格付:AA

格付:AA

遠い星からきたノーム~トラッカーズ 原作:テリー・プラチェット(特集サラウンド・アドベンチャー)

宇宙船の故障により、地球に不時着してから1万5千年。非力なノームたちにとって、この星の自然はあまりに過酷だった。文明が退行し過去の記憶と技術をなくしたノームたちは、強大な原住生物に圧迫され、遂に生き残りは10人、力のある若手の男性に至ってはわずか1名を残すまでに数を減らしてしまった。このままでは全滅は必至と考えた彼らは、少しでも住みやすい新天地を目指し集団移住することを決意する。そして自力での長距離移動の能力を持たない彼らは、ある移動手段を取ることを決めたのだった。
格付:AA

飛ばせハイウェイ、飛ばせ人生 作:樋口ミユ(FMシアター)

さあ、もうひと仕事。明日の朝までに木更津から吹田に行かなければならない。夜の3時に走る車は自分のような荷物を積んだトラックくらいだ。こんな夜には助手席に話し相手がいないとやっていられない。おや、ヒッチハイクしようしとている人がいるぞ。それも初老の男性だ。行き先を書いたボードには… “LAまで”?!変わったじいさんだが、乗せてみるか…午前4時、空はまだ暗い。
格付:AA

ロロ・ジョングランの歌声 原作:松村美香(青春アドベンチャー)

1998年12月3日、赤道近くの島、東ティモールで1人の日本人新聞記者が射殺された。中瀬稔(なかせ・みのる)享年32歳。私の兄だ。新聞記者として世界中を飛び回っていた稔兄さんは、行く先々から私に絵葉書を送ってくれた。最後の絵葉書は東ティモールに渡る直前、インドネシアの世界遺産、ブランバナンのロロ・ジョングラン寺院からだった。あの時、稔兄さんは何を感じていたのだろう。そして絵葉書になぜあんなメッセージを残したのだろう。「俺は運命に逆らうことにするよ」などというメッセージを。
格付:AA

いざ行かむ 短歌甲子園へ 作:東多江子(FMシアター)

「短歌甲子園」の3人の代表に選ばれてしまった。学校の課題として何気なく提出した短歌が新任の校長先生の目に留まったらしいのだ。ピアニストになるという夢が挫折して以来、何の取柄もなくただ平凡な毎日を送る私。こんな私に短歌の才能なんてあるのだろうか。まさか課題を提出したのがこの3人だけだった…という訳でもないようだけど。でもやっぱりダメだ。肝心の短歌甲子園の今年のテーマは「音」なのだ。どうしてもピアノのことを思い出してしまう。こんな私、修次郎君や夏音の足を引っ張るだけに決まっている…
格付:AA

北海タイムス物語 原作:増田俊也(青春アドベンチャー)

逆境とは!?「早稲田大学教育学部卒業・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)入りますっ!!」「整理部だっ!!」逆境とは - 思うようにならない境遇や不運な境遇のことをいう!!「そっそれは… 決定ですか!?」「大手マスコミに落ち続け、記事の見出しすらまともにつけることができない。そんな若造を記者にすることは無駄だという圧力がかかってな…社会部には君の同期の浦ユリ子君が配属される。」「なぜ…浦さんに…」「彼女は力があるからな。力がある人間にしか私は興味はない!!」「わっ私は新入社員ですよっ それも社会部記者になるためだけに北海道までやってきたのに…」「ふだんの問題意識がないことが意欲の差にも現れる。なまはんかな職業意識なら記者になんかならないほうがましだ!!」「部長!!」「くどいっ」これだこれが逆境だ!!(参考:島本和彦「逆境ナイン」)
格付:AA

武揚伝 原作:佐々木譲(青春アドベンチャー)

榎本釜次郎武揚(ぶよう/たけあき)がオランダ留学から戻ったのは1867年(慶応3年)。少禄とはいえ武士の子である武揚がエンジニアを目指したのは、この国難の時代、日本には100の議論を重ねるより100人の技師が必要だと思ったからだ。しかし、幕府発注の最新鋭艦・開陽丸(かいようまる)を操船して帰国した武揚を待っていたのは、予想を超えて急転していく時代の流れだった。最新鋭の軍艦という確固たる武力を掌握する武揚。ゆえに、時代は彼を徳川家に忠実な一技師であることを許さない。阿波沖海戦、江戸脱走、奥羽越列藩同盟への参加、そして函館戦争。流転の幕臣が遂にたどり着いたのは、衆議で国のあり方を決める「共和国」というひとつの夢であった。
格付:AA

ホワイトダスト 作:長田育恵(FMシアター)

目覚めると、そこは知らない部屋だった。ここはどこだ…俺はなんで…そうだ「プロジェクト」だ。俺は、あのプロジェクトに自ら志願して冷凍睡眠に入ったのだ。と、なると今は何年なんだ。あれから何年経った?地球はどうなっているんだ。ホワイトダストはどうなった?くそっ、この窓のない部屋では外の様子がわからない。女性がひとりいるだけで他には何もないこの部屋では……?女性!?
格付:AA

トリガー 原作:霞田志郎(青春アドベンチャー)

人類が宇宙に進出してから50年経った2088年。「雪女のキス」と呼ばれる謎の疫病により地球上の人類は絶滅し、火星基地にわずか1万人あまりが生き残るのみとなっていた。疫病が蔓延する地球には戻れず、かといって火星で人口を増やそうにも基地のキャパシティはこれ以上の人口増加を許さない。人類は全ての構成員をモールという巨大コンピューターに常時接続することにより実現した管理社会で辛うじて命脈を長らえているが、先細りは明らかだった。この世界に暮らすケイは大学生。基地を作り上げたトオルの孫娘であるはずのケイには人に言えない、そして政府にも言えないある秘密を抱えていたのだが…
格付:AA

さよなら、田中さん 原作:鈴木るりか(青春アドベンチャー)

田中花実は母親とふたり暮らしの小学6年生の女の子。お母さんは、建設現場の“ガテン系”の仕事で一生懸命に家計を支えてくれているが、食卓に頻繁にモヤシが上がったり、ドリーミングランドに行くために自販機の釣り銭忘れを探し回らないといけないくらいには貧乏だ。でも、ふたりは明るく楽しく生活している。本作品は、そんな花実の周りに起こる、ちょっとおかしい、けど、ちょっと心にしみるいくつかの出来事を綴った連作短編である。
格付:AA

夜市 原作:恒川光太郎(FMシアター)

夜市は岬の森にて開かれる。素晴らしい商品が並ぶことだろう。夜市には北の風と南の風に乗って多くの商人が現れるからだ。だから一緒に夜市に行かないか。夜市ではどんなものでも手に入れることができる。そう、人間の「才能」であろうとも。人間の「寿命」でさえも。あれから何年たったのだろう。あの…夜市で弟を売った、あの日から。風のにおいと日の光の具合と、影のでき方。鳥や虫、草花、生き物たちの気配でそれがわかる。今宵、再びの夜市の夜だ。
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