にぎやかな悪霊たち 原作:都筑道夫(サウンド夢工房)

格付:B
  • 作品 : にぎやかな悪霊たち
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : ホラー
  • 分類 : B+
  • 初出 : 1990年11月26日~12月7日
  • 回数 : 全9回(各回15分)
  • 原作 : 都築道夫
  • 脚色 : 岡本螢
  • 音楽 : 高橋洋一
  • 演出 : 香西久
  • 主演 : 熊倉一雄

出雲オカルト研究所に持ち込まれる怪事件の数々。
オカルト絡みだったり、オカルト絡みでなかったりするこれらの事件を、所長の出雲耕平、出雲の協力者で雑誌記者・鶴来(つるき)、そしてビルの1階にある喫茶店のバイトの由香里。この3人が快刀乱麻に解決する…のか?



本作品「にぎやかな悪霊たち」は推理・SF作家・都筑道夫さんによる連絡短編小説を原作とするラジオドラマです。
各短編はすべて出雲オカルト研究所に持ち込まれる別々の事件を描いており、ラジオドラマ版では1回15分で完結する作品が9編でセットになっています。

多彩な作品

本来は全作品そろってご紹介したいところですが、一部の音源を所有していないため、今回は第3夜と第5夜を除く7作品のご紹介になります。
連作短編という性格上、一部が足りなくてもご紹介する上での問題は少ないのですが、やはりできれば全話聞いてみたい。
というのも本作品は意外とバラエティが豊富。
上記のジャンルでは便宜的にホラーに分類しましたが、実はほとんど怖くはなく、コメディ作品…は言い過ぎでもユーモア作品と言っても良い展開の回が多い。
また、推理作家の作品らしく、各回、超常現象の存在を前提とした(拡張ルールの)謎解きが展開されるのですが、中には一見、超常現象と思われた出来事ではあるものの、合理的な推理で解決されてしまう回もあります。
ちなみにラジオドラマ化されたのが原作の中の9編(5の倍数でない回数の作品はレアですね)です。
ラジオドラマ化されいていない「蝋いろの顔」、「騒ぐ霊」、「女嫌いの女の絵」、「激写あの世ヌード!」、「水わり幽霊」、「人形たちの夜」を含めて聞いてみたいものですが、さすがに30年たっているので続編は無理でしょうね。

各回の内容

なお、9作品の概要は以下のとおりです。

◇第1話「幽霊坂マンション」
依頼人は幽霊の出るマンションに住んでいる青年。しかし家賃が上がると困る彼は幽霊がいることを証明したいという。昨今まれにみる健気な幽霊の話。


◇第2話 「湯気の中から」
女が風呂に入っているときだけ出現する海坊主のような濃い灰色の幽霊。依頼を受けた鶴来は女の部屋に向かうが、なぜか出雲所長の様子がおかしい。


◇第3話 「モンロー変化」
(未聴:音源をお持ちの方は是非お聞かせください)


◇第4話 「黒く細いもの」
ムカデの幽霊が現れるという。手で払いのけると消えてしまうがやはり気持ちが悪いというのだが、これは本当にムカデの幽霊なのか?


◇第5話 「出雲狐」
(未聴:音源をお持ちの方は是非お聞かせください)


◇第6話 「男の首」
若い女霊媒師からメロンが送られてきた。しかし、明けてみるとメロンはみるみるうちに男の生首になってしまった。生首は一生懸命口を動かしているが何も聞こえない。


◇第7話 「化け方教えて」
男は「自分が死んだ後、女房が自分の親友と暮らしている夢」をみるという。調査を始めた出雲オカルト研究所だが、男の依頼内容とは異なる、ある事実に直面した。


◇第8話 「夜の猫は灰色」
猫嫌いの彼と会うときに猫を室外に追い出していた女。そのため事故に遭って死んでしまった猫が最近また現れるようになったという。これは猫の復讐なのか?


◇第9話 「離魂病診断書」
由香里が出雲所長に突然「鶴来と結婚する」と宣言した。しかし鶴来に心当たりはない。そもそも由香里の様子は明らかにおかしかった。一体どうしたのだ?

テアトル・エコーの出演陣

さて、上記のとおり本作品のレギュラー出演者は3人。
雑誌記者の鶴来は、持ち込まれる事件を週刊誌オカルトレポートの記事にするために出雲オカルト研究所に入り浸っているため、ほぼ研究所員といって良い状態。
また、由香里は鶴来の恋人であり、それに関連した事件も多い。
この3人の密接な関わりの中で事件は扱われていきます。
このうち出雲所長を演じるのは声優の熊倉一雄さん(「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌の人と言えば声を思い起こせる人も多いのでは?)で、鶴来を演じるのは安原義人さん、そして由香里を演じるのは重田千穂子さん。
ゲスト出演の納谷悟朗さんなどを含め、テアトル・エコーの所属の声優さんで固められています。
熊倉一雄さん+納谷悟朗さんというと、「長く孤独な狙撃」や途中でぽろっとゲスト出演されていた「闇の守り人」を思い出すのですが、元々同じ劇団ですので共演が多くても当然ですね。



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