「夢胡蝶」に備えて予習・復習!呼び方で解説する「ぼろ鳶組」内部の人間関係。

作品紹介の補足

青春アドベンチャーにて「羽州ぼろ鳶組」シリーズの第5弾「夢胡蝶」が2022年10月17日より放送されます。
私も楽しみにしているのですが、2018年に始まりの物語「火喰鳥」が放送されたのはもう4年前。
登場人物たちの人間関係がわからない方もいらっしゃると思います。

切り口は「呼び方」

この記事では途中参加のリスナーのみなさまに、「夢胡蝶」開始前に、物語の中核となる「ぼろ鳶組」こと、新庄藩火消組の面々を、お互いの呼び方という切り口でご紹介いたします。
なお、シリーズ全体の人間関係は原作のホームページに掲載されている人物相関図(外部サイト)でご確認ください。

呼び方マトリクス

それではまずお互いの呼び方の一覧表です。
以下はある程度お互いに親しくなってからの呼び方です。
社会の基本に身分制度が存在する江戸時代ですので、当然、知り合った当初はもっと堅苦しい呼び方をしています。

呼び手 呼ばれる相手
語り 源吾 深雪 新之助 星十郎 武蔵 寅次郎 彦弥
松永源吾 深雪 新之助 星十郎 武蔵 寅次郎/寅 彦弥
深雪 旦那様 新之助さん 星十郎さん 武蔵さん 寅次郎さん 彦弥さん
鳥越新之助 お頭 奥方様 先生 武蔵さん 寅次郎さん 彦弥さん
加持星十郎 お頭 深雪殿 新之助さん/鳥越様 武蔵さん 寅次郎さん 彦弥さん(※)
武蔵 お頭/源兄 深雪さん 新之助 先生(※) 寅次郎/寅 彦弥
寅次郎 お頭 奥方様 頭取並 先生 ??? 彦弥
彦弥 お頭 姐さん 新之助 先生 武蔵さん

続いて各人ごとの紹介です。
なお、火消番付は「火喰鳥」のラストで紹介された安永二年版です。

語り

オーディオドラマでいう語り(ナレーション)、小説でいう地の文における各キャラクターの呼び方。
火消しの現場では武士も町人も区別なし、ということを反映してか、基本的に皆、名前呼び。
歴史上の著名人物である田沼意次はそうではないが、長谷川平蔵までは「平蔵」呼びとしている。

松永源吾久哥(まつなが・げんご・ひさうた)

  • 役職:頭取
  • 番付:西の大関
  • 通称:火喰鳥(ひくいどり)
  • 演 :筧利夫

本シリーズの主人公。
類まれなリーダーシップを持ち、外部人材のスカウトと鳶の徹底的な教練、火事場での卓越した指揮能力で、壊滅寸前だった新庄藩火消組を立て直した。
ごくわずかな音でもその方向と距離を言い当てられる特異な聴力をもっている。
呼び方は全員に対して名前の呼び捨てだが、これは武士として、組織のトップとして尊大にふるまっているわけではなく、武士も町人も火事場では関係ないという信念から、気安い町人風の態度をとっているため。
そのためぼろ鳶組のサポート役で同じ武士の御城使・折下左門も左門と呼び捨てている。
部下からは敬意をこめて「お頭」と呼ばれている。

深雪(みゆき)

  • 役職:頭取の妻
  • 通称:勘定小町(かんじょうこまち)、火消菩薩(ひけしぼさつ)
  • 演 :山田キヌヲ

主人公・源吾の妻。
財政難の新庄藩が鳶の数を揃えることができたのは算術に強いリケジョである彼女の功績である。
源吾に対しての「旦那様」のほか、全員に「さん」づけと一見優しげだが、それは彼女が控えめであることを意味せず、上方の豪商や鬼の火盗改に対しても堂々と渡りあうタフ・ネゴシエーターである。
特に、半人前の新之助と女好きの彦弥に対して当たりがきついが、火消として、そして夫の仲間としての彼らには深い信頼を置いている。
一方、彼らからは様々な呼ばれ方をするが、畏敬の念をもって「様」「殿」を付けて呼ばれることが多い。
彦弥の「姐さん」も町人ならではの敬意の現れであり、深雪に恩義を感じている加賀鳶の八番組組頭・牙八(町人)も「姐さん」と呼んでいる。
なお、もともと滅多にデレないツンデレだったが、シリーズを重ねるごとにデレるようになる…ことはなく何だか神々しさが増してきて「小町」から「菩薩」に昇格しつつある。

鳥越新之助正勝(とりごえ・しんのすけ・まさかつ)

  • 役職:頭取並
  • 番付:東の前頭十三枚目
  • 通称:襤褸鳶(ぼろとび)、新庄の麒麟児
  • 演 :小山貴司

代々、新庄藩火消組ナンバー2の家に生まれ、剣を取っては府下十傑に選ばれる達人、そして見たものをそのまま記憶できる映像記憶の持ち主という、属性盛り盛りの若者。
でも彼の一番の能力は、周囲を明るくし気分を楽にさせる独特の軽さだろう。
それを反映して、身分制度を超えて、町人の武蔵や寅次郎、彦弥を平気で「さん」付けしている。
さらに、武蔵や彦弥からは「新之助」と呼び捨てにされているが、火事場で「彦弥さん、人目がありますので頭取並みでお願いしま~す!」と言っているところを見ると、人目がなければ別に気にしないらしい。
深雪との絡みが多く、「奥方様」の他にも、「深雪様」「奥方」「深雪殿」など様々な呼び方をしている。
夜哭烏」では誤って深雪本人を前にして「般若」と言ってしまったこともある。

加持星十郎光春(かじ・せいじゅうろう・みつはる)

  • 役職:風読み(かざよみ)
  • 番付:東の前頭筆頭
  • 通称:赤舵(あかかじ)
  • 演 :大沢健

西洋人とのクォーターの天文学者で、ぼろ鳶組の軍師。
通称は当初、コンプレックスであったその赤髪から。
作中幾度となく博覧強記ぶりを発揮し、ほぼすべての事件が星十郎がいないと解決にたどり着いていないと思われる。
風読みとしての能力も傑出しているようで、ぼろ鳶組への参加は寅次郎、彦弥の後だが、わずかな期間に他家へ名前が鳴り響いている様子が作中でも窺える。
「夜哭烏」終盤で、笑いながら自らのことを「かろうじて品格を保っている」というが、この場合の品格は武士としての驕慢を表すものではなく、人をむやみと差別しない人としての品格であるようで、相手が町人であっても柔らかく「さん」づけするのが特徴。
逆に他のメンバーからは尊敬の念をもって「先生」と呼ばれている。

武蔵(たけぞう)

  • 役職:一番組組頭(元万組組頭)
  • 番付:東の小結
  • 通称:魁(さきがけ)
  • 演 :山口馬木也

通称は、誰よりも先に火事場に駆け付ける様子(先駆け)と、竜吐水の達人で炎の先に水をかけ魔法のように消火してしまう様子(先掛け)を掛けたダブルミーニング。
ぼろ鳶組幹部で最も遅く参加したため、ぼろ鳶組での活躍は「鬼煙管」以降だが、火消しの諸事に関して自ら判断ができる元組頭としての能力を買われ、先遣隊の隊長的な役割を担うほか、源吾の副官的なフォロー役も買って出ている。
呼び方も当初は遠慮があったが、気が付くと新之助を呼び捨てにしているなど、すっかりぼろ鳶組の気風に染まっている。
源吾や深雪とは古くからの知り合いで、主に二人だけの時に源吾を「源兄」(げんにい)と呼ぶ。
深雪を「深雪さん」と呼ぶシーンもある。
なお、「鬼煙管」で星十郎と京都へ旅をしているが、なぜか星十郎を呼ぶシーンを見つけることができなかった(聞き逃しただけ?)
恐らく「先生」だと思われる。(※末尾の追記をご覧ください)

寅次郎(とらじろう)

  • 役職:壊し手筆頭
  • 番付:東の前頭八枚目
  • 通称:荒神山(こうじんやま)
  • 演 :朝倉伸二

ぼろ鳶組再建を託された源吾が新之助とともに最初にスカウトした元相撲取り。
通称は相撲取り時代の四股名そのまま。
気は優しくて力持ち、を体現したような男で、最前線で体を張る壊し手という立場から体を酷使することが多い苦労人。
原作でも彦弥の「夢胡蝶」(ゆめこちょう)、新之助の「玉麒麟」(ぎょくきりん)、星十郎の「双風神」(ふたつふうじん)のような主役回がまだなく、やや不遇な存在。
寅次郎のエピソードが今後描かれることを期待している。
体育会系らしく(ぼろ鳶組の中では)礼儀正しく、他のメンバーから呼び捨てにされる弄られキャラ・新之助もちゃんと「頭取並」と呼んでいる。
一方、火事場を中心に源吾や彦弥などから気安く「寅」と略して呼ばれることも多い。

彦弥(ひこや)

  • 役職:筆頭纏師
  • 番付:西の前頭七枚目
  • 通称:谺(やまびこ)
  • 演 :津田英佑

軽業師出身であり、ぼろ鳶組参加後も軽業師は兼任で続けている。
通称はその軽業一座「山城座」の彦弥を略したものであるが、いうまでもなく屋根から屋根に飛び移るさまを山々を響き渡る木霊に例えてもいるのだろう。
ちなみに同じ原作者による現代を舞台とした小説「ひゃっか!全国高校花いけバトル」に子孫と思しき人物が登場している。
ちゃきちゃきの町人であり、武士を格上とみなさない火消の気風を反映して最も砕けた呼び方をするが、星十郎のことはちゃんと先生と呼んでいる。
ちなみに一応、最初だけは新之助に対しても「鳥越様」と呼んでいた。
「夢胡蝶」はこのぼろ鳶組切っての色男・彦弥をフィーチャーした回である。


■ぼろ鳶組シリーズ一覧
松永源吾とぼろ鳶組は今日も火事と戦う、ただ江戸の街を守り、人々の命を救うために。

  1. 火喰鳥 羽州ぼろ鳶組
  2. 夜哭烏 羽州ぼろ鳶組
  3. 鬼煙管 羽州ぼろ鳶組
  4. 菩薩花 羽州ぼろ鳶組
  5. 夢胡蝶~羽州ぼろ鳶組
  6. 玉麒麟 羽州ぼろ鳶組
  7. 襲大鳳 羽州ぼろ鳶組
  8. お互いの呼び方で解説する新庄藩火消組
  9. 通称・異称で紹介する江戸の火消たち
  10. オーディオドラマ化から漏れた作品を補完する


※2022/10/21追記
第5弾「夢胡蝶」の第3回で武蔵が星十郎を「先生」、星十郎が彦弥を「彦弥さん」と呼ぶシーンがありました。

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