【特集:青アド・ポーカー41】江戸川乱歩賞受賞作家による原作作品
青春アドベンチャーで2024年10月に放送される「四日間家族」は川瀬七緒さん原作、三上幸四郎さん脚色のオーディオドラマです。
乱歩賞コンビ
実は川瀬七緒さんは2011年「よろずのことに気をつけよ」で第56回江戸川乱歩賞を受賞しており、一方、三上幸四郎さんも2023年「蒼天の鳥」で第69回江戸川乱歩賞を受賞されており、なんと江戸川乱歩賞受賞コンビの作品ということになります。
乱歩賞作家の原作作品
今回は「四日間家族」の放送を記念して、過去の青春アドベンチャー等で採用された乱歩賞受賞作家の作品をご紹介します。
西村京太郎さん「名探偵なんか怖くない」
単行本の累計発行部数が2億冊を超えるというトラベルミステリーの名手西村京太郎さんは1965年「事件の核心」で第11回の乱歩賞を受賞されています。
当ブログでは1985年にFMアドベンチャーにて放送された「名探偵なんか怖くない」をご紹介済みです。
中津文彦さん「ラバウルの秘宝」
1982年「黄金流砂」で第28回乱歩賞を受賞した中津文彦さんの採用作品は海洋冒険ロマンの「ラバウルの秘宝」。
冒険ものですが、乱歩賞作家の原作作品であることもあってミステリー色もあります。
井上夢人さん「オルファクトグラム」
1982年の第28回乱歩賞は上記の中津文彦さんと岡嶋二人さんのダブル受賞だったのですが、後者の岡嶋二人さんは井上泉さんと徳山諄一さんの共同ペンネーム。
このおふたりのうち井上泉さんがコンビ解消後に井上夢人のペンネームで書かれたのが2001年に青春アドベンチャー化された「オルファクトグラム」でした。
東野圭吾さん「虹を操る少年」「分身」
第31回(1985年)乱歩賞を受賞している東野圭吾さんですが、その後のご活躍は皆様ご存じのとおり。
青春アドベンチャーは「虹を操る少年」と「分身」の2作品が採用されていますが、前者はミステリ要素の少ない作品です。
後者もどちらかというとサスペンスかな。
桐野夏生さん「顔に降りかかる雨」
「顔に降りかかる雨」は1993年に桐野さんが乱歩賞を受賞した作品であり、現在のところ唯一の青春アドベンチャー化された散歩賞受賞作です。
桐野さんはその後も日本の女性ハードボイルド作家の第一人者として多くの作品を生み出していらっしゃいます。
川瀬七緒さん「四日間家族」
川瀬さんは子供服の服飾デザイナーを続けながら作家活動をされていらっしゃる方です。
青春アドベンチャー化された「四日間家族」は文藝春秋の第一回大人の推理小説大賞(2024年)の候補作でもあります。
(おまけ)三上幸四郎さん「四日間家族」
三上幸四郎さんは第69回(2023年)に「蒼天の鳥」で乱歩賞を受賞されていますが、もともとは専業の脚本家さん。
「四日間家族」でも脚色担当ですが、ほかにも乱歩賞受賞前の2022年に「シャドー81」、「優しい死神の飼い方」で脚色を担当してされています。
意外と乱歩賞作家は少ない
青春アドベンチャーがエンタメ枠である割には、直木賞や日本SF大賞・星雲賞などと比較すると、受賞作家の採用率が低いように感じます。
小説のように見返えして内容を確認することができない点で推理小説をオーディオドラマにするには困難な面があり、それを反映して推理小説自体の原作採用が少ないことが原因なのではないかと思います。
■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
その他の記事の一覧はこちらです。
コメント