- 作品 : 手が冷たい
- 番組 : FMシアター
- 格付 : A
- 分類 : 日常
- 初出 : 2025年11月29日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 小松波瑠
- 演出 : 田辺陽一
- 主演 : 高橋惠子
佐々木風子は道東・風蓮の漁師だ。
この地で100年続いてきた伝統漁法・氷下待網漁(こおりしたまちあみりょう)を夫とふたりで続けてきた。
しかし夫が他界した今、ひとりではとても続けることができない。
そもそもこんな厳しい漁、どうして続けないといけないのだろう。
娘が手をつないでくれないほど冷たい手になってまで。
ああ、それにしても手が憎い。この冷たい手が憎い。

本作品「手が冷たい」はNHK札幌局制作のオーディオドラマでNHK-FMのFMシアターで、北のシナリオ大賞の受賞作をオーディオドラマ化したものです。
北のシナリオ大賞の受賞作は今まで「土方さん、さようなら」、「礼文バージンロード」、「マサマサ」などを紹介しています。
出来はいろいろ、といったところでしょうか。
氷下待網漁とは?
本作品は道東で生きる漁師の人生の一断面を通じて、人生の哀歓や家族のきづな、生きることのつらさと希望を表現するような作品ですが、背景として使われるのが道東の風蓮湖や野付湾で今も行われる氷下待網漁。
もうこれについては以下の動画を見ていただくのが一番。
スノーモービルでの移動やチェーンソーで穴あけ、魚を食べにくるオオワシなど作中の風景がほぼ忠実に再現されています。
2014年放送ということは…
ただこれ10年以上までの番組なんですよね。
動画ではかなりたくさんの魚が取れていますが、温暖化の一層の進捗で今となってはもうこれほどはとれていないのかもしれませんね。
とはいえ今でも続いているし、綱引き体験もできるそうです。
いや、とんでもなく寒そうなので私はちょっと無理ですが…

倦怠、諦観、後悔、無念
さて上で「とんでもなく寒そう」と書きましたが、実際、この作品を聞いていると本当に寒そうなんですよね。
そしてストーリーが暗い。
暗いというか重い。重いというかやるせない。
主人公が人生に倦んでいる様子や、諦観、後悔、無念といった感情が聞いているリスナーの心を冷えさせます。
なにせ娘を亡くした(そして娘が亡くなった原因が自分だと思っている)母親の話ですから。
でも少しだけ…
とてもしんどい作品で心が押しつぶされそうではあるのですが、実は聞いていられない作品ではないのが本作品の凄いところ。
風子の人生のありようが何か変わるわけではないのですが、それでも一筋の希望はあるというところに、本年のリスナーアンケートで票を集めた理由を感じました。
主演は高橋惠子さん
主役の風子を演じたのは女優の高橋惠子さん。
人気女優ながらにっかつロマンポルノに出演したこともあり妖艶なイメージもありましたが中年以降はすっかり落ち着いた役が似合う女優さんに。
でもこんなぶっきらぼうな漁師の役もきちんとこなせるのはさすがだと思いました。
ちなみに北海道の道東、標茶町(しべちゃちょう)のご出身です。
冬の寒さはご自身の実感がこもっているのだと思います。
そして三倉佳奈さん
そして本作品の狂言回しともいうべき漁師仲間の娘・彩芽(あやめ)を演じたのは女優の三倉佳奈さん。
双子の姉・三倉茉奈さんと一緒に2度の朝ドラ主演で有名ですが、NHK-FMのオーディオドラマでも「マナカナの大阪LOVERS」、「マナカナの大阪WORKERS」におふたりで主演されています。
ただ本作品は佳奈さんのみのご出演です。
ちなみに大阪出身ですが倉本聰さんが主宰する富良野GROUPの演劇作品に出演した際に北海道富良野市の倉本邸に1ヵ月間滞したことがあるそうです。
本作品は当ブログで実施した2025年リスナーアンケートのFMシアター・作品編で第1位の得票を得ました。
リスナーの感想等は以下をご覧ください。


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