格付:B

格付:B

ステップを聴かせて 作:虎本剛(FMシアター)

「進藤聡太に走る資格なんてない!」日本中から浴びせかけられたそんな罵声を、自分は甘んじて受けるしかなかった。なぜなら自分自身がそう思っていたから。だから「もう二度と走らへん」と決めた…ハズだった。しかし、若くもなく何の取り柄もない自分にまともな職があるわけがない。だから走ることを仕事にするしかなかった。そう、あくまで仕事だ。しかも気の乗らない仕事…
格付:B

高倉酒店で会いましょう 作:葉月けめこ(FMシアター)

「角打ち」(かくうち)とは、北九州地域で見られる簡易な酒場で、酒店の一角に立ち飲みができるスペースをつくり酒店で販売している酒を酔客に供する店のことをいう。ここ北九州・小倉の角打ち「高倉酒店」は、地元の老人が日中から酒を飲みに集まる老人のパラダイスだ。今日も今日とて、老人たちが愚痴を言ったり叱ったり叱られたりしながら楽しく酒を飲んでいる。そんなある日、この高倉酒店に目が覚めるような美女が現れた。すらっとした背丈の彼女はメーテル似のまさに銀河系美女。当然、常連の老人たちは色めき立ったのだが、最近、近所では老人が若い女に美顔器を売りつけられる詐欺があったばかり。大丈夫なのか?
格付:B

河童の記憶 作:東憲司(青春アドベンチャー)

倉野香苗が河童に出会ったのは小学6年の夏休み。父の故郷である山間の小さな田舎町に引っ越してきてすぐのことだ。河童の名前はサーチャ。サーチャは正確には河童ではなく、人間の子供の魂を基に作られた「河童もどき」。サーチャがいうには、河童世界の奴隷である「河童もどき」は河童の中では最下層の存在だが、位の高い河童ともなると時を遡る神通力が使えるらしい。実は香苗はある理由から昔から河童に会いたいと思ってきた。河童の力で過去を遡り、香苗のために鉄道事故で帰らぬ人となった父を救いに行きたいと思い続けてきたのだ。
格付:B

辰のお年頃 作:藤井青銅(青春アドベンチャー)

太陽系第三惑星、地球。文明が荒っぽいことで有名なこの星を監視するため、銀河連邦は密かに監視員を派遣している。文明が成熟し、晴れて銀河連邦入りを認められるその日まで、われわれは交代でこの星を監視し続けるのだ。さて、今年も監視員の交代の時期が来た。ウサギの姿で寡黙に地球を見守ってきた私シブヤ・コトノから、竜の姿でまたしても寡黙にこの星を見つめ続けるであろうヌクミズ・ヨウイチへの引き継ぎ。相も変わらぬ政治経済状況が続いていることをすでに知っている「辰」ヌクミズは引き継ぎを適当に済ませようとしているようだが、こういうことはやはりきちんとしなければならない。この星の未来がかかっているのだから。
格付:B

無印OL物語 原作:群ようこ(サウンド夢工房)

小説家・エッセイストの群ようこさんによる処女小説「無印OL物語」をラジオドラマ化した作品で、青春アドベンチャーの前番組である「サウンド夢工房」(1990年4月~1992年3月)で放送されました。群ようこさんといえば、バブル期からバブル崩壊後10年程度の間、若い女性に絶大な人気を博した方です。若い女性の「本音」を軽妙な文体に乗せ、エッセイに、小説に大活躍されました。ちなみに群さんがエッセイストとしてデビューしたのが1980年代前半、初の単行本は1984年の「午前零時の玄米パン」。そして小説家としてのデビュー作が本作品の原作である「無印OL物語」(1989年)と、その軌跡はまさにバブルの隆盛と軌を一にしています。
格付:B

日本のヤバい女の子 原作:はらだ有彩(青春アドベンチャー)

私は平成生まれ。女だからこうしなさいと親に言われたことはなかったし、女だから損をしたと思うこともなかった。だから、就職してみて初めて気がついた。この国の女性に押しつけられている「女子」という役割に。だから、どうしても知りたくなった。現代でさえこんなに生きづらいのに、昔の女の子はどうしていたのかということを。だから、会いに行くことにした。昔話に登場するあの女の子たちに。
格付:B

夜のストーリーボックス 作:葉月けめこ他(青春アドベンチャー)

本作品「夜のストーリーボックス」はNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」で放送された脚本家競作によるオムニバスラジオドラマ作品です。「青春アドベンチャー」という番組は、毎週月曜日から金曜日の夜9時15分から30分までの15分間に放送されている帯ドラマの番組で、通常、2週間(10回)を1クールとして続き物の作品を放送しています。ただ、時々、1回15分で完結する短編作品集を放送することもあり、本作品はそのひとつです。
格付:B

赤糸で縫いとじられた物語 パート2 原作:寺山修司(カフェテラスのふたり)

詩人で劇作家でもあった寺山修司さんによるファンタジー作品「赤糸で縫いとじられた物語」を原作としたラジオドラマの第2弾が、この「赤糸で縫いとじられた物語 パート2」です。この「パート2」は前年に前番組の「ふたりの部屋」で放送された第1弾「赤糸で縫いとじられた物語」とほぼ同じスタッフ、キャストで制作され、1話完結の短編×5作品という構成も同じです。
格付:B

夢みるゴシック それは怪奇なセレナーデ 原作:木原敏江(青春アドベンチャー)

19世紀初頭の英国。貴族の生まれながら孤児院の育ちで社交界に馴染めない少女ポーリーンは、唯一の貴族の親友グレイスを突然失った。なぜ、最愛の恋人との幸せの日々を語っていたグレイスが急死したのか。不信の念を抱いたポーリーンの前に現れたのは2人の青年貴族。ひとりは当代きっての人気詩人であるが同時に奔放な女性関係でも知られるバイロン卿。もうひとりは謎めいた美形の青年トレミー伯爵だった。
格付:B

静かな生活 作:今井雅子(FMシアター)

ようやく手に入れた静かな生活。新しく引っ越してきたマンションは、1階の保育園から園児の声が聞こるものの、ヘッドホンをして翻訳の仕事に集中していれば全く気にならない。少なくとも以前、勤めていた会社に比べればノーストレスと言っていい。入居早々、管理組合の理事長を引き受けざるをえなかったのは誤算だったけど、マンションの住人はいい人ばかりなので問題ない…はず。問題ない?いや、実際は問題、大アリだ。それというのも、隣室の駒元(こまもと)なるおばあさんが「保育園の音がうるさい」、「保育園を追い出せ」、「理事長は住民の静かな生活を守る義務がある」などと大騒ぎを始めたのだ。「駒元さん、あんたが一番うるさいよ!」などと言えたらどんなにいいだろう。そんなこと、気の小さい自分に言えるわけがない。ああ、考えただけで、胸が苦しくなってきた…
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