- 作品 : 続・カムイ外伝
- 番組 : ダミーヘッド・アドベンチャー・スペシャル
- 格付 : A
- 分類 : 伝奇(日本)
- 初出 : 1995年8月18日
- 回数 : 全1回(110分)
- 原作 : 白土三平
- 脚色 : 吉田玲子
- 演出 : 川口泰典・芦田健
- 主演 : 古澤徹
抜忍 心得の条
我が命 我がものと信ず
忍びの儀 あくまで陰にて
己の器量伏し
定命 如何にても守るべし
なお、死して屍拾う者なし 死して屍拾う者なし
(黒沢良さんによる「大江戸捜査網」のナレーション風に再生してください)
(※)本作品はNHK-FMのラジオドラマでは数少ないCD化された作品であり、上記右側のバナーは当該商品へのリンクです。
白土三平さんの名作漫画「カムイ外伝」。
NHK-FMによる、そのラジオドラマ版の第2弾が、この「続・カムイ外伝」です。
原作漫画の連載とこのラジオドラマの間には約30年のタイムラグがあります。
この辺は、同じ年の1月に放送された第1弾「カムイ外伝」の記事をご参照頂きたいのですが、やはりダミーヘッド(※)に拘った、演出の川口泰典さんの意向が大きい作品チョイスだったといえると思います。
この辺の詳細は「今日は一日ラジオドラマ三昧」の記事もご参照下さい。
※ここでは「バイノーラル録音」のことで、人間の頭部の音響効果を再現して鼓膜に届く状態で音を記録する技術
前作を聴いていなくてもOK
さて、上記のとおり本作品には前作があり、時系列的なつながりも一応あるのですが、何分、主人公が流浪の抜忍(ぬけにん=掟を裏切って組織を脱走した忍者)カムイなので、共通する登場人物はカムイだけ(演者は古澤徹さんで変更なし)。
よって、前作を聴いていなくても全く問題のないストーリーです。
舞台は明暦の大火以降の江戸。
火事からの復興で仕事が多く賑わっている人足寄場は、追っ手から身を隠しながら生きていかなければならないカムイにとっては絶好の環境。
とはいえ、作中で意外と出世して「口入れ屋」(いわゆる人材派遣業)の身代を嗣いでしまったり、割と自由にやっていたりもします。
追手は追ってこない
そう、自由といえば、本作品は前作と違って、終盤を除き、裏切り者・カムイを処刑するための追っ手がほとんど現れないことも大きな特徴です。
もちろん様々な刺客が登場し、忍者ならでは体術を使って切り抜けるシーンが続くのですが、本作品ではカムイが戦わなければいけなくなる理由が必ずしも抜忍だからではないのです。
それに併せて、各巻ごとに「ゲスト主人公」ともいえるキャラクターが設置されており、そもそもカムイだけが主人公とも言い切れない構成になっています。
各回のゲスト主人公
各部のゲスト主人公は、漁師上がりの人足や食い詰めた下級武士など。
そしてストーリー展開は、第一部・上の巻は一種の復讐譚、下の巻と第二部は人情物。
特に後者は「仕掛人」が登場する「必殺シリーズ」的内容で、前作と比較すると、より一般的な時代劇風の作品になっています。
また、舞台が江戸であることも「時代劇感」に寄与していると思います。
なお、全体の構成は以下のとおりとなっています。
第一部・上の巻「遠州」:ゲスト主人公・遠州(演:海津義孝さん)
第一部・下の巻「仕掛け崩れ」:ゲスト主人公・橘左近(演:吉田鋼太郎さん)
第二部「飛天の酉蔵」:ゲスト主人公・酉蔵(演:幸和希さん)
いつもの川口組
さて、本作品の主な出演者はすでに記載したところですが、その他、松重豊さん、武岡淳一さん、山西惇さんといった川口義典さん演出作品ではおなじみの方々が出演されています。
また、ナレーションのこだま愛さんのほか、千紘あいさん、舵一星さんなどの宝塚歌劇団出身の女優さんが出演されているのもいつもどおり。
個人的には舵さんと幸さんの声の聞き分けがなかなか難しいように感じました。
【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。
■約260年に及ぶ江戸時代。
当ブログで紹介した江戸時代を舞台にした作品が、細かく見るとどの時代設定を背景としているのか?
この作品とこの作品はどちらが先?
実は同時期を描いている意外な作品とは?
詳しくはこちらをご覧ください。
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