格付:B

格付:B

ギルとエンキドゥ 作:樋口ミユ(青春アドベンチャー)

2101年、人類は自らを不老不死の人間“サピエンスX” (さぴえんす・えっくす)に「アップデート」させることに成功していた。しかし、この「アップデート」は、胎児のうちに行われると、稀に深刻な自傷行為を繰り返すサピエンスXを生んでしまうという大きな秘密を抱えていた。サピエンスXとして生まれた少年ギルもまた、母ニンスの死をきっかけに抑えられない自傷衝動が生まれるようになってしまう。しかも同時に母を殺した使用人エンキドゥに対する殺意も抑えられない。しかし、母はギルに、エンキドゥとともに、ある場所へ行くように遺言を残したという。母とエンキドゥの間には何かあったのか。そして、サピエンスXの存在が示す人の生きる意味とは。
格付:B

カムパネルラ 原作:山田正紀(青春アドベンチャー)

岩手県の花巻に向かったのは、遺言に従い母の遺骨を花巻の豊沢川に撒くためだった。宮沢賢治が大好きだった母らしい遺言だが、毎日忙しいぼくからすると、何とも厄介な遺言だ。普段の仕事で疲れていて、何度も寝てしまったからか道中の記憶は飛び飛び。だが、ようやく大沢温泉郷に到着した。後は川まで下りて遺灰を撒くだけのはずだったのだが…現在は昭和8年9月19日、近所でやっている葬式は宮沢賢治の葬式だという。僕は寝ている間にいつの間にかタイムスリップしてしまった?いや、そもそも宮沢賢治が死んだのは昭和8年9月21日のはずだ。これは一体?
格付:B

春を待つ音 作:葉月けめこ(FMシアター)

母の遺品の中から見つかった1枚の写真。「糸島にて家族写真」とメモされたその写真には、亡き母と3歳の私、そして見知らぬ男性が写っていた。父は私が生まれる前に死んだ、母からそう教えられてきた。そういえば体調を崩した母が唯一行きたがっていたのは福岡県の糸島だった。そこに何があるというのだろうか。
格付:B

なにわ純情ナイトメア 作:蔭岡翔(青春アドベンチャー)

梅田再開発ビルの内装工事を受注した祝勝会の席上で、上司から逆玉の話を持ちかけられた主人公・徳永浩一。しかし、彼には大阪で同棲中の彼女がいた。確かに功績が認められたのは嬉しいし、東京に戻るつもりだったのも事実。それに、最近彼女とあまり上手くいっていない。しかし、上司の「見合いを断ることは論外!」という態度は、正直、困る。鬱々とした気分の帰り道、飲み直そうと見慣れぬ屋台に立ち寄った浩一は、そこに絶世の美女の女将を見つけたのだが…
格付:B

夜露姫 原作:みなと菫(青春アドベンチャー)

時は平安、後三条帝の御代。優しい父・中納言の庇護のもと晶子姫(あきらこひめ)は毎日を伸び伸びと過ごしていた。しかし、帝から預かっていた名笛「虚空」を盗まれた父・中納言が心労のために他界したことを契機に、晶子の人生は一変してしまう。日々の方便に事欠き、屋敷も破れ放題。その有様は盗賊が空き家と勘違いしてしまうほど。しかし、どん底の状態で晶子は一念発起。「虚空」盗難の犯人を見つけ、父の名誉を回復することを決意する。そのためには手段を選ばないことを覚悟した晶子は、世間から姿を消し、「夜露」(よつゆ)と名前を変え、盗賊団「狭霧丸の一統」に加わるのだが。
格付:B

黄金のアポロ 原作:高千穂遥(アドベンチャーロード)

その日、ついにレオンは第21代「黄金のアポロ」の座に登り詰めた。「黄金のアポロ」、それはこの管理社会「ポリス」において最高の格闘士に与えられる称号。ポリスにおける最高の栄誉といってよい。そして、孤児として育ったレオンこと、レオンセラトスがついに掴んだ最高の栄誉は、最高の恋人をも伴うものだった。レオンはまさに得意の絶頂にあった。しかし、まさにその晩、ポリスの外に住まう蛮族「バルバロイ」がポリスを強襲。祝いの席はめちゃくちゃにされてしまう。そして、それのみならず、バルバロイたちは口々に衝撃的な言葉を叫び始めたのだ。「黄金のアポロ、レオン万歳! バルバロイの王!」
格付:B

メゾン・ド・関ケ原 作:西村有加(青春アドベンチャー)

「関ケ原」駅至近で売り出し中の新築分譲マンション「メゾン・ド・関ケ原」。駅至近といっても1日あたりの乗車人数はわずかに1,002人(2015年)、しかも日中の普通列車は毎時2本という歴としたローカル駅。そこに13階建(←不吉?)の建物が建っているだけでも十分場違いだが、白いロココ調の外装も明らかに悪目立ちしている。こんな問題物件を売ることは、昨日まで引きこもりだった自分じゃなくても無理だよ、と思ったけど、売れないのにはどうも別の理由もあるみたいだ。近所の噂によれば、この物件、新築なのに「出る」らしいのだ。
格付:B

虫づくし 原作:別役実(ふたりの部屋)

本作品「虫づくし」は劇作家・別役実(べつやく・みのる)さんによるナンセンス・エッセイを原作としてラジオ番組用に再構成した作品です。別役実さんは日本の不条理演劇を確立した第一人者なのだそうで、本作品の内容も十分に不条理です(笑)
格付:B

ハリネズミの願い 原作:トーン・テレヘン(青春アドベンチャー)

親愛なる動物さんたちへ。きみたちみんなを招待いたします。いや、みんなは無理かな。やってくる動物によっては、僕の部屋も僕もめちゃくちゃになってしまうかも。もう少し考えないといけないな。だから、招待状を送るのはやめておこう。
格付:B

タイガーにしなさい! 作:藤井青銅(青春アドベンチャー)

「銀河系のお荷物」あるいは「太陽系の暴れん坊」と呼ばれるこの星。わたしは、銀河連邦の監視員として、この「地球人」というやっかいな連中を1年間監視してきた。今日はその最終日。地球人に見つからないように虎(寅)に化けた後任の監視員がやってきたようだ。彼も気の毒に。これからの引継ぎで「この1年にこの国で起こった出来事」を聞いたら、あまりの成長のなさに監視員を引きうけたことを後悔してしまうかもしれない…この星はいつになったら銀河連邦に加盟できるくらい成熟してくれるのだろうか。
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