- 作品 : ナンバー・ライフ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B-
- 分類 : 多ジャンル(競作)
- 初出 : 2007年11月12日~11月23日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : (下表参照)
- 演出 : 江澤俊彦
- 主演 : 大路恵美、内田健介
「不思議屋シリーズ」と並ぶ青春アドベンチャーの代表的な短編シリーズ「ライフシリーズ」。
毎回、作品名である「○○ライフ」の○○の部分が統一したテーマとなり、短編が10話制作されるシリーズです。
本作品「ナンバー・ライフ」はその4番目の作品です。
ライフ連続
第1作の「インテリア・ライフ」が2002年、第5作の「カラー・ライフ」が2012年の放送ですので、ライフシリーズはほぼ2年に一度程度の間隔で制作されていることになります。(追記参照)
ただし、ライフシリーズでは珍しいことに、本作品と3番目の作品である「ボディ・ライフ」は連続して放送されました。
ちなみにこの2作品の放送のさらに前に、第1作「インテリア・ライフ」と第2作「アクア・ライフ」が再放送されており、この時は4作品連続ライフシリーズという恐ろしい放送がなされたことになります。
不思議屋との違い
ライフシリーズの特徴は、比較的定評のある脚本家が脚本を書いていることであり、新人に近い若手に脚本を書かせる「不思議屋」シリーズと異なっています。
本作品で脚本を書いている10人の脚本家の中でも、樋口美友喜さん(現ペンネームは樋口ミユさん、僕たちの宇宙船)とオカモト國ヒコさん(泥の子と狭い家の物語)は、ともに2013年にオリジナル脚本の作品を担当することになります。
テーマは数字
さて、本作品のテーマは作品名どおり“数字(ナンバー)”。
全ての作品のタイトルに数字が入っています。
それも0から9までダブることなく、ひとつずつという離れ業を達成しています。
制作スタッフなかなかやりますね。
その他、各話の作者、ジャンル、格付け、概要及び一言は以下のとおりです。
◆第1話 「九番目の星鳴く猫」 (サカイヒロト)
格付 : B-
閉鎖されたプラネタリウムで出会った男女が、街を舞台にスプレーアートをする。
特に盛り上がる話ではないが、視聴後感は悪くない。
◆第2話 「この勝負、五分と五分」 (久保原茂)
格付 : B-
藩の勢力争いに巻き込まれた若侍が、兄との勝負に挑む。
起こった事実はわかるのが作者が何を伝えたいのか分からない。そして後味が悪い。
◆第3話 「八本の骨」 (小野田俊樹)
格付 : C
祖母の葬式で、捨てられた息子と捨てた母親が再会する。
母親の居直りと曲解に唖然・呆然。また、息子が物わかりが良すぎて不可解。
◆第4話 「自分勝手な四字熟語たち」 (棚瀬美幸)
格付 : B-
いじめを巡り、母親、教師、教頭などがやり合うコメディ。棚瀬さんもご出演。
タイトルに反するが、教師(杓子定規)は特に身勝手なことは言っていないと思う。
◆第5話 「二つの結婚」 (藤江洋一)
格付 : AA-
娘の結婚、母の再婚。住む人のいなくなった家は売りに出されるのだが...
コテコテだけど、いい話だな~ というか、我ながら父と娘の話は弱いなあ。
◆第6話 「七日間」 (樋口美友喜(現:樋口ミユ))
格付 : C+
季節外れに成虫になってしまった蝉男との7日間。
よく分からない話。一瞬一瞬が大事という話か?あるいは単なる不思議な話か?
◆第7話 「ゼロとの日々」 (横山玲子)
格付 : C+
ギスギスする嫁と姑の間に子犬がやってきた。
まさに「犬は鎹(かすがい)」。それにしても、この姑、悪気はなくてもかなりうざい。
◆第8話 「一本のロープ」 (オカモト國ヒコ)
格付 : C+
一本のロープにぶら下がることになった上司とOL。ふたりの運命や如何に。
ドタバタコメディ。出演者は熱演しているが笑えるかは微妙なところ。
◆第9話 「真実は三択にあり」 (田中浩司)
格付 : A-
一家4人で出演したクイズ番組。和気藹々とした雰囲気だったが途中で変化していく。
出来はそこそこだが、青春アドベンチャーでは数少ない、少しだけ不気味な要素を評価。
◆第10話 「すごろく人生」 (芳崎洋子)
格付 : C+
文学賞の佳作に入選した小説家の卵のもとに、読み切り短編の依頼が来た。
実際に小説を書き上げていく様子とそれを双六に例えたイメージを交互に挟む構成。
ちょっと反省
第10回の「すごろく人生」を聴きながら、「短編でも作るのは大変なんだろうなあ、勝手に格付け“C”なんてつけて申し訳ないなあ」と反省しました。
でも、あくまで趣味と勢いで格付けしないとこのブログは成立しないので、その辺はご容赦頂きたいところです。
リスナー⇒キャスト
出演者についてですがライフシリーズの他の作品と同様、大路恵美さんと内田健介さんが各話に共通して出演されています。
青春アドベンチャーでは「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズで有名な内田さんですが、NHK-FM公式ホームページの本作品の紹介ページに掲載されている内田さんのコメントを読んでびっくりしました。
それによれば「僕も中高生の頃、青春アドベンチャーを毎晩のように聴いていました。」とのこと。
内田さんご自身も昔は本番組のリスナーであったわけです。
好循環
2013年に放送された作品の中では「世界の終わりの魔法使い」の原作者である西島大介さんや、「リテイク・シックスティーン」の原作者である豊島ミホさんが、ご自身が作家になる前に青春アドベンチャーのリスナーであったことを表明しています。
青春アドベンチャー自体、1992年から続く長寿番組です(前身番組から考えると更にずっと古い-詳細はこちら)。
出演者についても原作者についても元々リスナーであった方々が、制作側にまわるようになっておいてもおかしくない時間が経過しているわけですが、実際にそのような循環が生じていることに驚きます。
脇役陣について
さて、本作品のうち第1話と第8話は大路さんと内田さんのお二方だけで演じますが、その他の話は数名のゲスト出演者が出演されており、冷泉公裕さんや二木てるみさんなど複数話に出演されている方もいらっしゃいます。
特に第9話は、大路さんと内田さんは脇役で、むしろ田山涼成さんと二木てるみさんが主役の扱いです。
田山さんといえば、初期の青春アドベンチャー(「北壁の死闘」、「サンタクロースが歌ってくれた」など)に頻繁に出演されていた方でした。
久しぶりにご出演されているのを拝聴して大変嬉しいです。
【ライフシリーズ作品一覧】
NHK大阪局主導のオリジナル脚本の短編作品集シリーズ、ライフシリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。
※2015/5/22追記
3年のぶりの新作「フラワー・ライフ」が放送されることが発表されました。
コメント