- 作品 : 近未来物語
- 番組 : ふたりの部屋
- 格付 : B+
- 分類 : SF(その他)
- 初出 : 1983年12月19日~12月23日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : 筒井康隆
- 脚色 : 能勢紘也
- 演出 : (不明)
- 主演 : ケーシー高峰、岡江久美子
本作品「近未来物語」は筒井康隆さんの短編小説から5編を選んでラジオドラマ化した作品で、NHK-FMの「ふたりの部屋」で放送されました。
2つの短編集から
作品は「10年から20年すればこんな世界になるのではないか」という視点から選択されているそうで、いわば「近未来」を舞台にしたディストピア的な設定の作品群です。
ただ本作品放送時から40年経過しているこの記事の執筆時点でみると未来予想としては全く実現していませんでしたね。
なお5作品のうち「ワースト・コンタクト」は短編集「宇宙衞生博覽會」に、それ以外の4作品は短編集「心狸学・社怪学」に収録されています。
ナンセンスすぎる
さて、筒井康隆さんといえば、小松左京さんや星新一さんと並び称されるSF界の大物。
何度も映像化されている「時をかける少女」のような全うな作品も書かれていますが、どちらかといえばナンセンスでブラックで前衛的な作品が有名です。
本作品もいかにも筒井さんらしい訳の分からない不条理な展開が続きます。
設定を使い尽くしている
ただ、青春アドベンチャーでよくあるオリジナル脚本のSF風あるいはファンタジー風の作品(不思議屋シリーズなどによくあった)が、奇妙な設定に作者が酔っているのかそれを明かすこと自体がオチになってしまっていることが多いのに対し、本作品は安易にオチに逃げずその設定を使ってさらに話を展開させている点では流石だと思いました。
ただストーリー的にはよくわからん作品も多いというのが正直なところではあります…
各回の概要
各回のストーリーの概要とブログ主からの一言は以下のとおりです。
第1回「ゲゼルシャフト」
- 概要:銀行強盗は無事に終了した。今では最新の技術で1時間もあれば別の姿になることができる。早速、元の姿に整形して出勤したが…
- 一言:ゲゼルシャフトとはドイツ語で利益共同体や利益社会のこと。本作品が示すゲゼルシャフトとは?
第2回「サディズム」
- 概要:今やそっくりのアンドロイドが売れることがその女優の人気のバロメーターだ。しかしなぜかこの女優はとても怒っている。
- 一言:女優を上手く言いくるめた段階で物語は終わるのかと思ったら、そこからが本番だった。タイトルどおり昨今ではつくりづらくなったような内容…
第3回「条件反射」
- 概要:気が付くと病身のベッドの上にいた。俺はなぜ生きている?とても生きていられるケガではなかったはずだが。
- 一言:これも主人公の状況がわかるのがオチではなく前置き。ただその後はひたすらエスカレートしていくだけだが。
第4回「未来都市」
- 概要:新路線の建設工事が日ごとにわが家に近づいてくる。どうなっているんだ?わが家には立ち退きの話なんて一切ないのだが。
- 一言:この第4回はオランダ国際放送協会主催の「1984年度ゴールデンウインドミル賞」ラジオ番組コンクールのシルバー賞を受賞したらしいのだが…不条理すぎてさっぱりわからない。
最終回「ワースト・コンタクト」
- 概要:マグマグ人が人類とコンタクトをしたいと言ってきた。人類はひとりの男を選んで、マグマグ人の代表と共同生活をさせるのだが。
- 一言:論理的思考が通じないマグマグ人との不条理な会話がひたすら続く。???と思って聴いていたが改めて考えると人間どおしでも割とこの程度の適当な理解で会話が成立している気もする(ひろゆき氏とか割と会話になってないですよね)。
出演者について
出演者はケーシー高峰さん、岡江久美子さん、及川ヒロオさんのお三方。
この番組は番組名のとおり2名の出演者が基本ですが本作品は「付録」として3人目の及川さんが出演されています。
ケーシーさんは白衣姿の医事漫談で一世を風靡した(芸名も有名なアメリカの医療ドラマ「ベン・ケーシー」より)芸人さんで、俳優としても活躍されました。
最近お見掛けしないなと思っていましたが、2019年に亡くなられたそうです。
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