遊佐未森のひなたVOX (サウンド夢工房)

格付:C
  • 作品 : 遊佐未森のひなたVOX
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : C+
  • 分類 : エッセイ
  • 初出 : 1992年2月17日~2月21日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 遊佐未森
  • 脚色 : 遊佐未森
  • 演出 : 川口泰典、佐藤譲
  • 主演 : 遊佐未森

サウンド夢工房」で放送された、この「遊佐未森のひなたVOX」は、シンガーソングライター遊佐未森さんのエッセイ、おしゃべり、歌で構成された作品でした。
遊佐さんの言葉を借りるならば、日々、遊佐さんが感じている様々なことを「ひなたぼっこをするつもりで聞いてもらいたい作品」とのことです。


ラジオドラマというよりエッセイ風

「サウンド夢工房」は、ラジオドラマ主体の番組ではありましたが、前身番組の「アドベンチャーロード」や、後継番組の「青春アドベンチャー」のようにラジオドラマ専門の番組ではありませんでした。
そのため、エッセイ風の作品も数多く制作され、「谷村有美の雨のち、夕焼け」も本作品と同様に歌手本人が、まるで自分の冠番組のパーソナリティのように自らのエッセイを読んだり、歌を紹介するような作品でした。
私は聞いたことがないのですが、同じ川口泰典さんが演出した「斉藤由貴の愛の詩集」や「平松愛理のとっておきの15分」、「関口誠人の今夜のみみたぶ」あたりも同様の作品だと思います。

原作書籍と三重エフエム版

なお、この「遊佐未森のひなたVOX」には原作と目される書籍があります。
1991年に音楽之友社から発売された「ひなたVOX」です。
この本は週刊FMに掲載された記事をベースに撮り下ろし写真やロングインタビューを加えたものだそうです。
このエッセイ作品をラジオ化したのが本作品だと思うのですが、実は「ひなたVOX」は、NHK-FMでラジオ化される前に1988年に三重エフエム放送でもラジオになっているようです。
早い物好きのNHK-FMスタッフですので、同じ作品を後追いでラジオ化するのはなかなか珍しいことだと思います。

もっと自然でよかったのでは?

さて、本作品は上記で説明したように、遊佐さんがあたかもラジオのパーソナリティのように話す作品なのですが、自作のエッセイを著者自らが読むという面では、一種の朗読作品でもあり遊佐さんのしゃべりも演技的な側面があります。
しかし、残念ながら、演技としてみた場合、遊佐さんのトーク?はあまり上手とは思えませんでした。
この辺、シンガーソングライターとは思えないほどラジオドラマの演技が上手い(おしまいの日など)谷山浩子さんなみのクオリティを求めるのは、基本的に無理があるように感じられ、むしろ台本で縛らず、もっと自然に、自由に話して頂いた方が良かったのではないかと感じます。
まあ、それではまるっきり普通のトーク番組になってしまうのですけど。

各回の概要

さて、本作品で遊佐さんが選んだテーマは以下のとおりです。
これらのエッセイ・フリートークに、「Echo of Hope」を始めとする遊佐さんの楽曲が挟まる構成になっています。

お題 内容 楽曲
1 夜の少年、イタリアからの手紙 地図をください、Echo of Hope
2 食べ物 大好きなお総菜屋さん、スコーン いつの日も、午前10時午後3時
3 お休み アーリーモーニングティー、かたつむり、長靴 Forest Notes、だいじょうぶ
4 映画 ブロッコリーをゆでる、読書する女、バロン シリウス、真夜中のキリン
5 シャガールブルー、ドビュッシー 君のてのひらから、空

ラジオドラマぽくなりかけたが…

サウンド夢工房は、谷山浩子さん原作の「悲しみの時計少女」や「電報配達人がやってくる」といった、シンガーソングライター原作の歴としたラジオドラマも放送しています。
遊佐さんも谷山さん同様、ファンタジックな癒やしの音楽で有名な方ですので、特に第1話を聞いていると、この作品も単なるエッセイに止まらず、ファンタジックな展開となりラジオドラマ色が強くなるのかとも思いました。
しかし、結局は日常生活の話が中心で、やはり限りなくエッセイでした。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。
それにしても、本作品における川口泰典さんと佐藤譲さんのコンビって珍しいですね。
ちなみに、佐藤譲さんは後の青春アドベンチャー時代に名古屋局で難解で沈鬱な作品をたくさん演出することになります。

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