれない。
格付:AA

風の向こうへ駆け抜けろ 原作:古内一絵(青春アドベンチャー)

「初めっから勝ち組は決まっているんだよ…」淡々とした口調で先生が吐く言葉は、あるいは真実なのかもしれない。「競馬の名門に生まれて技術もある。そんなやつには地方競馬出の雑草なんて、とても太刀打ちなんかできない。」でも、でも…悔しい!そう、私の中にある思いもまた真実だ。「先生、教えてください。私、勝ちたいんです。」
格付:AA

想い出あずかります 原作:吉野万理子(FMシアター)

二十歳の誕生日を前に、海辺の街に帰省した里華(りか)。親への挨拶もそこそこに出かけて行ったのは、波打ち際に建つ「想い出質屋」だった。この店の店長は普通の人とは違う不思議な人。この店は想い出を預かる代わりにお金を貸す不思議な店。しかし、人は二十歳を過ぎると、この店に行けなくなってしまう。最後のチャンスに店を訪れた里華は、中学3年生で初めて訪れてからの想い出を店長さんと語りあうのだった。
格付:AA

無頼船長トラップ 原作:ブライアン・キャリスン(FMアドベンチャー)

一体、ジェームズ提督はなにを考えているのだ。2800回もドイツ軍からの空襲を受けた孤立無援の島・マルタ。最近ではろくな物資も入ってこないこのマルタと北アフリカの間を、非武装で、レーダーも無線も持たず、しかも機雷の情報もなしに1年2カ月も往復を続けた船がいるというのか?しかもトラップなる無頼漢が率いるその船はドイツアフリカ軍団の横流し物資で闇商売をしてきた旧式の小型貨物船だというのだ。そんなことはありえないはずではないか。しかし、一番信じられないのはそのことではない。なんと提督は、ようやく拿捕したそのボロ船をそのまま英国海軍に編入し、北アフリカのドイツ・ロンメル軍団の補給路を断ち切る任務に就かせろというのだ。しかもその責任者として、この私、ミラー大尉を任命するというのだ。
格付:AA

夕凪の街 桜の国 原作:こうの史代(FMシアター)

ぜんたい この街の人は不自然だ誰もあの事を言わないいまだにわけがわからないのだわかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ思われたのに生き延びているということそしていちばん怖いのはあれ以来本当にそう思われても仕方のない人間に自分がなってしまったことに自分で時々気づいてしまうことだ
格付:AA

東の国よ! 作:福田義之(FMシアター)

1929年、日本の女性研究者は、イギリスの片田舎でようやくアーノルド・モロウを探し当てた。アーノルド・モロウ。文久2年に通訳として日本に来て以来、類まれな語学力と未知の世界に対する強い好奇心、そしてあくなき情熱で、明治維新の時代を日本人とともに駆け抜けた男。彼の残した回顧録「いちヨーロッパ人の見た明治日本の変革」は、明治維新前後の日本を知るための第一級の資料とされている。しかし、彼の回顧録には、ある重大な欠落がある。鳥羽伏見の戦い前後の記録が混乱し、間違いも散見されるのだ。これはモロウが意識的に行ったことではないか。記録に残せない、あるいは残したくない、何かがあったのではないか。すっかり年老いて反応も薄くなっているモロウの前で、研究者は自らが知る当時の時代背景を語り始める。彼の証言を得るために。
格付:AA

赤川次郎の冬の旅人 (ドラマ/FMシアター)

今世紀を代表するバリトン歌手、ディートリッヒ・F=D(エフ・デー)。来日8回目の東京。楽屋で公演の開始を待っている彼のもとに不審な電話がかかってきた。曰く「『冬の旅人』をうたうと人が死ぬ。」そしてその“予言”は実現してしまう。公演が終わって楽屋に戻った彼の前に死体が横たわっていたのだ。関係者として公演後も日本に残り捜査に協力することを要請されるF=D。要請に応えることにした彼だが、しかし事件はこれだけでは終わらないのだった。
格付:AA

異人たちとの夏 原作:山田太一(FMシアター)

昭和62年の夏始めに離婚した私は、自宅を妻に渡し、仕事部屋として使っていたマンションで生活を始めた。生活に不便はないが、都心部に位置するこのマンションはほとんどが事務所として利用されており、離婚直後の自分には夜が静かすぎる。そんな夜に、突然部屋を訪ねて来た同じマンションに住む年若い女性と関係を持ってしまうことはごく自然な成り行きだろう。そして、久しぶりに訪れた故郷・浅草で出会った、死んだ両親そっくりの夫婦と交流を持つことも、何らとがめ立てを受けるいわれはないことのハズだ。しかし、私は、この、すでにこの世にいないはずの「異人」と交流を始めた頃から、日々やつれていくようになったらしいのだ…
格付:AA

金魚姫 原作:荻原浩(青春アドベンチャー)

ダメだ、眠れない…恋人との収入格差を縮めるために転職した仏壇の販売会社は予想以上にストレスフルな環境だった。しかも、彼女には逃げられ、結局、残ったのはストレスから来る不眠症だけ。もはや睡眠導入剤が欠かせない。転職しようにも転職活動をする時間も気力もない。その日もようやく起き出したらすでに夕方だった。だるくて仕方がないが、近所の祭り囃子に誘われて夕食は屋台で調達することにした。そして出向いた祭りの屋台で彼はその金魚と出会った。金魚すくいの水槽の中で水草に隠れていた一匹のリュウキン。連れて帰ったそのリュウキンが家で女性に変化するとはそのとき彼は想像だにしていなかった。
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