CF愚連隊 原作:喜多嶋隆(アドベンチャーロード)

格付:AA
  • 作品 : CF愚連隊
  • 番組 : アドベンチャーロード
  • 格付 : AA
  • 分類 : 職業
  • 初出 : 1989年4月17日~4月28日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 喜多嶋隆
  • 脚色 : 佐久間崇
  • 演出 : 伊藤豊英
  • 主演 : 坂元亮介

私の名前は氷山(ひやま)。
外資系広告代理店・S&Wの制作部長だ。
わが社が日本に上陸してから10年。
がむしゃらにやってきたお陰で、60近いクライアントからの信頼を得て、会社は十分に軌道に乗っている…ように見える。
しかし、会社の発展とともにスタッフの年齢も上がった。
そして、わが社はこの2年間、新規のクライアントを1社も取れていない。
このままでは困る。
今、わが社に必要なのは「無茶、怖いもの知らず、でたらめ、損得勘定一切なし」、そんなヤクザなスタッフではないのか。
さて、今日、面接する流葉爽太郎(ながれば・そうたろう)とはどんな男だろうか。
履歴書によれば、USC(南カリフォルニア大学)の映画学科を中退し、アメリカの広告代理店で働いていた、とある。
わが社が望むような人材だと良いのだが。



喜多嶋隆さんの小説を原作とするラジオドラマです。
この原作を含む一連の流葉爽太郎が主役の作品は「CFギャング」シリーズとして20作近くの作品が発表されています。
本作はその第1作で、流葉チームの結成から初仕事(競泳用水着のTVCMの制作)までが描かれています。

番組を跨いだ続編

なお、CFギャングシリーズでは第3作目にあたる「ロンリー・ランナー」も同スタッフによりNHK-FMでラジオドラマ化されています。
ロンリー・ランナー」がラジオドラマ化されたのは「CF愚連隊」から3年半後の1992年11月。
その頃には番組名は「アドベンチャーロード」から「サウンド夢工房」を経て「青春アドベンチャー」に変わっていました(番組の歴史についてはこちらの記事をご参照下さい)。

経験者による内幕もの?

さて、喜多嶋隆さんといえば、1980年代に多くの青春小説を手がけた方で、片岡義男さん(さっきまで優しかった人吹いていく風のバラッド)などと並んで良い面でのバブルの雰囲気を思い出させる作家さんです。
喜多嶋さんご自身が作家になる前にコピーライター、CFディレクターなどをされていたそうで、このCFギャングシリーズは実体験に裏付けられたものだと思います。

いえいえこれはファンタジー

とはいえこの作品は仕事の難しさを堅苦しく語る作品ではありません。
一度聴いてみれば(読んでよんでみれば)、すぐにわかるのですが、一種の「大人の童話」であり、ファンタジーです。
例えば、学生時代は将来を嘱望されたボクサーで、USCでは恋人を巡る劇的な事件に巻き込まれる。
帰国してCFディレクターになれば早々に金髪美女とお知り合いになり、仕事をすれば数々のトラブルを、その腕っ節と度胸と機転でばっさばっさと切り抜ける…
ひょっとしてどこかにそんなスーパーマンも実在するのかも知れませんが、実際に社会で働いている大抵の人間はそんなキラキラした生活は送っていないものです。

そのまま楽しめばOK

でも、それを言うのは野暮。
いやむしろ、普通の大人の日常はもっともっと地味だからこそこのような作品の存在意義があるのかも知れません。
洒落た会話と流れるようなストーリー展開。
それに身を任せていれば良い作品だと思います。

流葉チーム結成、初仕事へ

さて、作品は流葉がアメリカから帰国したところから始まり、前半は流葉チームを結成するまでのストーリーになります。
アシスタントのリョウ、ディレクターの熊沢といったスタッフが集まっていく様はまるで「七人の侍」(七人もいないけど)のようで濃密な5話です。
そして後半は初仕事のロケ。
簡単に終わるはずだったロケは(案の定?)予期せぬトラブルに見舞われます。
そしてラストシーン。
実は最初に聴いた時は、「えっここで終わっちゃうの?」と思ったラストシーンだったのですが、続編「ロンリー・ランナー」も同様のラストシーンだったので、どうもこれがこの作品のフォーマットのようです。
慣れてくると、あえてあそこで終わることによって逆に余韻が残る良いラストシーンだと感じるようになりました。

個性的なキャラ、ぴったりの配役

出演は流葉爽太郎役が俳優の坂元亮介さん。
流葉はもう単純に格好良い役で、坂元さんはそれにぴったりです。
そしてときどき青春アドベンチャー系の作品であるのですが、脇役陣が妙に豪華です。
流葉を支えるベテランディレクター熊沢役が東野英心さん。
「父ちゃん情けなくて涙がでてくらあ」で「あばれはっちゃく」だ、とわかるのは相当のおじさんですね。
東野さんは「防潮門」(主演)などこの時期のNHK-FMのラジオドラマに結構、出ていました。

なんと花沢徳衛さん!

そして、流葉を支えるもう一人の大人・流葉亭コックの巌さん(がんさん)役は何と花沢徳衛さん。
昭和のドラマを代表する名バイプレーヤーです。
あと、今聴いてもとても色っぽくて堪らないのがドリーン役の中村明美さん。
この方、1981年のNHK朝の連続テレビ小説「まんさくの花」のヒロインであった方ですよね。
素晴らしい演技だと思います。もっとドリーンの声が聴きたかった(朝ドラ主演女優のラジオドラマ出演については、こちらの記事をご参照ください)。
そして後半にならないと出てこないメインヒロインのシンディ役がこれがまた何と女優の高畑淳子さん。
贅沢過ぎる使い方です。
その他、氷山制作部長の柴原侊彦(てるひこ)さんもイメージどおり。
なかなかの配役です。

キャスト変更は残念

実はこの配役、続編の「ロンリー・ランナー」では変更されているんですよね。
何か事情があったのかも知れませんが、ちょっと残念です。
「ロンリー・ランナー」の配役もなかなか雰囲気に合っているのが救いなのですが。

爽快な脚本

スタッフは脚色が佐久間崇さん、演出が伊藤豊英さん。
佐久間さんは現在、橋爪功さんが代表を務める演劇集団円に所属する演出・脚本家さんです。
青春アドベンチャー系の作品はあまり多く担当されていませんが、以前紹介した「西風の戦記」も佐久間さんの脚色です。
チェーホフの舞台などを手がけられている佐久間さんからすれば、本作のような娯楽作品の脚色はほんの余技なのかも知れませんが、切れの良い爽快な脚本です。
検索してみたら、昔、「まんがはじめて物語」の脚本も担当されていたという経歴を見つけちょっとびっくり。
これを知っているのはやはりかなりのおじさん。
随分時間が経ってしまいましたが、「クルクルバビンチョ、パペッピポ、ヒヤヒヤドキッチョの、モーグタン」は一生忘れられないでしょう。

奥深き伊藤豊英の世界

また、伊藤豊英さんは1990年代中頃まで多くの作品を演出された方。
「スナップショット」「防潮門」「モンテ・クリスト伯」などの大人っぽい作品の印象が強いのですが、改めて調べてみると「ふたり」のようなリリカルな作品も演出されていて奥が深いです。

映画版「CF愚連隊」

最後に、この「CF愚連隊」、実は1985年に映画にもなっています。
私は見たことがないのですが、流葉役は何と若き日の佐藤浩市さんとのこと!
「流葉=佐藤浩市」
うん、これも悪くないなあ。

【伊藤豊英演出の他の作品】
多くの冒険ものの演出を手掛けられた伊藤豊英さんの演出作品の記事一覧は別の記事にまとめました。
詳しくはこちらをご参照ください。

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