格付別一覧

格付:B

ワンさんは働き者 作:三井隆(FMシアター)

名古屋でラーメン屋を営む初老の夫婦の元に、日本語の怪しいアルバイト希望の若者が転がり込んできた。少しでも赤字を減らしたい妻の提案で受け入れることを決めた店主だが、彼のやることはどこかおかしい。夜中に“太陽系音頭”を大声で歌うわ、大量の放射性廃棄物を一般ゴミに出すわ。耐えきれなくなった店主は、どこから来たのか彼に問いただすが帰ってきたのは奇妙な音ばかり。その若者“ワンさん”曰く「私の故郷の名前、地球上で発音すると超音波になってしまう」。そう彼は宇宙人だったのだ。
格付:B

今年の梅は 作:伊佐治弥生(FMシアター)

世の中には“便利屋”という仕事に不信感を持つ人間もいる。確かに家庭内の仕事を手伝うという性格上、その家庭のナイーブな側面に触れざるを得ない面はある。ましてお客が老人の場合、なぜ他人である便利屋に頼むのか、老人の弱みに付け込んで金をとっているのではないかと、依頼人の家族に思われることもある。しかし、それにしても突然現れた倫子さんの大学生だという孫の言い方は失礼過ぎる。これまで倫子さんとは適当な距離を保ち楽しくやってきたのだ。それに私にだって事情はある。女ひとりで便利屋を切り盛りすることはそんなに楽なことではないのだ。
格付:AA

ウブヒメ 作:今城文恵(青春アドベンチャー)

お江戸・浅草の裏長屋に住む5人の男女が、竹藪のあばら家に集まっていた。浪人の天野新右衛門、猿回しの音兵衛役、町奴(侠客)の権太、そしてやたらと目力のある武女(むめ)という少女。彼らが目論むのは権力者、柳沢出羽守保明の屋敷の焼き討ち。罪のない町人たちが磔や追放の憂き目にあう徳川綱吉の世を一刻も早く終焉させるのだ。由井正雪すらなし得なかった大事を目論む彼らにはある切り札があった。それこそが武女の持つ“産火(ウブヒ)”の力。正しい人間である自分が、悪いものを灰にするための力。私が火をつけてやる。
格付:B

これは、私の落とし噺 作:本田誠人(FMシアター)

「母さん落語する。やってもいい?」母が突然、落語家になりたいと言い出した。若かりしあのころの夢にもう一度挑戦したいというのはわかる。若いころオードリー・ヘップバーンに憧れていたのもわかる。でも、なぜ落語?恥ずかしい、絶対やめて欲しい…って言いたかったけど。いつからだろう、相手の顔色を窺って感情を表に出さなくなったのは。目立つな、騒ぐな、叩かれるな。それが私の絶対条件、3箇条。
格付:A

かがみ池のからくり 作:松村武(青春アドベンチャー)

30目前の売れない歴史ライター・能垣拓郎(のうがきたくろう)と、サブカル好きの女子大生・鳥留つむぎ(とりとめ・つむぎ)が向かったのは「かがみ池」。拓郎には微妙なパワースポットにしか見えないが、つむぎがいうには「知る人は知る聖地」らしい。かがみ池の水面をのぞき込むと、何者かの呪いによって陰で操られている人はその陰の主が水面に映る。さらに、その水面に何も映らない場合は…とのことなのだが。もちろん拓郎はこの与太話を信じてここまで来たわけではない。旅雑誌の取材で訪れた祭りで出会った鳥留つむぎという可愛い女の子との距離を縮めたかっただけなのだ。しかし、彼らはそこで歴史ライターでもサブカル好きでも予想もできないような出来事に巻き込まれることになる。物語の始まりは平成バブルがはじけて間もないころ。パフィーの「サーキットの娘」が流行っていた1990年代後半のことである。
格付:B

ぼくらの七日間戦争 原作:宗田理(アドベンチャーロード)

7月20日、中学1年1学期の修了式の日。クラスの男子全員21名が学校から帰ってこなかった。親や教師が集団誘拐かと大騒ぎをする中、「午後7時からFM放送を行う。ダイアルを88MHzにあわせろ。」という不審な電話がかかってくる。大人たちが慌ててラジオのダイアルをあわせると、アントニオ猪木の入場テーマ「炎のファイター」に合わせて放送が始まった。「皆さん、こんばんは。ただいまより解放区放送をお届けします。センコーの説教も親父の小言もお袋の愚痴も今日は休みだぜ。テストも宿題もついでに塾も今日は休みだぜ。それからテレビも漫画もおやつもビタミン剤も今日は休みだぜ。休んで何をするかって?…」
格付:AA

十二人の手紙 原作:井上ひさし(ふたりの部屋)

本作品「十二人の手紙」は井上ひさしさんの同名のオムニバス小説を原作とするラジオドラマです。大衆小説、SFからファンタジーそして戯曲まで井上ひさしさんといえば戦後日本を代表する作家、脚本家のおひとり。直木賞(大衆小説)、日本SF大賞(SF小説)、岸田國士戯曲賞(戯曲)をすべて受賞しているのって井上ひさしさんくらいではないでしょうか。
格付:AAA

六人の嘘つきな大学生 原作:浅倉秋成(青春アドベンチャー)

僕たちは理想のチームになれた…はずだった。今を時めくIT企業スピラリンクスの最終選考。僕たち6人の就活生に課せられたのはグループディスカッションだった。幸い選考日までには時間がある。しかもこれは落とすための選考ではない。お互いを理解し、短所を補い、長所を生かしあう。良いディスカッションをして会社をうならせて全員内定。5,000人から選ばれたこの精鋭6名ならそれができるはずだ。その確信はスピラの方針変更で採用が1名のみとなり、グループディスカッションがその1名をお互いで選ぶ場となってしまっても変わらなかった。フェアな議論で全員が納得できる1名を選び出す。そのためのルールも合意することができた。こんな状況でさえ僕たちは協力し合うことができる。僕たちは理想のチームになれたはずだったのだ…
格付:A

柳生非情剣 原作:隆慶一郎(青春アドベンチャー)

織豊政権下で没落し領主としての地位を失った柳生一族。剣に没頭し兵法家として狭い世界での名声に甘んじる父・石舟斎の態度が、宗矩には我慢できない。失った領土を取り戻してこその剣ではないのか。敢えて柳生庄を離れ、広い世界で剣の腕を磨きながらついに得た立身出世のチャンス。2代将軍・徳川秀忠の兵法(剣術)指南役。その実態は政権を守るための裏の仕事をこなす汚れ役。しかし宗矩はこの機会を逃さない。必ずや江戸に柳生新陰流ありと、その名を全国に轟かせてみせる。そして領地を取り戻し最後には大名の座に上り詰めるのだ。
格付:A

うつ病九段 原作:仙崎学(FMシアター)

頭がぼやっとする。覚えられない。考えられない。一体どうなっちまったんだ、俺の頭は。小学5年のときに奨励会に入会。俺のあだ名は「天才」だった。以来、将棋一筋。そんな俺が将棋を打てない。心配した妻が呼んだ精神科医の兄貴が俺の顔を一目見るなり言った。「学…。どうしたんだ。いつからこんな状態だ。」2017年8月。俺は本格的におかしくなっていた。
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