不思議屋薬品店 作:北阪昌人ほか(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 不思議屋薬品店
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B-
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2002年11月18日~11月29日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 作  : (下表のとおり)
  • 演出 : 吉田努
  • 主演 : 堺雅人、増田未亜

新進気鋭の脚本家10人が、オリジナルラジオドラマを競作する「不思議屋」シリーズ8作品中の1作です。
本ブログでは「不思議屋」シリーズの作品は、「不思議屋料理店」(2007年)に続き2作品目の紹介です。

3人で進行

不思議屋シリーズでは原則として、ベテラン声優の永井一郎さんが、そのシリーズにあった「不思議屋」(本作品の場合は「不思議屋薬品店」)の店主として登場します。
そして、各作品ごとに登場する何名かの出演者とともに、1話完結の作品を演じます。
本作品の出演者は、堺雅人さんと増田未亜さんのおふたり。

堺雅人さんご出演

堺雅人さんといえば、この記事を書いている2013年に、連続テレビドラマ「半沢直樹」で、「倍返しだ!」という決め台詞とともに、一躍大ブレイクした俳優さんです。
そもそも2004年の大河ドラマ「新選組!」の山南敬助役で有名になった堺さんですが、本作品はその「新選組!」へ出演する前の時期の作品でした。

ブレイク前夜の舞台俳優

青春アドベンチャーでは、出演者として舞台俳優さんを積極的に採用しています。
そのため、上川隆也さん(サンタクロースが歌ってくれたなど)、渡辺いっけいさん(北壁の死闘など)、段田安則さん(西風の戦記)など、後にテレビドラマの常連になる人たちが、ブレイク前に出演していた事例が意外と多いのです。
堺さんも、すでに朝の連続テレビ小説「オードリー」(2000年)には出演されていたものの、本格的なブレイク前に本作品に出演されていたことになります。

一時期の常連女優

一方、各話のヒロインを務める増田未亜さんは、女優・元アイドルの方で、1990年代から2000年代の初頭までNHK-FMのラジオドラマに多数出演されていました。
個人的に思い入れが強いのは、1993年に放送された「ふたり」の北尾実加役。
姉妹の妹役で、少し舌足らずなしゃべり方が、とても役にあっていました。
本作品はそれから約10年後に制作された作品で、とてもはっきりとした大人っぽい発声になっているのが印象的です。

永井一郎さんは言わずもがな

不思議屋店主を演じる永井一郎さんは、サザエさんの「磯野波平」役で有名ですし、他の記事(不思議屋料理店、夏の魔術幽霊海戦機動戦士ガンダムつながり)にもたくさん書いていますので、そちらをご覧下さい。
どの作品でも、まさにベテランの名にふさわしい自然で充実した演技です。

各話の概要

さて、本作品の各話の脚本家と、粗筋、一言感想は以下のとおりです。

◆第1話 「ユニコーンの憂鬱」 (北阪昌人)

分類 : 幻想(その他)
格付 : B-
好きになった女性には秘密があった。彼女を受け入れるため男は不思議屋薬品店の扉を叩くが…


一言 : いい話だがオー・ヘンリーのアレにそっくり。

◆第2話 「胸の鍵」 (山名宏和)

分類 : 幻想(その他)
格付 : A
彼女の本当の気持ちが知りたい男は、自白剤を求めて不思議屋薬品店を訪れる。


不覚にもオチが読めなかった! 一発ネタだがまずまずの内容。

◆第3話 「恋のバストアップ大作戦」 (金沢祥宇)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
バストアップし玉の輿に乗るために、女は不思議屋薬品店に駆け込む。


ドタバタコメディー。堺雅人さんのはじけた演技が聴きどころか。

◆第4話 「アンブレラ」 (山下君子)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
薬学部をビリで卒業し不思議屋薬品店に勤め始めた男と、客の女の交流。


不思議屋薬品店自体が舞台。わかったようなわからないような幻想的なストーリー。

◆第5話 「光の風景」 (前原一磨)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
妻と視力を失った老人が遭遇した、ほんの少しだけ不思議なストーリー。


永井一郎さんが不思議屋店主ではなく、別の役で主役を演じる。日常系の色が濃い。

◆第6話 「ミスキャスト」 (松原竜)

分類 : 日常
格付 : B-
評論家にミスキャストと酷評された女優が、クスリでトリップして荒れる、荒れる!


こちらは増田未亜さんのはじけた演技が聴きどころ。永井さんはほとんど登場せず。

◆第7話 「ジョジョビャビャの鼻」 (橋本信之)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C
背中に腫瘍ができた男。腫瘍が取れなければ彼女と別れることになってしまうが…


これもさっぱりわからない。結局、腫瘍は取れたのか?男は**になってしまったのか?

◆第8話 「究極のジェントルマン」 (丸山智子)

分類 : 幻想(日本)
格付 : B-
薬の力を借りて、恋人の父親への挨拶に臨むチャラ男。


これもドタバタコメディ。実にどうしようもない話だが、割と笑える。

◆第9話 「ニジマル」 (横山玲子)

分類 : 日常
格付 : A-
秘伝の薬・ニジマルが、終戦後50年間に亘るふたりの思いをつないだ話。


不思議屋薬品店の話ではなく、それどころか薬の話ですらないという異色作。

◆第10話 「月とコオロギ」 (井出真理)

分類 : 幻想(その他)
格付 : C
飛びたいコオロギと父の目を治したい娘。お薬師に願いを掛けるふたりの望みは叶うのか。


コオロギと娘の関係がさっぱりわからない。テーマもオチもわからない。謎の作品。

気に入った作品

「不思議屋」の名のとおり、ほとんどの話が幻想的なストーリーです。
例によって、気に入った作品とそうでもない作品があります。
個人的なお勧めは第2話の「胸の鍵」と第9話の「ニジマル」です。
やっぱりショートストーリーだからこそ、「胸の鍵」のような意外性のあるラストが欲しいと思います。
「ニジマル」の方は不思議屋シリーズの一作である必然性がまるでない作品。
脚本家の横山さん、自由にやってますねえ。

悪くない回も多い

なお、全体でみると、“C+”と“C”が多くて平均点は伸びませんが、意外と悪くない作品も多いです。
「薬品」というのはショートストーリーにあったテーマだと思います。

【不思議屋シリーズ作品一覧】
全部で8作品制作された不思議屋シリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。


本作品の第1回(ユニコーンの憂鬱)が2019年3月放送の「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」で紹介されました。




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