風のスケッチブック 作:日比谷祐希ほか(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 風のスケッチブック
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2024年5月6日~5月10日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : (下表参照)
  • 演出 : 木村明広、藤井靖
  • 主演 : 玉置玲央、谷村美月

本作品「風のスケッチブック」はNHK-FM青春アドベンチャーで放送されたオーディオドラマで、1回15分完結の独立したショートストーリー5篇から構成されるオムニバス作品です。

「スケッチブックシリーズ」?

「○○のスケッチブック」というタイトルの作品は2021年の「ソラのスケッチブック」に次いで2作品目ですが、これをNHKがシリーズとして扱っているかは微妙なところ。
また、最近、青春アドベンチャーで5作品制作されている「ストーリーボックスシリーズ」とどう棲み分けているのかもよくわかりません。
かつて併存していた「不思議屋シリーズ」と「ライフシリーズ」は、制作局が分かれていたほか、内容面の傾向も違っていました。
この辺は今後明確になっていくのかも知れません。

各回の内容一覧

さてそれでは各回の概要をご紹介します。
作品全体のテーマは「風」ですが、例によって「風」度の程度は作品によって異なっています。
各回のタイトル、当ブログの格付け、脚本家、演出家、粗筋、ブログ主からの一言は以下のとおりです。
格付けはあくまでブログ主個人の感想です。
ご異論のある方もいらっしゃると思いますがご容赦のほどを。

第1話 「逆風力発電所」 (日比谷祐希)

  • 格付 : C
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 演出 : 藤井靖
  • 主演 : 玉置玲央
  • 概要 : 突然はがきで地下室に呼び出されたサラリーマンとアイドルと国会議員、彼らの共通点は「逆風」に晒されているということなのだが…
  • 一言 : 悪い意味で不思議屋風の話。設定の面白さがいまいちわからないし、逆風ではなく共感で発電するのもわかりづらい。そもそも彼らは差したる逆風を受けていない。

第2話 「海の恋人」 (上野詩織)

  • 格付 : C
  • 分類 : 日常
  • 演出 : 藤井靖
  • 主演 : 谷村美月
  • 概要 : 相手が自分とそっくりだと思う男。真逆だと思う女。すれ違う会話。「大介にはわならないだろうし、わかって欲しいとも思わないし。」
  • 一言 : 男女の別れ話その1。共感しか求めていない女性が鬱陶しく聴いていてゲンナリ。それにしても「かおる、ストーリーボックス」始めオムニバスで似たような設定の作品が多いのはなぜか。

第3話 「ブレックファスト・バター・ブレッド」 (杉原大吾)

  • 格付 : C
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 演出 : 藤井靖
  • 主演 : 玉置玲央
  • 概要 : 朝、目が覚めたらまだ夢の中にいるようなボケた感覚があった。彼女は「まどろみ風邪ね」というのだが。
  • 一言 : 同じ脚本家の「傑作が落ちてくる」は面白かったのだが本作は不条理すぎて…。単なるナンセンスなポエムと捉えるべきか、精神病患者の頭の中と捉えるべきか。

第4話 「温風男」 (足立聡)

  • 格付 : AA
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 演出 : 木村明広
  • 主演 : 渡辺いっけい
  • 概要 : カレをお父さんに紹介する。お父さんには事前に念を押した「余計なことはしないでね」と。でもお父さん、例のことを話し始めちゃった!
  • 一言 : 同じ脚本家の「手を振る仕事」はあまり好きではなかったが本作は気に入った。不条理だが渡辺いっけいさんのとぼけた感じが役に嵌っており聴いていて微笑が浮かぶような温かさがある。

第5話 「さよならの風」 (中澤香織)

  • 格付 : A
  • 分類 : 日常
  • 演出 : 木村明広
  • 主演 : 谷村美月
  • 概要 : 一緒に暮らし始めてわずか3カ月。5年間付きあった人が去っていった。好きな人ができたらしい。周りは私をかわいそうだと思っているみたいだけど、それは違う気がする。
  • 一言 : 男女の別れ話その2。わがままで幼稚な男にウンザリ。でも上手くいかないなりに自分の生き方を肯定している女性には好感を持った。誰もが強くあらねばならないものでもないでしょ。

感想総括

なぜかテーマ又は要素が被っている作品が多いのですが、個人的な「好き」度はかなり作品によって差がありました。
「温風男」の足立聡さんは、「手を振る仕事」で2021年当ブログアンケート第2位、「遺体を捜す人たち」で2022年当ブログアンケート第1位の方ですが、個人的にはあまりしっくり来ていませんでした。
ただ「とけるストーリーボックス」の「アイスが溶けて落ちる」が良作で、今回の「温風男」もそのタイトルのとおり暖かくどこか可笑しさもあり楽しく聞けました。
第5話の「さよならの風」もありがちなシチュエーションの作品ではありますが、中澤香織さんらしく好感の持てるお話。
おもえば中澤さんも最初の頃の「もう一度、夫婦で」などはあまり印象良くなかったんですよね。
むしろ印象が悪いくらい気になる方が良作なのかもしれません。

玉置玲央・谷村美月・渡辺いっけい

メインの出演者は玉置玲央さん、谷村美月さん、渡辺いっけいさんのお三方。
FMシアターでは、玉置玲央さんに関しては「傑作が落ちてくる」が、谷村美月さんについては「ミラーボール」が良作です。
ファンの方は是非、聞いてみて下さい。
渡辺いっけいさんについては言わずもがな。
青春アドベンチャー草創期の常連出演者で、こちらでオーディオドラマ版への熱い思いを語って頂いています。


■中澤香織さん関連作■
日常的な舞台でもチクチクするセリフが魅力的。
中澤香織さんの脚本、脚色作品の一覧はこちらです。


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