ダブル・キャスト 原作:高畑京一郎(青春アドベンチャー)

格付:AA
  • 作品 : ダブル・キャスト
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : AA
  • 分類 : サスペンス
  • 初出 : 2001年4月2日~4月13日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 高畑京一郎
  • 脚色 : 山崎和俊
  • 演出 : 江澤俊彦
  • 主演 : 今井朋彦

父親から送られた小包を受け取った高校生・川崎涼介は、自分を不審な男が尾行していることに気がつく。
腕に自信のある涼介は男をビルの屋上に誘い出し真意を問い詰めるのだが、逆に男の持っていた拳銃により、屋上から落下させられてしまった。
気がつくと…

もうひとりの高校生・浦和涼介の身に異変が起こり始めるのは、あるビルの近くで屋上から落下する高校生を見てからだ。
気弱な涼介には悪夢の出来事だったが、落ちてきた少年に見覚えはなく、自分には関係のない出来事のハズだった。
しかし、そのときからは彼は時々記憶を失うようになってしまった。
気がつくと…

そう、これがふたりの「涼介」が演じる、ひとつの身体を舞台としたダブル・キャストの冒険の始まりだったのだ。



本ラジオドラマ「ダブル・キャスト」の原作は高畑京一郎さんの同名の小説です。
この原作小説は、ライトノベルの代表的なレーベルである「電撃文庫」から発売されており、青春アドベンチャーでは(そのイメージに反して)意外と少ないライトノベル原作の作品と言って良いでしょう。

ひとりの身体にふたりの魂

さて、本ラジオドラマは、浦和涼介の身体を共有することになってしまった「ふたりの涼介」が、巻き込まれてしまった事件の真相を探っていく物語です。
ひとりの身体にふたりの魂、というストーリーは、名作「ふたり」(赤川次郎さん原作)を思い出させますが、本作品は「ふたり」のようなリリカルな作品ではなく、アクションあり、謎解きありのサスペンス作品です。

相手の行動が間接的にしかわからない

作劇上のミソとなっているのは、ふたりの涼介が交互に意識を取り戻すため、お互いに相手の行動を直接知ることが出来ないこと。
ふたりが別々に行動してお互いの行動が何となくしかわからない、という筋立ては、これも名作の「分身」(東野圭吾さん原作)を連想させますが、本作品の場合、身体を共有しているため、目覚めたときの状況で、相手が何をしていたか大体わかります。
もっとも、身体を共有しているため、目覚める直前に相手が巻き起こしていた面倒をもう一方が引き受けざるを得ないことになり、当人達(特に気弱な浦和涼介)にとっては痛しかゆしといったところでしょうか。

スリリングな展開

とにかく、この入れ替わりが突然起こることと、外見はあくまで浦和涼介であるため川崎涼介の行動が制限されること、の二つを小道具にして、なかなか先の読めないスリリングでスピード感のある展開が続くのが本作品の魅力です。
基本的に協力関係にはあるが、実は結構、同床異夢であるふたりの涼介(正確には、川崎涼介・亜希兄妹vs浦和涼介)。
事件はどのような結末を迎えるのか、そして一つの身体を共有するふたりの涼介はどうなるのか。
それは聴いて(読んで)のお楽しみということにしましょう。

ダブル・キャストをダブル・ロール

さて、本作品で川崎涼介と浦和涼介の二人一役(ダブル・キャスト)を、一人二役(ダブル・ロール)で演じるのは今井朋彦さん。
全然性格が違うふたりですので、別の役者さんが演じてもおかしくないところですが、本作品では今井朋彦さんがひとりで演じています。
今井さんは後に青春アドベンチャーの常連出演者になられる方で、「ニ分間の冒険」、「サマルカンド年代記」、「白狐魔記 源平の風」、「ピエタ」など、どちらかといえば爽やかで落ち着いた役が印象的です。
しかし、本作品では不良でワイルドな川崎涼介と、優等生だけどいじけ気味の浦和涼介を演じ分けられており、今井さんの上記の作品とは違った魅力が感じられる作品です。

広瀬彩さんと有馬克明さん

また、ヒロインの亜希を演じる広瀬彩さんも、どちらかというと「失われた地平線」や「聖杯伝説」など、おとなしめの女性の印象が強いのですが、本作品では「あんた!」などと呼びかけるちょっと蓮っ葉な(というより普通の?)女性役であり、なかなか意外でした。
その他のキャストとしては、これまた常連だった有馬克明さん(現芸名:織田優成さん)も出演されていますが、有馬さんが演じている時点で端役ではないことがわかってしまうのは、ちょっと問題かもしれませんね。

広川太一郎さんのナレーション

そして本作品の隠れた目玉は広川太一郎さん。
広川さんと言えば明智小五郎。
明智小五郎と言えば広川さん。
番組が青春アドベンチャーになって以降はあまり役での出演はなかった広川さんですが、本作品の約一年半前に放送された「鬼の橋」と同様、本作品でもナレーションでご出演されました。

少しナレーションが多い

本作品では冒頭のアクションシーンでナレーションが多く、正直、広川さんの声がたくさん聞けるのは収穫であったものの、テンポはイマイチだなあと思っていました。
しかし、脚色の山崎和俊さんは青春アドベンチャーでこそ本作品だけの担当ですが、FMシアターでは、皆口裕子さん、緑川光さんが出演された「私の彼はズーズー弁」や、松田洋治さん、渡辺菜生子さんが出演された「夢見る機械」の実績もあります。
これらの作品で慣れていたからなのか、冒頭以外はほどほどのナレーション分量で違和感はなくなりました(もっと広川さんの声を聞けても良かったですが)。

コメント

  1. 匿名 より:

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    高畑京太郎 → 高畑京一郎 では?

  2. Hirokazu より:

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    > 高畑京太郎 → 高畑京一郎 では?

    そのとおりですね。
    修正しておきます。
    ご指摘ありがとうございました。

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