永遠の森・博物館惑星 原作:菅浩江(青春アドベンチャー)

格付:C
  • 作品 : 永遠の森・博物館惑星
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : C
  • 分類 : 幻想(その他)
  • 初出 : 2001年10月1日~10月12日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 菅浩江
  • 脚色 : 平石耕一
  • 音楽 : 矢吹紫帆
  • 演出 : 柳川強
  • 主演 : 宮内敦士

地球の軌道上にある、表面積がオーストラリア大陸ほどの博物館惑星。
それはあらゆる美を集めたいという人類の飽くなき欲求の象徴であり、学芸員達が日夜、様々な美術品の収集・分析に勤しんでいた。
博物館惑星の統括部門に勤める学芸員である田代孝弘は、ある時、ふたつの大きなショックを受ける。
ひとつは、孝弘が仕事で使うデータベースにばかり入り浸っていることに怒った妻の美和子が地球へと去ってしまったこと。
もうひとつは小惑星イダルゴに、前代未聞の大発見-異星人がつくったものかも知れない千数百枚の美しい正五角形のタイル-があったこと。
このふたつの出来事は、孝弘の人生に大きな影響を与える、ある事件の始まりであった。



菅浩江さんの小説を原作としたラジオドラマです。
博物館惑星というSF(サイエンスフィクション)的な場所が舞台になっており、星雲賞を受賞した作品が原作です(星雲賞を受賞した作品を原作とする青春アドベンチャー作品についてこちら)。

一般的にはSFだが

しかし、少なくともこのラジオドラマ化された作品を聞く限りでは、サイエンス的な要素は薄い作品です。
本作における博物館惑星は、美とは何か、人と人とのつながりとはどういうことか、という主題を不自然なく問うための設定に過ぎないと感じましたので、本ブログでのジャンルは「SF系」ではなく「幻想系」としました。

タイルの謎

作品の前半はタイルがバラバラになる前の元の姿はどのようなものであったかを探る話で、後半は復元されたタイルから発見された謎の植物と老ピアニストを巡る物語です。
これらの要素が最終的には、地球へ行ってしまった妻・美和子の行動と絡まって、エンディングへの結びついていきます。
ただし、正直言いまして、私には合わない作品でした。

作品の主張は個人的にあわない

「美」というもの自体が曖昧で感覚的なものであるためか、主人公の行動もその他の登場人物達の行動も基本的に優しいというよりセンチメンタルなものに終始しているように感じられ、今ひとつ作品世界に入り込めませんでした。
確かに「整理」や「分析」という行為は何かを切り捨てる行為でもあります。
その点で美の探求という面では、「分析」は全てを受け入れる「情動記録」に遠く及ばないのかも知れませんが、科学的なアプローチより感傷的・直感的な行動ばかりを重んじる本作品の考え方には違和感を感じざるを得ません。
主人公・孝弘も最初は「博物館惑星」という特殊な世界の中では比較的世慣れた人物かと思われるのですが、意外と独善的であり、しかもその割に妙に感傷的・直情的で考え方がふらつく人物でもあり、あまり共感できませんでした。
あと、後半に登場するピアニストの老婦人もどうも…

あくまで個人的な感想

以上はあくまで私個人の感想です。
実は2012年の本作の再放送のすぐ後に、当ブログでAAAの評価を付けた「ピエタ」が放送されています。
「ピエタ」と本作はかなり似た要素があります。
両作とも芸術を扱った作品であること、謎解き的な要素があること、かなり感傷的な作品であること。
それなのに「ピエタ」は素直に受け止められたのに、本作がどうにも私には合わなかったということは自分でも不思議ではあります。
本作における物事へのアプローチについての結論への違和感と、「ピエタ」の登場人物達の方が必至で生きている感じがちょっとだけ多く伝わってきたからかも知れません。
このブログの評価はその程度のほんのちょっとした個人の感覚の差(それこそ感傷的な要素)で付いているものです。
本作のファンの皆様にはご容赦ください。

飽きさせない展開

それでも、本作も最後まで飽きることなく聞くことができました。
それは、やはり構成が非常に上手いことが理由だと思います。
異星人の残したオーパーツ(かも知れない)タイルの正体の探求から始まって、謎の植物の登場など、飽きさせない展開でした。

増山江威子さんご出演

出演者は主人公の孝弘役が宮内敦士さん、後半になってぐっと重要性が増す妻・美和子役が佐藤綾さん。
作品世界が自分に合ったか否かは別として出演者の熱演は疑うべくもありません。
それと「ルパン三世」の峰不二子役で有名な増山江威子さんが、ほぼ全編を通じて熱演されているのも聞き所です。

コメント

  1. コン より:

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    途中で何故ビートルズの音楽が流れたのか分からなかったんですが、この作品は最初堅い感じがあったのですが、段々面白くなってきて聞き終わっては当たり前の存在ながらも大切な人の存在を気付かせてくれる作品でした。

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