バスタイム 作:中澤香織(FMシアター)

格付:A
  • 作品 : バスタイム
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : A+
  • 分類 : 少年(中高)
  • 初出 : 2020年10月10日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 中澤香織
  • 演出 : 石田幸丸
  • 主演 : 三田みらの

中学の頃、好きなものの話が長くてしつこいと言われた。
だからなんなん?ってイラっとされた。
そんな私だから高校に入学しても親しい友人はできなかった。
でも東京から来た転校生、深瀬さんは突然話しかけてきたのだ。
「森さんのお家って銭湯なの?かっこいいね!」
すぐに親友になった私達。
あたしの言うことに笑ってくれる人は初めてだった。
人に秘密を打ち明けられるのも初めてだった。
心地いい関係。
でも2年の夏に少し変化が生じたのだ。


本作品「バスタイム」は中澤香織さんのオリジナル脚本によるオーディオドラマで2020年にFMシアターで放送されました。

中澤香織さんといえば

当ブログで中澤香織さんといえば、「さよなら、田中さん」・「王妃の帰還」・「嘘の木」(ともに青春アドベンチャー)の脚色、そして「ミラーボール」・「あのひとのカナリア」の脚本。
その他の作品を含めて現在日本を舞台にした作品が多いのですが、どこかピリピリとしたセリフ回しが印象的な方。
本作品はごく普通の女子高生の日常を描いた作品であるため劇的なセリフは少ないものの、「あたしは3人以上で会話するのが苦手」、「ちょっと待って。今染み込ませている。」、「こういう体で話したい感じ?」、「小芝居タイム」など場面にあった印象的なセリフが多くて中澤さんらしいなあと思いました。

落ち着いた雰囲気

とはいえ、作品全般の雰囲気が暗い訳ではありませんし、胃もたれするような重い展開も(あまり)ありません。
同じ銭湯少女を描いた「あたたかい水の出るところ」(青春アドベンチャー)よりはやや辛めの展開ではあるものの、やや曖昧な結末を勘案しても気持のよいストーリーラインでした。

別ジャンル?

なお、上で「日常を描いた作品」と書きましたが、実は「あたたかい水の出るところ」と同様にファンタジー要素もあり、この作品についてはこちらのジャンル(←ネタバレ注意)に分類しても良い作品です。
ただその要素はあくまでアクセントであり、主題は彼女たちの心の動きや成長だと思うので分類は「少年(中高)」にしています。

三田みらのさんと守殿愛生さん

出演者については、主人公・早実(はやみ)役の三田みらのさんとその友人の深瀬結希役の守殿愛生(もりどの・まなせ)さんの2人が実質的な主演格。
三田さんについては「うるはしみにくし あなたのともだち」「ソラノムスメ」など多くの出演作を紹介しているのですが主演作は初めてだと思います。
また、守殿愛生といえば「エヴリシング・フロウズ」なのですが、今回はずっと内向的な役でした。


■中澤香織さん関連作■
日常的な舞台でもチクチクするセリフが魅力的。
中澤香織さんの脚本、脚色作品の一覧はこちらです。


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