- 作品 : 考古学的考察による1991年
- 番組 : サウンド夢工房
- 格付 : B
- 分類 : コント
- 初出 : 1991年12月16日~12月20日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 香西久
- 主演 : 山口良一、天地総子
こちら30世紀の3Dラジオステーション。
20世紀の皆さん、聞こえますか。
現在、時空変換システムを使って、30世紀から1000年過去の1991年に向かって電波を発信しています。
1991年には何があったのか、その情報の大部分が30世紀ではすでに失われていますが、発掘された「かせつとてえぷ」を分析した最新の考古学の成果を電波に乗せて発信します。
20世紀の古代日本人の皆さん、聞こえますか。
我々の研究結果は正しかったのでしょうか。
1992年から四半世紀の長きにわたり続いているラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」ですが、その中でも17年間も継続された人気シリーズが「年忘れ青春アドベンチャー・干支シリーズ」でした。
このシリーズは、銀河連邦派遣の監視員が次の監視員に引き継ぎを行うという体裁を取って、その年の出来事をコントにしたてる作品であり、スタートしたのは青春アドベンチャー自体がスタートした翌年の1993年でした。
干支シリーズの源流
しかし、この「年末に1年の出来事をコント仕立てで振り返る」というコンセプトの作品は、干支シリーズ開始の2年前、前番組である「サウンド夢工房」の時代に始まっており、それがこの「考古学的考察による1991年」です。
いわば「干支シリーズ」のご先祖様、実質的な第1作と言っても良いと思います。
1000年後の考古学者
本作時点ではまだ「銀河連邦から派遣されている監視員」という設定はなく、その代わり1000年後の考古学者とその助手が歴史を振り返るというコンセプトで制作されています。
ただ、現代から30世紀に至るどこかで「あの事件」と称される事件(詳細は語られない)があったため、20世紀の情報は断片的にしか伝わっていないという設定です。
そのため、歴史の空白がとんでもない誤解(バブルの崩壊→バブルガムブラザーズの解散、大統領は資本主義の制度→ゴルバチョフ大頭領のいるソ連は資本主義国、などなど)で埋められていくことになり、後年の「干支シリーズ」ほど社会風刺的ではなく、コメディ色がより濃い作品になっています。
サンバイマンネタ
コメディ色と言えば、本作品の出演者は、同年4月に放送された青春アドベンチャー系の番組でも屈指のコメディ作品「愛と青春のサンバイマン」と同じ、山口良一さん、天地総子さん、三田松五郎さんのトリオ。
本作中でサンバイマンネタも取り上げられる、というか、サンバイマンの再現シーンが挟まり、サンバイマン好きには必聴の作品になっています。
各回の概要
さて、各回で取り上げられた内容を一覧にすると以下のとおりです。
実際、四半世紀も昔の内容ではあるのですが、経過した時間以上に「歴史的」と感じられる内容が多く、この時期が時代の大きな転換点だったことが分かります。
第1回:バブル経済の崩壊、ソ連経済の崩壊
「ソ連横断ウルトラクイズ」って全く楽しくなさそうですね。
サンバイマンがでてくるのはこの回です。
第2回:若貴と武豊、カラオケボックス、ラブストーリーは突然に
中国のオーケストラ「女子十二楽坊」が大ヒットするのはこの12年後のこと。
この回では天地さんが「ラブストーリーは突然に」の替え歌が炸裂。
第3回:宮沢新政権と宮沢りえのヘアヌード、証券不祥事、渋カジ
「Santa Fe(サンタフェ)」とか「チチョリーナ」とか随分懐かしいライトエロな話題です。
それにしても宮沢政権とサンタフェは同じ年だったんですね。
第4回: 世紀末ブーム、ティラミス、替え玉受験
この回も天地さんのモーツァルトに乗せた長い替え歌あり。
脚本家の藤井青銅さんは「笑う20世紀part2」の「南関東大地震」でも大学の商業主義を取り上げていますが、今では当たり前のことになってしまっており、さほど笑えません。
第5回:トレンディドラマ、ハイビジョン、セクハラ
「ハイビジョン」=「配備ジョン」→「犬のジョンのための放送」はさすがに苦しい!
この回では国力を表すために「GNP」が使われていますが、2年後の1993年から代表的指標としては「GDP」が使われるようになりました。
【年忘れ青春アドベンチャー・干支シリーズの一覧】
干支一巡を大きく上回る17年間も続いた、青春アドベンチャーの年末の風物詩「干支シリーズ」の一覧はこちらです。
【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。
コメント
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突然のコメント、失礼いたします。
今でもこの曲が聞こえると、替え歌の方で歌ってしまいます。
「愛と青春のサンパイマン」は、この放送の時には聞いていなくて、後に聞くことが出来た時には感激しました。
「考古学考察による1991年」と「試験によくでるモーツァルト」は、カセツトテープ(ここ大事)に録音して、今ではCDに焼いて保存しています。
今放送している「00-03 都より愛をこめて」で、久々の藤井作品に触れて、何だか懐かしく、嬉しくなってしまいました。
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BMV1000番さま
コメントありがとうございます。
「愛と青春のサンバイマン」は藤井青銅さんの作品の一つの頂点ですよね。
あれは特別としても、今でもくっだらない(←褒めています)作品を作り続けていただいていることがとても嬉しいです。