【「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」の放送内容紹介】第一部・前半
○当記事紹介分:2019年3月3日午後1時0分~午後4時15分
「今日は一日○○三昧」とは?
NHK-FMの「今日は一日○○三昧」は、ある特定のジャンルの音楽を一日中(10時間程度)放送し続けるという奇天烈な番組で、平均すると1カ月に1度程度放送されています。
この「三昧」、多少トークが長めの回もあるとは言え、基本的に音楽番組なのですが、「今日は一日“ネコ”三昧」(2006年)のように、ごく僅かですが、そもそも音楽番組として成立していない回が放送されることもあります。
「“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」とは?
ラジオドラマに関しては、過去一度だけ、2015年9月に「今日は一日“ラジオドラマ”三昧」が放送されたことがありました。
そして、この2019年3月、NHK-FMの本放送50周年にあたり記念番組として3日間連続で「三昧」が放送されるにあたり、最終日の「三昧」が3年半ぶりにラジオドラマ(オーディオドラマ)にあてられました。
それがこの「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」です。
前回2015年のラジオドラマ三昧では、一応、「ラジオドラマに関連する曲のリクエストを受け付ける」という体で、一応、音楽番組っぽさを装っていたのですが、今回は潔くそれもなし。
完全にラジオドラマ(オーディオドラマ)のためだけの約10時間となりました。
この記事はその記録を残しておくためのものです。
比較的新しい作品が多い
なお、番組全般のMCは「ラジオドラマ三昧」と同じ松田洋治さんと長谷川真弓さん。
また、放送中で何度も「ラジオドラマ三昧」の話題に触れていますので、タイトルこそ「ラジオドラマ」から「オーディオドラマ」に変わりましたが、第2弾と考えてよさそうです。
ただ、今回はFM本放送50周年企画でもあるので、「太陽の石」を除き、放送された作品は基本的にFMで放送された作品です。
AM時代のかなり古い作品が多かった「ラジオドラマ三昧」とはその点で違いがあります。
さて、それでは早速、大まかな時間配分と各時間の放送内容をご紹介します。
放送は13時にスタートして23時まで続いたのですが、途中19時前後にニュースが挟まりました。
中断前が第一部、中断後が第二部になるのですが、第一部の放送時間が長いので、当ブログでは第一部を2回に分け、第二部と合わせて3回に分けて記事にします。
第一部(前半)
時刻 | 分類 | 内容 |
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13:00- | トーク | 番組MCである松田さんと長谷川さんによる自己紹介と番組メニューの紹介。 NHK-FMが実験放送から本放送に切り替わったのが1969年3月1日で、その50周年を記念しての番組とのこと。1969年はアポロ11号が月面着陸した年でもあり、空から降ってくるラジオの電波と月の光のイメージを重ねる形で流された「Get Out And Get Under The Moon」や「Fly me to the moon」を聞きながら穏やかなトーク。なお、「月」はこの番組を象徴するモチーフになっているようで、本番組には月に関係する作品が多く採用されている。 |
13:10- | ドラマ | 「不思議屋薬品店」(第1回)「ユニコーンの憂鬱」(青春アドベンチャー)2002年11月 作:北阪昌人、演出:吉田努 |
作品のウリは、後年人気俳優となった堺雅人さんと5年前に他界された名声優・永井一郎さんが共演していること。堺さんはお茶の間で人気になる以前から1997年「滅頂」など多くのラジオドラマに出演。本作品の放送は2015年のラジオドラマ三昧の放送時に多くのリクエストがあったことが影響したらしい。 作品内容は別記事にて。 |
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13:25- | トーク | 「ユニコーンの憂鬱」の脚本家である北阪昌人さんへのインタビューを放送したあとにMCのおふたりによるトーク。 北阪さんは20年で1000本以上の脚本を書いたラジオドラマだけを書く脚本家。1990年代後半に書いた「水の行方」でデビューし、「不思議屋シリーズ」には第1作の「不思議屋百貨店」から5作品に参加。 不思議屋シリーズを「若手を発掘、育成するような企画」と明言していた。なお、この「ユニコーンの憂鬱」は(予想どおり)「北阪版・賢者の贈り物」らしい。 |
13:35- | ドラマ | 「飛ばせハイウェイ、飛ばせ人生」(FMシアター)2011年3月 脚本:樋口ミユ、音楽:小林洋平、演出:江澤俊彦 |
主演が高橋和也さんで、原田芳雄さんと市原悦子さんが共演。原田さんは2015年ラジオドラマ三昧の「優しさごっこ」に続いて出演作が放送された。 作品の内容については別記事参照。 |
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14:25- | トーク | MCおふたりが、30年来の友人でもある主演の高橋和也さんにインタビュー(鼎談)した内容を放送。収録時に東日本大震災が発生した際のエピソードについても上記の別記事参照。 |
13:20- | ドラマ | 「おろしや國酔夢譚」第6回(アドベンチャーロード)1987年5月 原作:井上靖、脚本:岸宏子、演出:川口泰典 |
綺麗な音質の「おろしや國酔夢譚」が聴けてちょっと嬉しい。演出の川口泰典さんによればアドベンチャーロードは冒険活劇を取り上げることが多かった番組だが、本作品はかっちりしたものをやってみようということで制作した作品とのこと。主演の北大路欣也さんの起用について川口さんは、リーダーシップを表現するための堂々たる芝居を期待してとのこと。また、北大路さんの声について松田さんはキツい言い方にも暖かみがあるとの評。 | ||
15:00- | トーク | 「おろしや國酔夢譚」演出の川口泰典さんが2015年「ラジオドラマ三昧」に続き登場。前回はダミーヘッドの解説役として登場されたが今回はステレオ放送を前提としたラジオドラマのつくりかたについて解説役で、「定位」の説明やモノラルとの違い(音が1点に集まるモノラルよりFMの方が音が重ねやすい)など、なかなか聞き応えあり。 また、53年前、最初にラジオ第一、第二で放送されその後FMで試験放送された立体放送劇「駆逐艦来電の告別」のダイジェスト版を放送し、その特異な放送形態を紹介。なんと、第一と第二で同じ時間に「ほぼ同じだが第一と第二にそれぞれ左右の音を振り分けたラジオドラマ」を放送することにより、リスナーが2台のラジオを用意すればステレオで聞くことができる、というとんでもなく実験的な試みだったとのこと。絶句。 |
15:15- | トーク | まずは箸休め的なトークパート。twitterの宣伝やリクエストの募集など。 2015年のラジオドラマ三昧に寄せられたリクエストを元に、その後「盗まれた街」、「ブラジルから来た少年」、「BANANA FISH」3部作の再放送が行われたとの情報も。 その後、本番組の作品選定に関わったアンソロジストの濱田高志さんが登場し「太陽の石」について作品紹介。当作品はドラマパートとフェイクドキュメンタリーパートに分かれているが全体のプロットとオリジナルシナリオ(構成)を「漫画の神さま」手塚治虫さんが担当。パーソナリティも手塚さん自身が務めるという豪華さ。なお本作品の音源は濱田さんがアーカイブに寄贈したカセットテープのもの。 |
15:15- | ドラマ | 「太陽の石」(ワイドドラマスペシャル)1979年3月 原案・構成:手塚治虫、脚色:長坂秀佳、音楽:淡海悟郎、演出:小山正樹 |
「日本のピラミッド」というオーパーツを題材とした作品。全体130分でドラマが3パートにわかれフェイクドキュメンタリーが挟まる複雑な構成だが、この日の放送は短く編集されたダイジェスト版。手塚治虫さんが石森章太郎さんに電話をするシーンやドラマのクライマックスシーン、最後のどっきりシーンなどをつまみ食い。音響などとてもクラシカルでさすがに時代を感じさせられるが、楽しそうな手塚治虫さんの“演技”を聞くだけで満足。なお、図らずも濱田さんが「アーカイブに入れたからには何らかの形で紹介したかった」といっているが、アーカイブ化した資料をNHKが積極的に配信してくれるような体制をとれば音源はもっと集まるのではないだろうか。 |
以上です。
第一部の続きは「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」第1部後半をご覧ください。
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