ドラゴン・ジェット・ファイター 原作:白木正四郎(アドベンチャーロード)

格付:AAA
  • 作品 : ドラゴン・ジェット・ファイター
  • 番組 : アドベンチャーロード
  • 格付 : AAA-
  • 分類 : アクション(国内)
  • 初出 : 1989年10月23日~10月27日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 白木正四郎
  • 脚色 : (不明)
  • 演出 : 横大路順一
  • 主演 : 山崎銀之丞

「これから私が話すことは、友人家族を含む一切のanother peopleに対して…」
「Top seacret matter?! ジェイソン中佐、私の初めての休暇中なんですよ!」
「これはペンタゴンの命令なのよ。従ってあなたの休暇はすべてcancel。」
「なんてこったい! どんな内容ですか。」
「これを読んで。」
「『リディアの化身がバビロンの塔に上る。キアシシギの群れが飛び立つ日に、大いなるケルト人が…』 何ですか、これは?」
「送られてきたのは三日前。発信地はテルアビブ空港で、差出人は不明。All saint nightの日…」
「その日に何が起こるんだ。」
「当局の一致した見解よ。最新型の戦闘機以上のパワーを持つものがハロウィンの日にバビロンの塔に向かってやってくるわ。」
「それは… 戦闘爆撃機!?」


みなさまのお蔭をもちまして、本作品をもって300作品目の紹介作品となりました。
別途、節目の特集記事を作成しましたので、
そちらもご覧ください。


ラジオドラマで空中戦

本作品「ドラゴン・ジェット・ファイター」は青春アドベンチャーの前々身番組であるアドベンチャーロードで放送されたラジオドラマです。
聴き所はずばりF-14トムキャットやF/A-18ホーネットが登場するリアルな空中戦。
アドベンチャーロード時代には「A-10奪還チーム出動せよ」や「スナップ・ショット」など軍用機が登場する硬派な作品が結構ありました。
しかし、FMアドベンチャーから始まり30年近くに及ぶNHK-FMのエンターテイメント系ラジオドラマ枠の中で、戦闘機による空中戦を本格的に描いたのは本作品だけだと思います(追記参照)。
映像のないラジオドラマでリアルな空中戦が描けるのか?
当然、疑問を持たれるかも知れませんが、これが意外と成功している作品です。

音響効果をフル活用

ステレオ効果をフルに使って、まさに左右に音を振ることにより、とてもスピード感のある空中戦シーンになっています。
主役機は二人乗りのF-14ですので、主人公のパイロット・ヒロタとレーダーマンのビリーが交わす緊張感のある会話を挟みながら戦闘は進みます。
その他のシーンも英単語混じりの会話が大半を占めますし、軽快なアメリカ音楽のBGMが多用されること、さらにはナレーションが全くない脚本などが相まって、とてもcoolな作品になっており、むしろ映像がないことによって想像力を刺激されるとすら感じます。
スピード感という点では歴代の作品の中でもトップクラスだと思いますし、近代兵器を用いたリアルな戦闘という点では、潜水艦戦を描いた「幽霊海戦」と双璧だと思います。
とはいえ、両作品とも、作中でなされている会話が、本当にリアルな軍人の話し方なのかは私には知るよしもないのですが。

曖昧なストーリー

ただし、本作品には重大な欠点があります。
ストーリーが全般的に曖昧で、作中で実際に何が起きたのか、結局結末がどうなったのかがさっぱりわからないのです。
そして、そもそも原作とされる白木正四郎さんの「竜の塔」についても謎がたくさんあります。
この辺は別の記事で紹介したい思いますが、全5話しかない短い作品なのに、雰囲気重視の説明不足ですので、聴いていて完全に消化不良を起こしてしまいます。
同時期に制作された「ブルータスは死なず」も似たような印象でしたが、「ブルータスは死なず」は原作を読んで何とか自分の中で消化できました。
でも「ドラゴン・ジェット・ファイター」は原作とされる作品を読んでもさっぱり補完できず。
この辺の状況は別の記事で書きますが、全く困ったものです。

気恥ずかしいポエム

そもそも私は、このような雰囲気重視の作品はあまり好きではありません。
しかも本作品は各回の冒頭に「男は危険な夢を見る。…」的なポエム(としか言いようがない一節)までついてきて気恥ずかしいったらありゃしません。
でも、「レッドレイン」などもそうでしたが、雰囲気重視の作品であっても、このくらい突き抜けていればまた別で、これはこれでアリと思えてきてしまうのが不思議なところです。

出演者紹介

さて、主役のヒロタ少佐役を演じるのは山崎銀之丞さん。
日本人初のトップガンになったという青年戦闘機乗りヒロタ・リュウイチ少佐をはつらつと演じています。
山崎さん、「封神演義」など、後年の青春アドベンチャー作品にもいくつか出演されていましたね。
そして、その相棒ビリー・サワダを演じるのは「マーク・ヴァン・ソエストバーゲン」さんらしいのですが、ちょっと検索したくらいではこの方がどんな方かはさっぱりわかりませんでした。
また、ヒロインのシンディ・ジェイソン中佐を演じるのは女優の井上美那津さん。
ヒロタと一夜を過ごした翌日、寝坊してワトソン中将の前に現れたときの台詞「Good morning… General…」の堪らない色っぽさと言ったら!
CF愚連隊」のドリーンと並ぶアドベンチャーロード後期の2大セクシーヒロインですね。

別記事へGO!

さて再三書いてきたのですが、本作品には大きな謎があります。
今となってはもう解き明かすことはできないかも知れませんが、私の想像力が足りないだけかも知れない!
という訳で、四半世紀もの間、もやもやと抱えてきた、本作品のよくわからない点を書いてみたいと思います。
ネタバレ防止意味もあり、別記事に書きましたのでご覧ください。



※2023/4/15追記
本作品から20年以上後の2023年4月に久しぶりに空中戦をちゃんと描いた「シャドー81」が放送されました。
…が、正直、空中戦の表現は「ドラゴン・ジェット・ファイター」を超えられていない気がします…

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