刑事が主人公のラジオドラマつながり

ゆるゆるつながり

【特集:青アド・ポーカー26】刑事が主人公の作品つながり

以前、軍人が主人公のラジオドラマの特集をしたのですが、今回はその姉妹編で刑事が主人公の作品を紹介します。

意外と少ない

刑事が主人公といえば、いわゆる「刑事もの」、「警察もの」の推理・サスペンス作品。
テレビの2時間ドラマ(「西村京太郎サスペンス」とか)や帯ドラマ(「相棒」とか)でもおなじみですね。
当然主人公は渋い男性が務めることが多いと思うのですが、このブログで主に紹介しているNHK-FMの青春アドベンチャーというラジオドラマ番組は、比較的若年層を対象とした番組ですので、こういった典型的な刑事ものはあまりありません。
そのため、この記事で紹介するラジオドラマ作品の主人公の数は、軍人の主人公よりもさらに少ない数にとどまっています。

刑事主人公一覧

それでは早速紹介しましょう。
今まで紹介した作品で6人の刑事の主人公がいますので、ポーカー風に言うとシックスカード?成立と言ったところでしょうか。

新宿鮫・氷舞(鮫島)

新宿鮫・氷舞 原作:大沢在昌(青春アドベンチャー)
新宿警察署生活安全課の刑事・鮫島。エリートとして警視庁に入庁しながら、公安上層部に関するある秘密を知ったがゆえに、出世レースから外され新宿署で飼い殺しにされている男。しかしその秘密故に警察組織もまた鮫島に軽々しく手出しをすることができない。鮫島は新宿をねぐらとして、自らが信じる正義のありか、ひとりの刑事としてのあるべき姿を追い続ける。彼には上層部からの圧力は関係ない。一旦、事件に食いついたら決して離れない。そう彼は、キャリア出身の新宿署員、制度の中のはみ出し者、「新宿鮫」。

大沢在昌さん原作の「新宿鮫・氷舞」より、数少ない典型的な日本の刑事である「鮫島」。
青春アドベンチャーの代表というより、日本のハードボイルド界全体の代表とも言って良いくらいの有名なキャラクターですね。
青春アドベンチャー版の「新宿鮫・氷舞」で鮫島を演じたのは近年、性格俳優としての評価も高い、元モデルの阿部寛さんでした。
ちなみに「鮫島」は長い原作のどこにも「下の名前」がでてこない、名字のみのキャラクターです(映画版では「崇」の設定あり)。

魔の視聴率(矢田清)

魔の視聴率 原作:福本和也(FMアドベンチャー)
「緊急指令、緊急指令。六本木七丁目のマンション・ビラ麻布で爆破事件発生。就寝中の老夫婦が即死。死因はダイナマイトの強烈な爆風による心臓破裂……」<鮫島竜一郎>大東京テレビのプロデューサー。日本で初めて本格的なテレビアニメを手がけ一躍、脚光を浴びるが、出演者とのスキャンダルにより一年間の休職の上、関連会社へ左遷。10年間の雌伏の後に復帰し、新企画「孫悟空道中記」で返り咲きを図る。<矢田清>警視庁麻布署の捜査係の刑事で、ヴィラ麻布の爆破事件を担当。優秀な刑事だが、心の奥底に、ある私怨を抱えており、時には捜査より私情を優先して行動することがある。爆破事件の捜査は、やがて10年前のもう一つの事件へと結びついていく。そして、二人の男と、彼ら自身すら知らなかった複雑な人間関係が姿を表し始めるのだった。

福本和也さん原作の「魔の視聴率」の主人公の一人である矢田清も精力的で地道な典型的な日本の刑事です。
ただし、作中では私情を優先して行動するため、それが原因でいろいろとややこしくなるのですが。
なお、演じたのは江幡連さんです。
ちなみに「魔の視聴率」のもう一人の主人公の名前は「新宿鮫」と同じ鮫島ですが、こちらは刑事ではなくTVプロデューサーです。

精神分析ゲーム(マイケル・オヘイヨン)

精神分析ゲーム 原作:バチヤ・グール(青春アドベンチャー)
イスラエルの安息日である土曜日の朝、講演会の発表を控えていた美貌の精神分析医エバ・ナイドルフが殺害された。この事件の主任捜査官となったのは、エルサレム警察の捜査室長代理であるマイケル・オヘイヨン。敏腕で知られ、次期捜査室長の呼び声も高いオヘイヨンは、早速、現場となったエルサレム精神分析医研修センターに乗り込むが、そこで彼はこのセンターの特殊な性格を知る。すなわち、所属する研究生は患者を治療する医師であるとともに、指導医の精神分析を受ける患者であるという特殊な環境であったのだ。癖のある所員たちとのやりとりを通じて、この閉鎖的な“象牙の塔”の真実に立ち向かうオヘイヨンだったが…

マイケル・オヘイヨンは、イスラエル共和国エルサレム警察の捜査室長代理。
「精神分析ゲーム」で起きた事件の主任捜査官を務めます。
舞台が外国、事件関係者が精神分析医と、ややイレギュラーな作品ではありますが、それ以外は典型的な警察捜査ものになっています。
キャストは俳優の山西惇さんでした。

時間泥棒(ジョー・コペクスキー)

時間泥棒 原作:ジェイムズ・P・ホーガン(青春アドベンチャー)
ある日、ニューヨーク各所の時間がバラバラに遅れ出すという前代未聞の事件が起こった。ニューヨーク市警のジョー・コペクスキー刑事は、混乱する市内各所の対処に負われて疲れ果てて署に戻ると、上司に呼び出され、この事件の“犯人”を捕らえることを命じられる。これは明らかに警察で取り扱える仕事ではないと抗弁するコペクスキー。しかし、どうも、ある物理学者が「異次元のエイリアンがニューヨークの時間を盗んでいる」というとんでもない仮説を立てたらしいのだ。そして、焦る市警の上層部が、犯人がいるなら警察にやらせようと、この説に飛びついたらしい。宮仕えの身ゆえ仕方がなく、このトンデモ事件の“捜査”を始めることになったコペクスキーだが、虫好きのミナハン神父、科学電算研究所のエーリンガー博士そして、同僚の女捜査官ディーナの力を借りて、少しずつ真相に近づいていく。

松重豊さん演じるジョー・コペクスキーは、ニューヨーク市警の刑事ですが、彼が担当させられるのは「ニューヨーク各所の時間がバラバラに進むようになった」という超常的な事件。
そう、この「時間泥棒」は刑事ものではなく、ジェイムズ・P・ホーガン原作のSF作品なのです。
難解すぎて、正直、私にはいまひとつ理解できませんでしたが。

防潮門(エッフェン警部)

防潮門 原作:アリステア・マクリーン(アドベンチャーロード)
それはひとつの英語のメッセージから始まった。「我々はFFF(エフエフエフ)である。我々は北海に臨む堤防の要衝を爆破する用意がある。第一の目標はスキポール空港。洪水は明日11時に起こることを予告する。」テロリストはオランダという国全体を人質としようというのだ。国土の3分の1が海抜ゼロm以下というオランダを。

「防潮門」のエッフェン警部はオランダ・アムステルダム市警の潜入捜査官。
そのため、足で稼ぐ地道な捜査ではなく、スパイ顔負けの潜入捜査が得意なちょっと変わった警察官です。
作品ではテロリストに接触するため、犯罪者のふりをして地下世界に潜入します。
演じたのは東野英心さん。
何と渋い配役か。

警官嫌い(スティーブン・キャレラ刑事)

警官嫌い 原作:エド・マクベイン(FMアドベンチャー)
死体を仰向けにしてわかった。こいつはマイクだ、マイケル・リアダン。つまりガイシャは俺の同僚、87分署の刑事だったのだ。マイクはなぜ殺されたのか。通り魔に巻き込まれたのか?いや待ち伏せして後頭部を一発。これは用意周到な犯行。怨恨の可能性も高い。ヤツも刑事だ、心当たりはいくらでもあるだろう。つまり、いつ俺の身に降りかかってもおかしくない事態といえる。なんとも不愉快なことだ。それに今年の夏は異常に暑い。何もかもが不愉快なことばかりだ…

元祖警察小説「87分署シリーズ」の主人公キャレラ刑事。
NHK-FMでは87分署シリーズの第1作「警官嫌い」がFMアドベンチャー時代の1985年にラジオドラマ化しています。
演じたのは俳優の山口崇さんでした。

ほぼ刑事主役

なお、元刑事であれば「脱獄山脈」の一刀猛(演:津嘉山正種さん)や「ぱきゅん」(演:多田直人さん)も該当します。
また、「レッドレイン」の主人公シキ・キミハラ(演:滝沢涼子さん)も一種の刑事ではありますが、「Dタイプを“保護”することを目的とした“Dプロジェクト”の特別警察官」というSF作品ならではの特別な職業ですので除外しました。
同様の理由で「火星ダーク・バラード」の水島も除外。
さらに「赤川次郎の天使と悪魔」も本当は刑事・吉原丈助(演:小倉一郎さん)が主人公なのかも知れませんが、悪魔のポチを演じた古館伊知郎さんが実質的な主人公なので除外しました。
その他、明智小五郎シリーズ(「青銅の魔人」など)、「暗殺のソロ」、「東京防衛軍」、「ゲノムハザード」なども刑事の登場人物が印象的な作品です。


■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
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