- 作品 : ねずみのチュー告
- 番組 : 青春アドベンチャー(特集・年忘れ青春アドベンチャー)
- 格付 : C+
- 分類 : コント
- 初出 : 1995年12月11日~12月15日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 千葉守、松浦禎久
- 主演 : 伊藤留奈、今村ねずみ
「亥」(いのしし)から「卯」(ねずみ)へ、今年も監視員を引継ぐ季節がやってきた。
銀河連邦が、地球という、この厄介な星をこっそり監視するために送り込んでいるのが「監視員」。
人間の目を欺くために、銀河連邦は監視員を動物の姿に化けさせており、それを薄々感づいた人間が干支という制度を作ったというのが歴史の真実だ。
そして、銀河連邦が人間に怪しまれずに引継ぎをさせるために、引継ぎ式の代わりにつくったのがこのリレー番組「特集・年忘れ青春アドベンチャー」なのだ。
青春アドベンチャーの年末に17年間にもわたって恒例で放送されてきたリレー形式のコント作品。
それが「年忘れ青春アドベンチャー」、通称「干支シリーズ」です(実は2006年の「イノシシボンバイエ!」のみ別枠)。
恒例どおりの干支シリーズ
基本的な設定は冒頭の紹介のとおりで、その年の干支の「監視員」が後任の監視員に、地球(といっても内容はほとんど日本国内の話)の世情をコント形式で引き継ぐというものです。
この1995年も恒例どおり、前年の「イノシシが来た」に出演された女優の伊藤留奈さんと、翌年の「モー!いいかげんにして!」にも出演されることになる今村ねずみさん(ともに各干支の年女・年男)が出演されました。
このおふたりが全体の進行をしつつ、コント内でも主役的な立場で登場することになりますが、その他にもコント内には多くの役者さんが出演しており、中には山西惇さんなども含まれています。
切り口は独特
さて、この1995年の「ねずみのチュー告」の各回で取り上げられたネタは以下のとおりです。
例年ですと、「政治経済」とか「スポーツ」とかわかりやすい切り口で各回がまとめられているのですが、この年は少し独特な切り口で各回のテーマが設定されていました。
第1回:お騒がせの1995
「木津信金等の破綻」「官官接待」「携帯電話が大流行」
木津信用組合、コスモ信用組合、東京協和信用組合、安全信用組合、兵庫銀行。
バブル崩壊後の最初の金融機関再編騒動でした。
官官接待のネタはバレバレだけど面白い。
12年前のヒット曲は、杏里の「CAT’S EYE」。
第2回:がんばれ1995
「野茂がメジャーで大活躍」「女子大生就職氷河期」「青島都知事・横山府知事」
日本人メジャーリーガーの道を切り開いた野茂英雄選手。
鮮烈だったなあ。
ラソーダ監督も一躍有名人になりました。
また、男女雇用機会均等法の大改正により採用で男女差を付けることが禁止されたのは本作品の4年後の1999年でした。
12年前のヒット曲は、わらべの「メダカの兄妹」。
第3回:我も我もの1995
「パソコン大ヒット」「カーナビ普及」「コギャル出現」
マイクロソフトのウィンドウズ95によりついにパソコンは一般家庭への普及を始めました。
コギャルという言葉が使われだしたのも1990年代半ばから。
90年代前半の安室奈美恵さんの人気が出発点でした。
エンディング曲は、原田知世さんの「時をかける少女」。
第4回:ハラハラの1995
「フランスの地下核実験」「函館のハイジャック事件」「日本一短い『母』への手紙」
6月12日に起こった全日空857便ハイジャック事件。
すっかり忘れていました。
当時はオウム真理教絡みで随分と騒がれました(結局、無関係)。
12年前の曲は、ラッツ&スターのデビュー曲「め組のひと」。
第5回:どうなるの1996
「ラップブーム」「円高」
スチャダラパー・小沢健二の「今夜はブギーバック」が50万枚以上売り上げたのが1994年。
EAST END×YURIが「DAYONE」、「MAICCA」のヒットで紅白歌合戦に出場。
そのあまりの内容のなさに全国民の度肝を抜いたのが1995年でした。
また、1995年4月に1ドル=79.75円という1947年以来の円高となりました。
これは2011年3月に破られるまで、記録でした。
12年前のヒット曲は、アイリーン・キャラ「フラッシュダンスのテーマ」。
ネタ選びに忖度?
個人的な感想ですが、全般的に何となく例年よりキレが悪いように感じました。
考えてみると、この1995年の最大の事件といえば、どう考えても「阪神淡路大震災」と「地下鉄サリン事件」であることは明らかです。
なのに、この作品ではほとんど(わずかに第2回に「阪神大震災の被害者」という表現が出てくる)触れられていません。
確かにいずれの事件も茶化すには深刻過ぎる、さらに「地下鉄サリン事件」はまだ捜査が進捗中の状況でしたので、軽々しく取り扱うことができなかったのだと思います。
本作品の放送にあたって、スタッフの間でどのような判断があったのかはわかりませんが、何となく感じる物足りなさはその辺に由来しているのかもしれません。
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