- 作品 : 輪廻転Payうた絵巻
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : 幻想(日本/ライト)
- 初出 : 2021年1月4日~1月15日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : まきりか
- 音楽 : まきりか
- 演出 : 藤井靖
- 主演 : 昆夏美
篠原七海@東央大学
政経学部3年。今年の学長賞受賞者、SNSのフォロワー数60万人。
時代の先を行く経営者の話を聞くことが好き。常に目標に向かっている人が好き。フィンテックの寵児・別所ユウヤに会ってみたい。生産性の低いことには興味がありません。企業の意思決定に関わる重要な仕事がしたくて色々な企業のインターンに参加しています。何から何まで完璧な人生の勝ち組、女医の姉に憧れています。最近「輪廻転Pay」というスマホアプリを始めました。
#意識高い人と繋がりたい #焼肉は西麻布が最高 #体にいいこと続けています
ミュージカル作家「まきりか」さん脚本・音楽によるミュージカル風ラジオドラマ「うた絵巻」シリーズの第2弾(?)がこの「輪廻転Payうた絵巻」です。
ちなみに作品名は「りんねてんぺい・うたえまき」と読みます。
さて、先ほど「シリーズ」と書いたのはちょうど1年前の2020年1月に放送された「時めがね金沢うた絵巻」とタイトルが対になっているからです。
さらに言うと、制作したNHK-FM的には2019年1月に特集オーディオドラマ枠で放送された「サウンドミュージカル・雪色オルゴール」から続く「まきりか」さんミュージカルの第3弾的な扱いのようです。
ちなみに本作品の主演はミュージカル「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役などで有名なミュージカル女優の昆夏美さんですが、昆さんは「雪色オルゴール」の主演でもあります。
意識高い系女子大生の自分探し
さて、本作品は一見、意識高い系だけど実は自己評価が極端に低い女子大生・七海(ななみ)が、不思議なアプリ「輪廻転Pay」のプレゼンターである自称「天使」のター(たー)に連れられて過去生(いわゆる前世)を旅するお話しです。
宿縁が絡み合った別所ユウヤなどとの時空を超えた冒険を通じて自己を見つめなおすという成長物語です。
「天使が現れて…」という作品はNHK-FMのラジオドラマでも過去多く制作されており、典型的なものとしては森絵都さん原作の「カラフル」(1999年初出)でしょうか。
その他にも「夢みるように愛したい」(サウンド夢工房時代の1990年初出)とか、(プレゼンターが天使じゃないけど)「びりっかすの神さま」(2014年初出)など良作も多いジャンルなのですが、本作品は現代日本に天使が現れるだけではなく、時空を飛び越えた旅をすることが特徴です。
あれ?
…?
時空を超えた旅…?
自己を見つめなおす…?
あれ?最近聞いたような…
あっ!本作品の直前に再放送された「クリスマス・キャロル」じゃないですか!
そうかこの既視感は「クリスマス・キャロル」のせいだったのか。
本作品は「歌」があまりに強烈であるため気が付きづらいのですが、一番似ている作品は実は「クリスマス・キャロル」なのかも知れませんね。
それにしても年末と年始にこの2作品を並べたのは制作側に何か意図があったのでしょうか?
ミュージカルラジオドラマ
さて「歌」といえば、本作品、やはり歌に言及せざるを得ないでしょう。
本作品とセットになった「時めがね金沢うた絵巻」の他にも、「走れ歌鉄!」や「マドモアゼル・モーツァルト」のようにミュージカルっぽい作品は過去にもありました。
しかし本作品ほど歌割合が高く、歌とストレートプレイがシームレスにつながるラジオドラマは青春アドベンチャーでは数少ないのではないでしょうか。
過去に遡れば単発のドラマで「人魚の森」や「冬の旅人」のような歌のボリュームが大きい作品もあるにはあるのですが、最近に限ればやはりレアです。
歌える出演者がずらり
もちろん出演者も、前年の「時めがね」から引き続き参加の内藤大希さん(別所ユウヤ役)や、「レ・ミゼラブル」で複数の大役を務めている原田優一さん(ター役)、元宝塚トップスターの音月桂さんなど「歌える俳優」を揃えています。
その筋が好きな方にはたまらない配役なのでしょう。
個人的には原田さんのノリノリの演技が「カラフル」の天使プラプラ(演じたのは石川五ェ門で有名な井上真樹夫さんでしたね)に勝るとも劣らない強い印象を残しました。
ちなみに原田優一さん、青春アドベンチャー初出演かと思っていたのですが、資料を確認したところ1993年の「ブルボンの封印」の出演者にお名前を発見!
当時10歳のはずですが、小学校3年生時に劇団若草に入団し、名子役としてならしていたという経歴もお持ちですので、恐らく同一人物だと思います。
スピリチュアルな説教をされても…
最後に個人的な感想になるのですが、中盤以降のスピリチュアルな展開が正直ちょっと受け付けませんでした。
スピリチュアルな展開であることを理由にファンタジー作品にケチをつけるのは無粋とは思うのですが、いかにコロナ禍で気疲れする世の中であろうとも、私自身は正直そこまでラジオドラマに癒しを求めていません。
頑張らないことを推奨する作品テーマは「びりっかすの神さま」とは対照的であまり素直に楽しめませんでしたし、そもそも「輪廻転Pay」の仕組みもよくわかりませんでした(Payを使うたびに死に近づくなら使わない方が良い?)
本作品ファンの方々、否定的なことを書いてスミマセン。
ただ、歌への入り方、歌から劇への戻り方など、さすがひとりの方が脚本と音楽を兼ねているだけはあります。
この水準で、できればもう少し大人っぽいテーマの作品をお願いできないものだろうかと思っちゃいました。
コメント